第4章
翌日、教室には青木賢人がいた。正直僕は彼に興味がない。彼は僕に会釈だけして前を向いていた。
僕も自分の席に着き、無心で黒板を眺めていた。特に何をするでもなく、ただひたすらに眺めていた。
すると浅沼がやってきた。彼女は僕に笑顔で挨拶をしてくれた。僕は彼女と目を合わせるだけで心臓の鼓動が速くなるのを感じていた。
彼女から溢れ出る笑顔のオーラはこちらも幸せになった。僕が彼女を見ていると、浅沼は青木に話に行った。会話こそ聞き取れないものの、笑顔で楽しそうに話しているのはこちらにも伝わってきた。
話が終わると浅沼は僕の前に座った。綺麗な背筋、艶やかな黒髪。真新しいブレザーは彼女によく似合っていた。
観察をしていると前に座っていた彼女が突然振り返ってきた。
「教科書の写真撮らせて!!」
こんなかわいい子のお願いを誰が断るのか。もちろん僕は撮らせてあげた。むしろすごく嬉しかった。ついに浅沼から話しかけてもらえるだなんて。
このソワソワは当然ながら彼女にはバレていたようだ。後々つっこまれてしまった。それでも彼女を好きだと言う気持ちは揺らぐことはない。
今のところ彼女にこの気持ちを伝えるつもりはない…と思っていた。
帰り道。僕は浅沼と共にいた。誘われた勢いに身を任せ、2人でカフェに座っていた。彼女が好きだと言っていたシフォンケーキを食べ、彼女は満面の笑みを浮かべていた。
もう日も暮れ、街の街灯が頬を照らす頃、僕らは川辺に寝そべっていた。並んで仰向けになる。そして2人は顔を合わせた。
2人は静かに顔を寄せ合わせ、唇を寄せる。彼女は目を瞑った。僕は静かに目を閉じて、彼女の唇に触れる。2人の上には満天の星空が広がっていた。
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