第9話

「あっ、来てくれたんだね!ありがとう♪……実はね、さっきあいつと話し合いをしてたんだけどさ、そしたらいつの間にかこんな風になっちゃってたんだ!」……あ、あはは……!そ、そうだったんだ〜!いやぁ〜、それは災難だったねぇ〜!(棒読み)……って違うだろぉぉぉ〜!!!!どう考えてもそれだけが原因じゃないよこれぇ〜!!!明らかにそれ以外に何かあったとしか思えないじゃないですかぁ〜!!そうツッコミを入れたいところだったのだが、実際に口にすることはできずにいた!なぜなら、ここで私がそんなことを言ってしまえば確実に面倒ごとになるであろうということが目に見えていたからである!!だがしかし、それでも黙っているわけにはいかなかった私は思い切って彼女に尋ねてみることにした!

「……あのさ、もしかしてだけどさっきのことまだ怒ってるんじゃないよね??」と、控えめに聞いたつもりだったがどうやら彼女にはしっかり聞こえていたらしく一瞬ビクッとなると同時に体を硬直させたまま動かなくなった。それを見ていた私は確信を持つとともにさらに追求することにした!

「正直に教えて欲しいのだけどあなたは一体何をしたのかしら??」……それに対してしばらく黙り込んでいた彼女だったがとうとう我慢の限界に達したのか半ば自暴自棄になりつつも素直に答えてくれる気になったようでボソッとこんなことを呟いてきた……!

「わ、私があいつの悪口言ってたのを聞いたあんたが怒って殴りかかってきたからついカッとなってこっちも応戦しちゃっただけよ!!」……え、えぇ〜!そ、それだけであの状況になったんですかぁぁ〜!!さすがにそれはないでしょう!!というかいくらなんでも短気すぎやしませんかあなた!?仮にそうだとしたら完全に自業自得ですよねぇっ!(←容赦のないツッコミ)……だが、彼女の話を聞く限りでは確かにそういう理由もありそうだなと思ってしまったのも事実である!それに何より彼女が言っていたことは何も間違っていないように感じられたのだからそれもまた事実でしかなかった!そのためこれ以上彼女を問い詰めることは出来なくなったわけだが、そうなると今度はどう接すればいいのか分からなくなってしまい言葉に困ってしまっていたところで勇者君が目を覚ましてくれたことでこの話は終わりを迎えることになったのだった! その後、改めて三人で話し合った結果、今回の計画についてはもうお開きにしようという結論に至ったことで早速片付けに取りかかることにした!……しかし、この時の私達はまだ知らなかった。これから起こるさらなる悲劇の始まりを知る由もなかったというその事実に……!

「ふぅ〜、これで全部ですねっ!」と、そう言って汗を拭う素振りをしながら額の汗を拭っていた武闘家ちゃんの隣で私は同じく額にかいていた汗を軽く拭いながら笑顔で頷いてみせると作業が終了したことを伝えるために他の二人に知らせに向かった!

「おーい、そっちは終わったかな〜?」……そう言いながらゆっくりと歩いてきた私を見た勇者君は驚いた表情を浮かべて固まってしまったのだが、その理由というのが今の私の服装にあるということは言うまでもないだろう!……だって、今の私はなんとスクール水着を着用しているからね!!まぁでも仕方ないと思うんですよ。なにせあの時はまだ暑い日が続くような季節だったので着ていて不自然じゃないものをと考えた時に真っ先に思いついたのがそれだったというだけのことなのです!(※ちなみにですが一応言っておくと私は別に露出癖があるわけではないですからねっ?!)……なのでそんなにまじまじと見ないでくださいってばぁっ!恥ずかしいからぁ〜!!

(あぁ〜、早く着替えたいよぉ〜!お願いだからあんまりジロジロ見ないでぇぇ〜!!!)

そんなことを考えながら内心悶えているとようやく勇者君が動き出してくれそうな気配がしたのでひとまず安心したのですが、その直後にいきなり飛びかかられたかと思えばそのまま押し倒されてしまったではありませんか!……えっ?!ちょ、ちょっと待ってくださいよぉっ!!どうしてこうなるんですかぁぁっ!!!……などと叫んでいる間に彼の行動はさらにエスカレートしていったかと思うと、あろうことが服の中に手を入れてきちゃったじゃありませんかぁぁぁっっ!!!!?ちょっ、どこ触ってるんですかあなたぁぁぁぁっ!!!!?……などと動揺している私の気持ちなど気にすることなくどんどん先へと進んでいこうとしていた彼でしたが、その最中ふと我に返ったのか突然動きを止めたと思うと何故か申し訳なさそうに謝り出したのです!……そして彼はこう続けた。

「ご、ごめんよ……!本当はもっと別のことをしたいところなんだけど、今はどうしても我慢出来ないみたいなんだ……!だから、今から少しだけ付き合ってもらうことにするね……」………………………………はい??いやいやいや!!何言っちゃってくれてるんですかこの人ぉ〜!!!!ちょっと待ちなさいって!!そもそも今こんな状況になったのはあなたのせいなんですから責任を取るべきなのは私じゃなくてむしろ武闘家さんの方でしょうっ!?それなのになんで私だけこんなに責められなくちゃいけないんですかぁぁぁ!!!(←大混乱)……っていやいやそうじゃないっ!!そんなことよりもまずはこの状況をどうにかするのが先決だよねぇ!!うん、そうだっ!……というわけで、私は何とか抵抗しようと試みた!

「だ、ダメだよっ!こういうことをするためには色々と順番を踏まないといけないんだからまずは落ち着いて話し合いをするところから始めようよ……!」……よしっ、これなら上手くいくはず……!あとはここからどうやって説得していくかだね。……そう思いながら次の言葉を選んでいたその時でした!「……へぇ、そうなんだ。それじゃあ今すぐ試してみてもいいよね……?」と言いながら彼がニヤリと笑ったかと思うと同時に何やら怪しげな動きをし始めたのでそれを見て嫌な予感を感じた私はすぐにそれを止めさせようと叫んだ!

「ダ、ダメに決まってるでしょぉぉ〜!!」……ってあれ?な、なんか思ってた反応と違うんですけどぉぉ〜〜!!普通だったらここで一旦止まってくれてもいいくらいなのにどうして全然止まる気配ないんですかぁぁ?!というかそれ以前に私の話聞いてますぅぅ!?……なんて感じで内心で叫びながら慌てふためいているとそこへ助け舟を出してくれるかのように勇者君を引き剥がすことに成功した武闘家ちゃんが割って入ってきたのである!そんな彼女は私と勇者君の体の間に腕を滑り込ませるとそのまま強引に押し倒すような形で床に寝かせてからこう言ってきた!

「大丈夫だった?……まったくあんたったら相変わらずなんだから……!いくら好きだからといっても少しは相手のことも考えてあげなさいよね!それにこの子はまだ経験してないみたいだからあまり無茶させるようなことはしないでよねっ!」と言って私のことを庇うようにして前に出てくれました!それに対して勇者君も少しやりすぎたことを自覚していたようで申し訳なさそうにしながら謝罪すると「ごめんね、今度からは気をつけるよ」と言った後、私の方に視線を向けてきたのですがその際なぜか顔を赤らめながら目を逸らされてしまい、それを見た私は首を傾げながらも一応返事を返しておいたのだった!(……しかしこの時はまだ気づいていなかった!それが何を意味していたのかということを!)

そしてそれから間もなくのこと、すっかり元通りの姿になった私達は再び最後の片付けを済ませてしまうと、いよいよこのパーティーをお開きにして解散することにしました!こうして始まった魔王城生活もついに残すところはあと一ヶ所だけとなってしまいましたが、それは明日以降に行う予定となっているので今日はもう寝ることにしましょう!……ということで各自部屋に戻っていった後はそれぞれのベッドに潜り込むなりすぐさま眠りについた私達だった!……だが、ここで一つ問題が起きてきてしまったのだ!というのも実はこの部屋には二段ベッドが用意されているのですが、普段はそこで眠っていたはずの私が今回はなぜか一人で寝かされることになったからだ!……うぅ~ん、まぁ別にいいんだけどさ、正直言ってやっぱりなんだか違和感があって慣れないんだよねぇ〜。……とはいえ文句を言ったところでどうにもならないしとりあえず大人しく従っておくしかないと思った私は素直にそれに従った上で眠りにつくことにしたのだったが、やはりここでも問題が起こってしまい眠れずに困っているうちに時間がどんどん過ぎていってしまったために最終的に寝不足に陥ってしまった私は翌朝になってもまだ頭が冴えずボーッとした状態でいたために朝っぱらから皆に心配をかけさせちゃうことになってしまったのだ!

「……大丈夫ですかぁ~?」

「え、えぇ、大丈夫ですよ!……あははっ!!」

「そうは見えないけどねぇ〜。一体どうしたっていうのさ、そんな辛気臭い顔しちゃってさ。」

「あ、あははっ!!いやぁ、これはですね……」

と、そんな風に適当に言葉を濁しているといつの間にか近くにいた勇者君が急に話しかけてきたではないか!しかもあろうことかそのまま私をお姫様抱っこするなり部屋を出ていこうとしたものだから思わず驚きの声を漏らしてしまっていた!

「……へ?ちょ、ちょっと待ってくださいよぉっ!!一体どこに行くつもりなんですかぁぁ?!」

「どこって、決まってるじゃないか。君をこのまま放っておくことなんて僕には出来ないから、今日は僕と一緒に過ごすといいよ。」

「……え。」……はい?

「いや、あの……別にそういうのはいらないですからぁぁぁっっ!!!!」……その後どうなったかというと、結局力では彼に敵うわけもなかった私は無理矢理連れ出されて部屋に戻れなくなってしまっていました……はぁ、どうしてこんなことになっちゃったんだろう……?……などと嘆いていてもしょうがないので気持ちを切り替えた後にもう一度考えてみることにした私でしたが、それでもこれといっていい案が浮かぶことはなく時間だけがただ過ぎていくばかりでした!……と、その時のことだった。突如私の頭に一つの考えが浮かび上がりその考えとはまさに今の状況を変えることが出来るであろう唯一の手段でしかなかった!そしてそれを実行しようと決意した私は意を決して三人に声をかけようと口を開いた瞬間、先に向こうの方から声をかけてきたのであった!

「あっ、そういえばさ。さっきは途中で話が終わっちゃったけど、結局君は一体何をしたかったんだい??」……えっ?あ、あれれ??そ、そう言えば確かにそんなことを言っていたような気が……?

「……えっと、確か……『今ここにいる四人全員が揃って初めて真の友情が生まれる』的なことを言ってましたっけ?」

「そうそう、そういうことです!!つまり今のあなた達にはお互いに欠けてしまっているものが何か分かりますか??」……この質問にはすぐに答えることが出来たようで、みんな迷うことなく頷いて答えてみせた。

「はい、よく出来ました!!それでは改めて聞きますが、あなたたちにとって最も大切なものっていったい何だと思いますか??」

「……うーん、難しいなぁ……。」

と勇者君が唸りながら頭を悩ませていると続いて武闘家ちゃんも分からないと言い始めてしまい完全に行き詰まってしまったところで今度は僧侶ちゃんから質問してきた。「それでしたらあなたはどうなのですか??」……えっ、お、おぉっ??ま、まさかこっちに話を振られるとは思っていなかったのでビックリしつつもなんとか平静を装ってこう答えた。「そうですね、私だったら一番大切にしたいのは仲間や友人といったかけがえのない人達だと思いますよ!そのおかげで毎日楽しい日々を過ごすことが出来ているんですから本当にありがたいと思っています♪」……するとそれを聞いた僧侶ちゃんはどこか納得したかのような表情を浮かべたかと思うとゆっくりと頷いてみせた後、優しい笑みを浮かべながらこう言ってくれたのだった。

「ふふっ、そうですか。それを聞いて安心しました♪あなたがちゃんと分かってくれている人で良かったです♪」……ってあれ?これってどういう意味なんだろう??というか、どうして彼女がそんなことを言う必要があったのだろうかという疑問を抱いた私はそれについて尋ねてみたところ彼女は嬉しそうに笑いながらこう言った!

「いえ、なんでもありませんから気にしないでください。」……いやいや気になるよ?!なんでそんな思わせぶりなこと言っちゃったんですかぁ〜!!?などと心の中でツッコミながらもこれ以上聞いても答えてはくれないだろうと思ったので諦めることにした私だったのだが、そこで不意に武闘家ちゃんが質問をした。「ちなみになんだけどさぁ、あんたが一番大切にしたいものとかってなんなの?」

すると僧侶ちゃんはそれにすぐに答える代わりにこんな行動を取ってきたのだが、それを見た私たちは皆揃って言葉を失ってしまっていた!なぜならなんといきなり抱きついてきたと思ったらそのままキスをされた上に耳元でこんなことを囁かれてしまったからだ!……え、えぇっとぉ〜!!……ど、どういうことぉぉぉ〜〜???!!!!

(……ふぅ、これでようやく終わったようですね。一時はどうなることかと思いましたが、どうやら上手く解決出来たみたいですし何よりでした。……とはいえ、これから先に待ち受けているのは恐らくこれまで以上に厳しい試練ばかりなのでしょうけれど、きっと大丈夫でしょう!何故なら私には頼りになる仲間達がこんなにも側にいてくれているのだから、恐れるものなど何もありませんからね!……なので皆さん、これからもよろしくお願いしますね!)……というわけで、今回で魔王城生活は終わりとなります!……次回からはまた新たな展開を迎えることになると思いますのでどうぞお楽しみにしていて下さいね! さて、そんなわけで無事に魔王城を出られた勇者君達一行なのだが……それから数日後のある夜、勇者君の部屋にてちょっとした事件が起こっていた……!……と言うのも、突然勇者君の部屋のドアが勢いよく開いてそこから慌てた様子で武闘家ちゃんが飛び込んできたかと思うと、彼はそんな彼女に対して大声で叫んだのである!

「き、君は誰だい?!僕の部屋に入ってくるなんてどういうつもりなんだい!?」……だが、これに対して武闘家ちゃんはなぜか不思議そうな顔をしながらこう返答した!

「え、何を言ってるんですかあなたっ!?私のことを忘れてしまったとでも言うのですか?!」……しかし当然ながら彼からすれば全く身に覚えのない相手だったので、すぐに首を横に振ると否定の意思を示しながら彼女にこう言った。

「いや、そんなことはないはずだよ。でも、悪いけど君のことは記憶にないんだよね……。」するとその言葉を聞いた武闘家ちゃんはショックを隠しきれない様子になっていたのだが、その直後に勇者君の背後に立っていた私と目があった途端にまるで時が止まったかのようにピタリと動きを止めてしまった!それを見た私は思わず首を傾げていると今度は勇者君も後ろを振り返って彼女を見ながら私に問いかけてきたのだった。「……ねぇ、もしかして彼女のことを知ってるのかい?」……それに対して私は正直に知っていると答えた後で自己紹介も交えて簡単に説明してあげようとした矢先、それよりも早く動き始めた武闘家ちゃんは目にも止まらぬ速さで彼に抱きついたかと思えば彼の頬っぺたにキスをしてみせたではないか!!そしてその瞬間、なぜか頭の中である映像が流れ込んできてそのまま意識が遠退いていったと思った時には既に気を失っていたのであった……。……それからどれくらい経った頃だろうか。ふと目が覚めたことで意識を覚醒させた私はぼんやりとした状態のまま部屋の中を見渡してみたところ特にこれといって変わったところは見られなかったが、ただ一つあることに気がついたのだ!それは私が今まで座っていたはずのベッドの上に誰かが寝ていた形跡があることであり、さらにはその人が身につけていた衣服が私の着ている服と同じものだったことである!!それを見て思わず驚きの声を漏らしてしまった私だったが、それと同時に先ほど自分が体験したことに対する恐怖が込み上げてくると共に冷や汗まで流れ出してきてしまっていた……。「……ゆ、夢じゃないよね……?だってあれは明らかに現実だったわけだし、何よりもあの武闘家の人の顔を思い出してみても間違いなく本人としか思えないもん……!」

そう思い直した私ではあったが、ここでとあることが頭をよぎったため恐る恐るそれを確かめてみることにしてみた……。

「……ということはつまりですよ、あれが勇者君の仕業だとしたら今ここには誰もいないはずなわけだからこれはチャンスってことですよね?だ、だけどどうやってあんなことをしたのかについてはやっぱり気になっちゃいますよね……?で、でもまぁ別に悪いことではないですしむしろ歓迎すべきことでもあるわけでして……!!」

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