じか


 「こんばんは~! おっぱーいーつです!」

 「あ、あぁ……」


 昨日と同じ時間、同じセリフで愛奈がやってきた。

 手にはフライ系の揚げ物とご飯、みそ汁といった定食が用意されている。昨日の丼物は冷めててもめちゃくちゃ美味かったから、これもきっと美味いだろうな。

 いや、それより、


 「まだやる気なのか? その、おっぱーいーつ」

 「もちろんよ! 和己は私の手料理を食べられる。私は和己におっぱいを大きくしてもらえる。ウィンウィンの関係じゃない!」

 「胸を張って言うことじゃないだろ……」


 ない胸を張る愛奈に、ため息がもれた。

 でもまぁ、俺にデメリットないし、好意として受け取っておくべきなんだろう。

 ひとりそう納得し、今回は彼女を家に招き入れることに。

 昨日のお礼もまだだったしな。


 リビングにやってきた愛奈は、持っていたお盆を置き、なぜか両手を広げた。


 「どうした? ハグか?」

 「おっぱい揉んでいいわよ」

 「ご飯食べた後じゃ、ダメなのか?」

 「そ、それもそうね……また冷めたもの食べさせるのも気が引けるし」

 「昨日のやつは冷めてても美味かったぞ」

 「なによ! 褒めたりなんかして私をどうするつもり!?」

 「おっぱい揉むけど」

 「さいってー! でも好きなの!」


 お金の代わりに要求してきたのお前だけどな。


 とりあえずお代は保留にして、二人並んで椅子に腰かけた。箸を持ち、出来立てのフライにかじりつく。

 サクサクの食感がたまらない。中からあふれる優しい旨みもこれまた格別だ。


 もしゃもしゃ咀嚼していると、髪を耳にかけながら、覗き込むようにして愛奈が訊ねてくる。


 「ど、どう?」

 「そのままでも美味いな。ソースとかいらないぞこれ」

 「よ、よかった……」


 ホッと安堵の息をついている愛奈。

 俺のために一喜一憂してる様子を見てると、微笑ましいものがあるな。

 好きだから頑張ったって言ってたから、これは俺も頑張らないといかんな。


 出された料理をぺろりと平らげ、隣に座る愛奈の方を振り向く。

 と、彼女はその瞬間が訪れたとばかりに、ビクッと身体を震わせた。


 「緊張して、るよな」

 「し、してない! ただ、」

 「ただ?」

 「……好きって言ってくれたら、安心するかも」

 「愛奈、好きだぞ」

 「私も、好き」


 照れ混じりな笑みを浮かべる愛奈に、内心で悶えそうになってしまう。

 なんだコイツ可愛すぎるだろ、抱きしめるぞ。


 うっかり背中に伸ばしかけた腕を引っ込め、俺は胸元へと伸ばしていく。

 昨日と同じように服の上から、愛奈のおっぱいに触れた。

 

 「んっ……!」

 「やっぱ、柔らか……」


 なんど触れてもくせになりそうなこの感触。おっぱいバカがあそこまで執着するのも分かる気がする。

 ただ柔らかいだけじゃなく、ほんのりとだが弾力性もあって、ひたすらに揉み心地がいい。


 「……っ……んっ」


 始めはソフトタッチだけだったが、しばらくして強弱をつけたり、角度を変えたりしながらぐにぐに揉んでいく。

 愛奈の方は、声が出ないようにか、手の甲で口元を押さえていたものの、それも限界が訪れたようだった。


 「はぁ……ぁ……」

 「お前いま人前に出せない顔してるぞ」

 「ん……ぅ?」

 

 どれぐらい揉み揉みしてただろう。

 もうすっかり出来上がったような顔をする愛奈から、手を離した。これ以上は俺も我慢できそうにないからな。

 こっちも出来上がったものを鎮めるべく、心頭滅却しようと試みる。

 が、そんなことはお構いなしとばかりに、愛奈は言った。


 「つ、次は……直接っ、揉んでいいわよ」

 「へ?」

 「だから、直に揉んでいいって、言ったの」

 

 マジか、マジで言ってるのか。

 確かに直接触れたくて悶々としてたのは事実だけど、向こうから提案してくるとは思わなかった。

 

 「ほら」

 「っ……!」


 愛奈は俺の手を引き、自らの服の中へと滑り込ませてくる。瞬間、手のひらに広がるすべらかな感触。間違いない、素肌だ。

 ここまでおぜん立てされて、引き下がるなんてことは男としてできない。

 目の前にいる美少女の、おっぱいをただただ堪能したい。本能がそう叫んでいた。


 俺の手はゆっくり、素肌を駆け上がっていく。

 ややあって、膨らみのあるところに指先が触れた。

 

 「ん……っ!」

 「ここか」


 じりじり指先を這わせていけば、中心にある、ピンと固くとがった部分に触れた。

 小さいけれど自己を主張するその光景は、俺の興奮をより増してくるばかり。

 我慢とか、できるはずない。


 そんな俺に対し、愛奈はもちかけてきた。

 蕩けたような顔と、甘えるような声で。


 「和己、私っ……切ないよ……っ」

 「……っ」


 俺は彼女の腕を取り、二階へと引っ張っていく。

 


 ……父さん、母さん、俺は今日、大人の階段を上ります。

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