第35話
「実は私ね、死ぬつもりなんてこれっぽっちもないのよ」
そんな信じられない言葉が聞こえてきたと同時に、先程まで激しく脈を打っていた心臓の鼓動が急激に静まっていくのを感じた……そしてそれと同時に全身から一気に力が抜けていき意識が遠のいていくのを感じた、そうして僕はその場で崩れ落ちるように倒れてしまった。
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【おまけ】
宮野彩花(ミヤノアヤカ)
身長・155cm
体重・44kg スリーサイズ・B79 W54 H80 趣味:読書、音楽鑑好きな食べ物:チーズケーキ
最近の悩み:彼氏がいない 水瀬玲奈(ミナセレイナ)
身長・162cm
体重・49kg スリーサイズ・B87 W56 H86 趣味:ファッション雑誌を読み漁ること
好きな食べ物:肉類全般
最近の悩み:胸の成長が芳しくない事 次回の投稿予定は4月7日の予定です!お楽しみに~!by おむ 第一部~完~
皆様、長らくお待たせしました!『冴えない彼女の育てかた』シリーズ第二部『もしも主人公が女の子だったら3』(通称、女の子だったら)の連載が決定しました! さて、早速ですが今回から始まる第三部『恋する乙女は可愛いけれど時々残酷(仮)』について軽く説明をさせて頂きます、まずは物語の舞台についてご説明致しますがこちらは現在通っている学校の教室が主な舞台となります、因みにこの物語の主人公となる人物は高校二年生の少女になりますが性格は大人しめでとても優しい性格をしているためクラスの中では委員長を務めているという設定になっています、それと物語の主人公は名前の変更が可能となっていますのでそこは事前にお伝えしておきますね、そしてヒロインについては現時点では水瀬玲奈と宮野彩花(ヤッホーの二人しか決まっていません、ですので場合によっては他のキャラクターが登場する可能性もありますのでその辺りについても併せてお読みいただければと思います)最後に注意点なのですが今回の物語は時系列順に進んでいきませんのでその点だけは予めご了承くださいm(_ _)mそれでは長くなりましたが以上を持ちまして改めて挨拶をさせて頂きたいと思います。
読者様初めまして、普段はライトノベル作家として活動している水瀬レイナと申します、今回はこのような場を用意して頂いたことに心から感謝申し上げますと共に今後も応援して頂けたら幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします、 by 水瀬レイ(@rainia_Sui)
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それはある日の昼下がりの出来事だった。その日の昼休みに昼食を済ませた私はいつも一緒に行動している友人たちとの会話もほどほどに教室へ戻るべく一人廊下を歩いていた、そしてちょうどそのタイミングでポケットの中でスマホが震えていることに気が付いたため取り出して画面を確認するとそこにはメッセージアプリで友人の一人である『宮野彩花』ちゃんからメッセージが届いたと通知されていた、それを見て私は急いで内容を確認した。そこには簡潔な文章と一枚の画像ファイルが添付されておりそこには次のように記されていた、『今日はちょっと遅くなるかもなので先に帰っててください、あと明日の放課後に何か用事とかありますか?』
その内容を目にした瞬間、私の頭の中に一つの疑問が浮かんだ、確かに彼女は昔から色々と忙しい毎日を送っているせいで学校帰りに遊びに行く約束をしてもなかなか時間が取れないことも珍しくない、しかしそれでも今までこんなメッセージを送ってくることはなかっただけに正直言って少々驚いていた、だが同時にこれは何か大事な話があるに違いないと感じたため私もすぐさま返事を送ることにした。そして送ったメッセージの内容としては「特に用事もないし大丈夫だよ」と短いながらも出来るだけ早く返事を返せるようなものを送った、それから数秒後今度は彩花ちゃんの返信が届いた。どうやらその内容は『ありがとうございます、では明日の帰りに少し時間を貰えますか?どうしても会って話したいことがあるんです……』というもので、その文面を見た私はいよいよか!と思いながらも二つ返事でOKした、そしてその後私たちは簡単なやり取りだけを済ませて教室に戻ることにしたのだった……。
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翌日、放課後になって私が帰り支度をしている最中のことだった、突然誰かが私に声を掛けてきたのである、そしてその声の正体がすぐに誰なのかを理解した私はそのまま振り返って声の主である彩花ちゃんに視線を向けたのだがその瞬間、思わず固まってしまった。というのも何故か彼女が制服姿ではなく私服姿だったからだ!しかもその姿は普段と違って非常に可愛らしいワンピースを身に纏っており更には髪まで結んでいて見た目は完全に完全に女子高生にしか見えない状態だった、そしてそんな私の様子を目の当たりにした彩花ちゃんは恥ずかしそうに頬を赤らめるとこう口にした、「あの……どうですか、似合っていますか?」と。
それに対して、ようやく我に返った私が「あ、うん……とっても似合ってると思うよ!」と答えたところ彼女は安心した様子でホッとした表情を浮かべると「良かったぁ、もし似合っていなかったらどうしようかと思ったよ……」と言って安堵した様子を見せていた、その反応を見る限りやはり昨日のうちに何かしら心境の変化があったのかもしれない。それから少しの間、互いに無言のままその場に立ち尽くしていたのだが不意に彼女が私の手を取るなり、いきなりこう言った。
「……ねぇ、今からちょっと付き合ってもらってもいい?」
その言葉を聞いた瞬間、ようやく落ち着きを取り戻し始めていたはずの心臓が再び激しく鼓動し始めた……それ程までに今の彼女の姿は魅力的だったからである。そして気が付くと無意識のうちに首を縦に振っていた、こうして私と彩花ちゃんはそのまま二人で帰ることになったのだった……しかしこの時の私はまだ知らなかった、この後彼女からどんな話を聞かされることになるのかを!
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帰り道の途中で寄ったカフェで一息ついていたところでようやく落ち着いてきたのか彼女は一度深く深呼吸すると真剣な眼差しでこちらを見つめてきた、その表情からは強い決意のようなものを感じさせられ一瞬息を呑んでしまうほどだった。やがて覚悟を決めたのか静かに口を開いた彼女は次のように語り始めた、「えっと、今日来てもらったのはね?昨日言ったように大事な話があって呼んだんだけどその前に一つ確認しておきたいことがあるんだよね」
……と言いながら彼女がテーブルの上に差し出してきたのは一枚の小さな紙切れだった、それを目にした瞬間私の頭の中で警報が鳴り響いた……何故ならこの展開が何を指し示すものなのかが瞬時に理解出来たからだ!……が、時すでに遅し、既に彼女は次の言葉を口にしようとしていたのである、「あのさ、これから話す事なんだけどね?実は今付き合ってる人がいるんだ、それも同じ高校の先輩でね……もう二年くらいお付き合いしてるかな?それでね、あなたにはその事を知っておいてもらいたいと思ったんだよ。別に彼と別れろとかそういう事を言うつもりはまったくないんだけど出来ればあなたとも友達として仲良くやっていきたいと思ってるからさ」、その言葉を聞いた瞬間、頭の中が完全に真っ白になってしまった……だってそうでしょう!?あの真面目な彩花ちゃんがあろうことか男性と交際をしていた上にそのことを隠そうともせずに自ら暴露してくるだなんて誰が想像出来るだろうか、少なくとも私には到底理解し得ない状況だと言えるだろう。……いや、待てよ?よくよく考えてみれば別に意外でも何でもないかもしれないぞ?だって普段から彼女はどこか抜けているところがあるから彼氏が出来ようものなら間違いなく相手に迷惑をかけてしまうのが目に見えているわけでそれなら初めから恋人など作らなければ良いだけの話なのだ!そうだそうに違いない、うん間違いない、だから落ち着け私!今は冷静になるのだ!そうすればきっと上手くいくはずだ!頑張れ自分!! そんなことを考えていると今度は続けてこんな言葉を口にした、「ちなみになんだけど……彼との出会いはあなたと出会うよりもずっと前なんだよね、それこそ中学一年生の頃からずっと一緒だったんだよ?……あれ、どうしたの急に黙り込んでしまって?」、その発言を受けて私の頭は一瞬にして混乱状態となってしまった……なぜなら『中一』というキーワードが彼女の口から飛び出したことである事実を思い出したからである!──それは即ち“水瀬玲奈(ミナセレイナ)”という人物がこの世に誕生するよりも遥か昔の話であったことを……そしてその事実に気がついた途端、私の中である種の覚悟のようなものが芽生え始めてきたのを感じた。つまりこれから先の話の流れを考えるとおそらく、次に彼女が語る言葉は予想出来てしまうわけだが、はたして本当にそうなのかどうかはまだ分からないのだからとにかく最後まで話を聞いてみることにしよう。そう考えた私は彼女に質問を投げ掛けた、「──もしかしてだけどさ?その人って宮野くんだったりするのかな……?」と。
するとそれを聞いた瞬間に一瞬だけ目を見開いたものの次の瞬間には何事もなかったかのように元の表情に戻るとこう答えてくれた、「そうだよ、彼の名前は宮野和馬って言うんだ」と。その言葉を聞いた私は心の中でガッツポーズを決めながらもなんとか気持ちを落ち着かせると再び質問を続けた、「──そ、そっか……やっぱりそうだったんだね、それにしてもいつから付き合いだしたの?」と、それに対して彼女はすぐに答えた、「うーん、正確に言えば知り合ったのは小学生の時だね、その頃はまだただの幼馴染みって感じだったけど……それでも仲は良かった方だよ、それから高校に進学してからは同じ学校に通うようになってますます一緒にいる機会が増えたけど今でもその関係は続いてるんだ」、 それを聞いて確信した……恐らくこの二人は将来結ばれることになるだろうと、そしてそうなると当然私も彩花ちゃんや水瀬くんの二人に出逢うことにもなるのだろうとも考えていたその時、またしても予想外の言葉が飛び出してきたことで一気に頭がフリーズしてしまいそうになるのだった、「あと、あなたの事ももちろん知ってるよ?何せ私たちの学年で一番の有名人だからね、彩花の彼氏に手を出すなんて勇気あるな〜って思ったもん」、「……え?」。
突然の発言を受けた私は戸惑いを隠すことが出来ずにいると彼女はそのまま続けた、「でも、あなたが悪いわけじゃないからね、ただ運が悪かっただけだよね……私たちにとってじゃなくて、彼にとってはだけどね」、そこまで言われたところでようやく彼女の言わんとしていることが理解出来た気がした、要はこの『水瀬くん』と呼ばれる人物には好きな人がいるということだ、しかもそれは他ならぬ私のことだという事がこれで分かった。だがしかし一つだけ気になることがあった、何故今になってこんな話をしてきたのだろうか?その理由については未だ謎に包まれたままだった、なのでそれについても尋ねてみたのだが、「あ、それは簡単な話だよ?だって彼はね、あなたに恋をしてしまったせいで自分の心を騙すことが出来なくなってしまったんだよ」と、返ってきた。
その言葉の意味が分からずにいた私は再度問い掛けると今度はハッキリとした口調で教えてくれた、その内容とは、どうやら彼が私の姿を初めて見た時に一目惚れをしたらしいという事と、そこから現在に至るまで片想いを続けていたということ、そしてそんな彼の気持ちを知った彼女が色々と手を回して私を彼に近付けないようにしたというのだ。それを聞いて私が真っ先に感じたことは、まさか自分が恋愛対象になっていたとは思わなかったということであると同時に、そもそもそれが本当ならば自分は一体どうなってしまうのかということだった、もしそれが本当なら確実に今まで通りに付き合うことはできないだろうし最悪の場合嫌われてしまうかもしれないと思っていた。
そこで私は彩花ちゃんに尋ねた、「ねぇ、じゃあどうすれば良いのかな?私、どうしたら──」、それに対して彼女はすぐに答えるのだった、「大丈夫、何も心配することはないよ、むしろこれはとても良いチャンスなんだから……そうだよね?和馬?」、その言葉を耳にした瞬間、突然店の奥の方から一人の男性が姿を見せるなりこちらに向かってゆっくりと近付いてきた、それを見た瞬間思わず息を呑んだ私に対して彼はこんなことを口にした、「こんにちはレイナさん、こうして会うのは初めてですね、僕は宮野和馬と言います、よろしくお願いいたします」、と。
私は目の前に立つ彼を見つめながら、なるほど、確かにイケメンであると納得せざるを得なかった。そしてそんなことを考えていたら今度は彩花ちゃんが再び口を開いた、「実は、今私が付き合っている相手はこの彼なんですよ」と。その瞬間、私は頭の中が真っ白になりそうになった、そして同時に思ったのだ、──『あぁ、私は負けたんだな……』と。
それと同時に私は、これからどのような展開が待ち受けているのかを知るために、彼女の話を聞き続けることにしたのである……。
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それからしばらくの間、私たちは三人で会話を交わしていた。その内容は主に彩花ちゃんと水瀬くんがどのようにして出会い交際することになったのかという内容だったのだが、その話の最中で二人は常に私のことを意識しているように見えた、しかし実際に話を進めていくにつれて二人から感じられていた視線も次第に薄れていき最終的には普通の仲の良い友達のような関係にまで戻っていたのである。そのことに違和感を覚えつつも特に気にする必要は無いと判断したため深く考えないことにしていた、何故ならこの時点で既に二人の話は私の話題ではなく共通の知人である他の友人たちの話へと移っていたからである。
そしてその日を境にして私は、彩花ちゃんと連絡を取り合うことを一切やめた、というよりもこちらから送ることを止めたと言った方が正しいのかもしれない。理由は単純明快、これ以上彼女から話を聞くことに意味を見いだせなくなったからだ。またその一方で彼女は毎日のように水瀬くんとのやり取りをメッセージアプリを通じて行っていた、そしてそれを見るたびに私の気持ちはどんどん冷めていく一方で、やがては完全に冷めきってしまった頃になってようやく彩花ちゃんから一通のメールが届いた。その内容は「明日、久しぶりに会いたい」というもので、それを目にした瞬間私の中で一つの決心が固まった、──それは即ち“水瀬くんに告白する”という決心だった。
そして翌日、学校が終わって帰宅しようとしたところ教室の前に彩花ちゃんが待ち構えていることに気がついた私は一瞬躊躇するもすぐに覚悟を決めて彼女の元に歩み寄るとこう言った、「──あの、私に話があるんですよね?」、それに対して彼女は静かに頷くと人気のない場所に移動するよう求めてきたので私はそれに従うことにした。そして移動先で彼女と向き合う形になると改めてこちらに向き直った彼女は神妙な面持ちでこんなことを口にした、「ごめんなさい、今日はあなたを呼び出したりして……」、 その言葉に「いいえ、気にしなくても大丈夫ですよ?」と返すと続けて、「それで?一体何のお話ですか?」と尋ねると、彼女は一瞬だけ口ごもったもののすぐに意を決してこう話し始めた、「実は……あなたとの関係を解消してほしいって彼から頼まれたんです、もちろん私は反対しましたよ!でもその理由を聞いて納得したんですよ……だってあなたは彼のタイプじゃないんですから、きっと彼もそれは分かっていたはずなんです。それなのにどうしてあなたと付き合い続けているかと言うと単純にあなたのことが大好きだったからとしか言いようがないじゃないですか!」、──その言葉を聞いて驚いた。
彼女の発言はまさに私の心境をピタリと当ててきたからである、「えっ?もしかして……水瀬くんってそんなに前から私のこと好きだったんですか?」と聞き返すと彼女は、「えぇ、そうなんですよ!だからあなたの存在が疎ましくなって別れてくれって頼まれた時には私もショックでしたけど……それ以上に彼の事を想ったら受け入れるしかありませんでした」と返してきた。それを聞いた私は、「……そっか、やっぱりそうだったんだ」と小さく呟くなり俯いてしまった、しかしその直後だった、「──でもですよ!?」という言葉を耳にした瞬間私は顔を上げた、そして視線の先には何故か嬉しそうな表情を浮かべながらこんなことを言い出す彩花ちゃんの姿があった。その様子を見た私は何か裏があるのではと思い身構えていると彼女は続けてこんな言葉を口にした、「私としては正直言って嬉しいです、彼があなたに本気で惚れていることが証明されましたからね……それにあなたもまんざらでもないですよね?」と。
そんな言葉を聞かされてしまった私は途端に顔が熱くなるのを感じたものの、すぐに頭を振って気持ちを切り替えると彼女に向かってこう口にした、「……別にそんなことはないわ、私には好きな人がいるもの」、その言葉を耳にするなり彼女は驚きの表情を浮かべたかと思うと次に笑みを浮かべてこう言った、「なら良かったじゃないですか?これで彼とは正式に付き合えますね!!」、その一言を受けて私が抱いた感情はただ一つ、『ふざけるな!』という思いだけだった。……だがしかしそれでも私は敢えて彼女にこう言った、「でも……今はまだその時じゃないのよ?」と、すると彼女は何を勘違いしたのかこんな事を口にするのだった、「……そうですか、それなら仕方ありませんね」と。
それを聞いた私は内心でホッとしていたもののまだ油断はできないと思っていた。なぜならこの話には大きな落とし穴があったのだから。それは一体どのような内容なのか?その答えは至極簡単なものであった、『もし本当に私と水瀬くんが付き合い始めたとしても、彼女が素直にそれを祝福してくれるのだろうか?』というものだった、当然だろう、何しろ彼の好みに最も近いのは紛れもなく私自身なのだ、そんな相手が自分の恋人と付き合うだなんて考えるだけでも嫌なはずなのに笑顔でいられるはずもない……そう考えると私は怖くなった、もしも彩花ちゃんが本気で私たちの仲を引き裂くつもりで行動を起こしたとしたら私は果たして勝てるのだろうか?……いや、間違いなく勝てないだろうと瞬時に悟った。何せ彼女にはこれまで散々振り回されてきているし、そもそも恋愛に関していえば明らかに自分よりも上手なのだから到底勝ち目があるとは思えないのだ。だからこそ今はただ彼女の機嫌を取ることに専念しなければならないと考えた、何故なら仮にも彼氏を奪った形になっている手前あまり機嫌を損ねるわけにはいかないと思ったからだ。そしてそれが一番手っ取り早い解決策であるということも。
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