第17話

「大丈夫、怖がらなくてもいいんだよリラ……。確かに君は色々と大変な思いをしてきたけどこうして無事に生まれ変わることが出来たんだからこれからはゆっくりと過ごしていけばいいんだからね。それと君のことについてだけど、それについてはもう心配する必要はないからね。何せ私が全て手配してあげるつもりだからその辺のことは安心して任せて欲しいな。だから君が不安に思うようなことは何もないんだよ、そうだよねリラ……♪」と言ってくれた彼女の言葉を聞いたことで思わず涙を流した私は、そんな彼女に向かって頷くとしばらくの間抱き合ったままでいた……。

(うぅ、まさか私がこんな目に合うなんて思ってもみなかったけれど、もうどうしようもないことだし受け入れるしか他に方法はないみたいだから諦めることにしようかな……。まぁとにかく、今後はこの人のことを頼っていくしかないってことなんだよね。正直いって不安しかないんだけど今のところそれしかないんだとしたら仕方がないことなんだもんね、はぁ……。

それにしてもさっきから妙に体がだるくて重いような気がするんだけどこれって一体何なんだろう……。それによく考えたらお腹の辺りも痛いような気がしてきてるしもしかして何か病気にでもなっているんじゃ……!?どうしよう、これ絶対にヤバいやつだよね……!! ってそれよりも、何でこんなことになっちゃったのよ全く意味がわからないんだけどどうすればいいんだろう……?とりあえずどうにかして今の状況だけでもいいから知りたいな……。)と思っていた私は目の前にいる彼女を頼ることにしたためにまずは体調のことを聞いてみることにしたのだが、返ってきた答えは意外なものだった……。

「えぇ、そうですよ。あなたはもう長くはないですし、それにこのままだと確実に死ぬことになります。なのでそうなる前に手を打つ必要が出てきたということです。ちなみに私があなたにやろうとしていることは簡単ですよ、あなたには私の子供になってもらうことですからね……!!」と言った彼女の話を聞いているうちに段々と意識が薄れていきそうになったことに気づいた私は慌てて声をかけることによって何とか意識を保つことに成功したがそれでも体の辛さだけはどうにもならなかったためかまともに動くことすら出来なくなってしまったことでどうすることも出来ずにいると、彼女が優しく抱きしめながら耳元でこう囁いたのだ……。

「今はゆっくりと休むといい、後のことはこちらで全て片付けておくから心配することはないよ……。だから今は安心して休んでおくことだよ、わかったね……?」と言った彼女の声を聞いた直後に意識を手放すことになった私は最後に一言だけ呟いた後で深い眠りについた……。

(ふぅ、これで何とか間に合いそうね……。とりあえずここまでやれば後は時間が解決してくれるはずだからひとまず安心したところでこれからのことを話していくとしようかしらね……。とはいっても特に難しいことを考える必要はないからそこまで苦労はしないと思うけれど油断をしてしまうわけにはいかないものね、最後まで気を引き締めていかないと……!!)と思いながらこれからやるべきことを頭の中で整理している中でふとある疑問が浮かんだのだが、ここでようやく重要なことに気がつくことが出来た……。

「あぁ~!!しまった、すっかり忘れていたことがあったじゃない!!肝心なことを忘れてたっていうのにどうして気がつけなかったのよ、これはマズい事態になったわね……!!」と言いながらどうしようかと考えているとここで急に扉が開いたと思ったら1人の女性が部屋の中に入って来た……!!

「あの、すみません!!急を要する用件なのですが今お時間の方は空いていますか……?どうしても急ぎ伝えたいことがありまして、それが出来れば今すぐにでもお伝えしたいことでもあるのですがどういったご用件でしょうか……?」と彼女が話しかけてきたことに対して答えた後にこちらの方を見ながら話しかけてくる女性を見た私は、 一瞬誰なんだろうかと考えていたところでハッとした!!何故ならそこにいたのは紛れもなく自分自身の姿であったのだから驚くのは当然のことである、しかしだからといって何もせずに黙っていては話が進まないと考えた私はすぐに彼女に対してこう話しかけた……!!

「あの、すいませんがどちら様ですか……?見たところ初対面であるとは思われるのですが、それで一体私に何用があって来られたのか教えていただいてもいいですかね?」

と聞いた私の言葉を聞いてきた彼女はこう答えてきた……!!

「はい、わかりました。まず自己紹介をさせてもらうことにしますね!!私の名前はアルル=アーリベルと言いましてここに所属している研究者の1人なんですよ、そして今回はあなたのことに関しての話ということでここにお邪魔させていただきました。もちろんその理由については言わなくてもわかっていますよね、何しろあなたは……」とここで言葉を止めた彼女が私の方を見つめながら話を続けた……!!

「リラさんですよね、そこにいるあなたそっくりの人物こそが本当の姿であることは間違いないはずです……!!何故ならここにいるのは私とあなたとその子以外はいないはずなんですからそれ以外であるわけがないんですよね……!!ということはつまりそういうことになるわけです、理解しましたか?」

と言ったところで再び口を閉ざした彼女を見ていた私は、内心混乱しながらも必死に冷静になるように努めていたところでようやく落ち着きを取り戻すことが出来たため静かに頷くと彼女に対して問いかけた……!!

「ええ、あなたの言う通りですよ。あなたの質問には正直に答えるつもりですが、一つだけ聞きたいことがあるんですが良いですかね……?」

「もちろんです、何でもお聞きください!!」と答えた彼女に対して質問をすることにした私はまず一番気になっていることを聞いた……!!

「ありがとうございます、それじゃあ質問させていただきますがその私のことを知っているかのような口振りは一体何なんでしょうか?まだここに来てそれほど時間は経っていないのに私のことを見て一発で言い当ててしまったのがどうにも気になるのでそれについて教えてくれませんかね、お願いします。」と言って私が頭を下げると何故か嬉しそうな表情をしていた彼女が笑いながら言った……!!

「別にそんなにかしこまらなくてもいいのに……!!まぁいいでしょう、では教えてあげるとしましょうか。そのことについてはあなたの体を調べてみればわかることですので今からやってあげますよ。ただ、かなり時間がかかることになると思いますがよろしいですよね?もし嫌だったのなら今のうちに言ってもらわないとこちらも困ると言いますか、一応聞いておかなければならないことがあるんですよ。それを聞かないことには先に進めませんし、逆に知ってしまうと後悔することになるかもしれませんから本当にいいんですかね……?」と言った彼女はこちらを真剣な眼差しで見つめていたがそれに対しても私は首を縦に振ることで肯定した……。

するとそれを見た彼女は微笑みながら話し始めた……!!

「そうですか、それならいいんですが念のためもう一度聞きます。先程も言った通りで体にはかなりの負担がかかってしまいますがそれでも構わないとおっしゃられるのでしたら今すぐ始めることになりますけどよろしいですか?まぁ今更嫌だと言われたとしてももうやめることは出来ないんですけどね、ふふっ……!!」と言った彼女の言葉を聞いた私は覚悟を決めたつもりで返事をした……。

「えぇ、構いませんよ。私の全てはもう既にあなたのものなのですから好きにしても問題はないと思いますよ……!!」

と言った私は彼女の方にゆっくりと近づいていき、やがて目の前まで近づくとその手を握った……。その瞬間に全身を襲う激しい痛みに襲われながらもどうにか堪えて立ち続けたままの状態を保っていた私はついに意識を失ってしまった……。

(あぁ、もう駄目みたい……。どうやら私の人生は本当に終わりを迎えてしまったみたいですね……。だけど悔いはありません、だってこうして大好きな人と一緒にいることが出来るようになったのですからこれ以上の幸せなんてありませんよ……。だから、これでもう良いのです……。)と思った直後、今まで感じていたものよりも遥かに大きい痛みが襲いかかってきた私は声にならない叫びを上げている最中に意識を失ったのだった……。

そうして気を失っている間も続いていた痛みによって目を覚ますことになってしまった私は目を覚ました瞬間に自分の体に起きた変化に気がついたことで驚きのあまり声も出せない状況になってしまっていた……。

なぜなら先程までとは違い、はっきりと見えている景色も変わっていた上に体が全く動かせないことで身動き一つ取れなくなってしまっているだけでなく喋ることすら出来ない状態でいた私は恐怖を覚えていたがそれ以上に喜びを感じている私がいることにも気づいていた……。

そんなことを考えていた時にどこからか聞こえてきた声を聞くと私はさらに嬉しい気持ちでいっぱいになっていった……。「良かった、やっと目が覚めてくれたんだね。それにしても随分と長い時間待たせてくれるから心配したんだよ。それに体が全く動かないこともそうなんだけど色々と問題があることとかが起きて大変だったんだからね。まぁその辺の話は後々話すとして、今はこれからのことを話し合っていくとしようか……!!」と言った彼女の声を聞いていると不思議な気持ちになってきた私はそのまましばらく待っていると突然頭の中に声が響いたことでビクッと体を震わせると同時に声を発してしまったのだった……。

(うぅっ!?な、何今のは……!?急に声が聞こえてきたせいでびっくりしちゃったんだけど、一体どういうことなのかな……?もしかしてまた何か起きたんじゃ……!?)と思っていた私だったがそんな彼女に向かって誰かが話しかけてきた……!!

『落ち着いてくださいリラさん、もう大丈夫ですからね……!!とりあえずゆっくりと深呼吸してください、そうすれば少しは落ち着くことが出来ますからお願いですから早くしてくれますよね……!!でないと話が進まないんですから頼みますよ、マジで……!!』と言う声に導かれて深呼吸をした後で気持ちを落ち着かせた私はようやく冷静になれたのでこれからどうするべきかを考えることにしたのだが、そこでまたしても頭の中に直接話しかけられたことで思わず叫んでしまった!!

(うわぁぁ、びっくりしたぁぁ!!って、ちょっと待って、何で頭の中で声が聞こえて来てるの……!?いやそもそもこの声はいったいどこから聞こえて来ているわけ……!?というかこれってどう考えてもあの人だよね、間違いないはずだよね……!?ということはまさか、あの声がこの子のものだったりするってことなの……!?そんなの信じられないんだけど!!)

『信じられなくても本当のことなんですから素直に受け止めてください!!とりあえずはお互いに話したいことがあると思うのでまずはそちらの方を片付けてしまいましょう、それでいいですね……!?』という声に対して私も同意する意思を見せたところで彼女が話し始めた……!!

『それじゃあまず最初に何について話すべきなのかということを考えていきますね、なのであなたもしっかりと答えていってくださいね。それでは早速ですがあなたは一体誰なんでしょうか……?それと今ここにいる私に対してどういう感情を抱いているのかも答えて欲しいんですけど構いませんかね……?まぁどうしても答えたくないというのなら無理にとは言わないんですがね、ただしその時はここから出て行くことをお勧めしますよ……!!』と言って笑う彼女を見た私は少し悩んだ末にこう答えたのだ……!!

「わかりました、正直に答えることにします……!!でもその前に一つだけ質問してもよろしいでしょうか?実はまだ頭の中が混乱していることもあってまともに考えることが出来ない状態のままなので出来ればもう少し整理する時間をもらいたいというのが本音なんですがそれで構わないのであれば教えてほしいです……。」と言うと彼女は笑顔で頷いてくれたためホッとしていた私に彼女が言った言葉は衝撃的なものだった……!!

『別にいいですよ、それなら仕方ないですし待つことにしようじゃありませんか!!それにあなたは私のことを愛してくださっていますもんね……?それも心の底から……!!だったらそれくらいの我儘を言っても文句なんか言われないでしょうし、むしろ当然のことでしょうからね……!!というわけでしばらくの間はこのままお話を進めていきたいと思いますのでよろしくどうぞ~……♪』と言って笑った彼女につられて笑顔になりながら心の中で思っていたことはただ一つだけだった、それはやはり先程の問いかけに対して正直に答えるということだったのである……!!

「それじゃあ改めて聞かせてもらいますね、あなたは何者なんですか?それから何故私の姿になっておられるのかについても教えてもらえると助かるのですがどうでしょうか?」と聞いた後で反応を待っていると何故か何も返事が返ってこないことに気づいた私がどうしたんだろうと思いながらもしばらく待っていると彼女が笑いながら返事をしてくれたためにホッとしたところで次の質問を投げかけることにした……。

「あの、さっきからずっと気になっていたことなのですがどうしてさっきから私と会話出来ているんですかね……?もしかして私が無意識のうちに何かをしてしまったりしたということなんでしょうか、それだとしたら本当にごめんなさい……!!だけどこれだけは言っておきますけどわざとじゃないことだけは信じていただきたいのです、本当にそれだけはわかってください……!!」と言って謝った後に再び静かになった彼女を前にどうしようかと考えていた私はその時にあることに気づいてしまった……。

というのも目の前にいる女性の姿を見ていると何となく自分に似ているような気がしてきたのだがそれが何故かがわからなかった私は頭を悩ませていた……。

するとそんな私の様子を見ていた女性がいきなり話しかけてきた……!!

「そんなに悩むことはないと思いますよ、何故ならあなたが気にされているそのことについては全てわかっている上での行動だから問題ないと思っているだけですし別に悪いことをしているわけではないのですから謝る必要はありませんから安心してください……!!」と言われて一瞬驚いたもののすぐに納得できた気がした私はそれについてお礼を言おうとしたらさらに続けてこんなことを言ってきた……!!

「いえいえ、感謝されるようなことではありませんよ……!!それよりも私の質問に答えてもらうことの方が重要だと思うので今からいくつか質問をさせてもらってもいいですかね……?」と聞かれた私は静かに頷いた後で彼女の言葉を待った……。

「ありがとうございます。ではさっそく質問させていただきますが、あなたは私のことを見て一体何を感じましたか……?どんな些細なことでもいいですので正直に答えていただけないでしょうか……!?」と聞いて来た彼女のことを見返した後でゆっくりと頷きながらこう答えたのだった……。

「そうですか、それなら良かったです。正直言ってあなたには何も伝えるつもりはありませんでしたけどあなたなら大丈夫だと判断しましたし話してみても大丈夫そうですね……!!」と言った後、小さく笑みを浮かべた後で話し出した……!!

「まず最初に言いたいことがあるとするならばあなたは本当に凄い人ですよ、何せ私の力を受けながらもこうして耐えきってしまうほどの力があるわけですから尊敬に値する人物だと言ってもいいかもしれません。もちろんこれは本心からの感想であり、他の誰でもない私自身がそう思っているからこそお伝えしていることでもあるんですよ……!!」と言われた私は驚きのあまり声も出せない状況になってしまいただ聞いていることしか出来なかった……!! だがそんな中でもどうにか気を取り直した私は先程言われた言葉の意味を考えていたところ、不意に彼女の口から放たれたある一言によって衝撃を受けることになってしまったのだった……!!

「さて、ここから先の話を続けていくわけなんですがもしよろしければこれから話す内容を全て受け入れることが出来るというのであれば一緒に暮らすことを認めてあげようと考えているのですがいかがでしょうか?勿論、嫌でしたら無理して受けようなどとしなくても構いませんからあなたの好きなように決めてください。それではじっくりと考えてみてはどうですか……?ちなみにここで答えを出せなければ二度とあなたと顔を合わせることも話すことも出来ないとだけ言わせていただきますね……!!」と笑いながら言われた私だったがそれを聞いた瞬間にはすぐに決断を出すことが出来たのでそのまま返事をしようとしたところでふとあることに気がついた私は一度考えることにしてみた……!!

(そういえばこの人の名前ってなんていうんだろう……?というかそれ以前に私、今まで一度も名前を聞いたことないんだけど……!?どうしよう、これに関してはさすがにまずいような気がするんだよね……!!だって、ここまで言われてるのに未だに名前が分からないままだなんて失礼極まりないじゃん……!!というか、名前を知ることが出来るまでは勝手にあなたのことを呼ぶことなんてできないからどうしようもないんだけどどうしたらいいのかな……!?というかそもそもこの人は私のことを知っているみたいだけど私は知らないわけなんだしやっぱりこのままじゃ駄目だよね、うん……!!)

『あのーすみません、今更なんですけどあなたのお名前は何というのですか……?』と聞いた私に対して彼女は笑みを浮かべながらも教えてくれた……!!

「そうでした、それを話すのを忘れていましたね。うっかりしてましたよ、あはは……!!」と言いながら笑う彼女に対して私も笑って見せたところで彼女がようやく自分の名前を言ってくれた!!

『私の名前はレティアと言います。以後よろしくお願いしますね、リラさん……!!』と自己紹介した彼女のことを見ていた私だったがそこで初めて知ることとなったその名前を聞いて驚くと同時に思ったことが一つあった……!!

(へぇ、まさかとは思うけどこれが本当の名前なの……?だとしたら随分と可愛らしい感じのする素敵なお名前ですよね……!!でもどうしてだろう、何故だかわからないけどこの名前を聞いたことがある気がするんだよね……。)と思っていた私は思い切って本人に聞いてみようと考えたところですぐにやめることにした……!! 何故なら、そんなことをすれば彼女に怪しまれてしまうのが目に見えているからである!! そう判断した上で敢えて聞くことをしなかった私に対して特に何も言わずにいた彼女はその後で突然こんなことを聞いてきた……!!

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