恋した彼女はスペイン生まれ

カンツェラー

第1話 雨の日のカフェ

大学進学直前の雨の日、

西園寺颯(ハヤテ)は、

自宅近くのカフェで一人勉強をしていた。


俺も1年間の浪人を経て

ようやく大学生か。

いや〜長かったな〜

でも俺は大学生を謳歌して遊びまくるなんてことはしない。

勉強を中心に、しっかりと目的を持っていろんなことに挑戦をして行こう。

新しくできる友人と遊んだり、アルバイトをしてお小遣いを稼ぐのは必要最低限にとどめておこう。

大学生になる意味、それを常によく考えて4年間を過ごさねば。

ただ、度胸のある男に俺はなりたい。

そのためには、この国に留まったままじゃあだめだ。

日本語が通じない環境に飛び込んで、様々な人たちとたくさんコミュニケーションをとって、自分の人間力を徹底的に高めるんだ。


注文したカフェラテのグラス

だいぶ上の方の水が増えてきた頃

颯は、スマホを机の上に置いた。


俺、ボランティアしよう。

海外で。

国際的なボランティア活動を紹介してくれる団体を幾つか調べた颯は、

後日説明会に行った。

数週間の時間が流れ、彼はこう呟いた。


「よし、この夏、俺はドイツに行く。

そして、つけるんだ、度胸ってやつを」


彼はこのとき知る由もなかった。

このドイツでのボランティアで、

あんなにも魅力的で素敵な女性に出会えるとは。

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