第8話

 刷毛目との会話の音声データを渡した翌々日、新景は国立特殊感染症研究機構千葉支部に勤務する職員全員分の顔写真のデータを持ってきた。

「この中に血液を盗み出した人物がいれば、刷毛目寿美礼が接している可能性があるでしょう?」

 応接室でノートパソコンの画面に何枚もの画像データを展開させる新景は刷毛目との面会を希望したが、冬子は及び腰だった。

「新景さんは言わなくてもいいことをおっしゃりそうで、嫌です」

「嫌もなにも、仕事ですよ。それに、わたしはいたって常識的な人間です。一般的な公務員ですよ」

 横に座る朽木も顔をしかめた。

「そう言う人ほど一般が期待する常識から少しずれているんですよ。そのパソコンをお借りして、俺と林野で確認してきます。その間、あなたはここでお待ちいただけますか」

「嫌です。どうして仕事用のパソコンをあなたがたにお貸ししなければならないんですか。調査妨害としてあなたがたを訴えることも可能ですから」

 朽木はあからさまに舌打ちをしてセンター内用のモバイルフォンを取り出した。刷毛目の部屋の内線に架電し、新景来訪の旨を告げる。

「来てもいいと本人が言いました」モバイルフォンを胸元へ戻しながら朽木は言った。「面会申請書が必要です。手間を省くために、一緒に総務部までご同道いただきたい。それから、収容者に対する余計な発言は厳に謹んでくださいご協力いただけない場合、すぐに退室いただきます」

 朽木は新景を伴って総務部へ赴き、面会申請書を記入してその場で提出した。当日、しかも面会者が来訪してからの書類提出に総務部の事務員は顔をしかめたが、新景の所属先を見てすぐに承認印を押した。

 防護服に身を包み、刷毛目の部屋を訪れると、部屋の主はテーブルについてのんびりとテレビを観ていた。テレビの画面には一昔前のドラマの再放送が流れている。

「こんにちは、刷毛目寿美礼さん」

 無遠慮に刷毛目の前へ新景は座る。刷毛目は少し気圧されたかのように身を固めた。

「わたしは特殊感染症管理局関東支部、調査第一課の新景と申します。新星病院でも何度か対面させていただきましたが、覚えていらっしゃいますか」

「いいえ、ごめんなさい。いろんなひとが来ていたから」

「そうですよね。新星病院では、あなたはこうやってこちらの顔を見てもくれなかったのですから」

「その節はごめんなさいね。今日のご用事はなんですか。もう、わたしは自分の名前も、経歴も朽木先生や林野さんにお話ししていますけど」

「とりあえず、テレビを切っていただいてもよろしいですか」

 刷毛目は戸惑いを見せながらもテレビのリモコンを操作した。瞬間、静寂が部屋を支配する。

「今日はあなたに、たくさんのポートレイトを見ていただきたいのです。ここに知っている人がいれば、教えてください」

 新景はさっそくパソコンの画面を刷毛目に見せ、何枚かの写真を次々に見せた。

「ポートレイトというより、証明写真ね。これは、どういう写真なのかしら」

「国立特殊感染症研究機構千葉支部の全職員です。以前、この施設からUNGウイルス感染者の血液が盗まれました。おそらく、あなたが投与された血液はその盗まれた血液だとわたしは推測しています」

「その泥棒が、ワールドホープの関係者なんじゃないかってこと?」

「そういうことです。捜査にご協力ください。あなたに拒否権はありません」

「朽木先生、林野さん、なんだかわたし、この人のこと嫌いだわ」

「すみません、刷毛目さん。社会のために必要なことです。この人を好きになる必要はまったくありません」

 朽木が言うと、刷毛目はチャーミングに口の端を上げて「わかった」とうなずいた。

 約一時間で五百五十三名分の証明写真を照会したが、刷毛目が知る顔はなかった。

 徒労か、と冬子は思ったが、新景は安堵したように「良かった」とパソコンを閉じた。

「少なくともこれで、機構の人間にワールドホープに関わった人物はないことになる」

「でも、わたしだってホープの関係者全員を知っていたわけではないですよ。スタッフや、合宿所にいた人たちはみんな顔見知りだけど、都内のミーティングルームに出入りするだけのスポットの人だと、よくわからないし」

「そのスポットの人も、主宰と接する機会はありますか?」

「ええ。みんな、初めは八星さんと話すのよ。彼が各個人から相談を聞いて、アドバイスをするの。それから、スタッフや他の参加者との交流が始まる。――でも、みんながみんな、交流するわけではなかった」

「どういうことです?」

「相談だけで、帰される人もいたから。もしかしたら、あれは面接だったのかもしれない。ワールドホープに適しているかどうか見極めるための」

「同調できる人間のみを取り込んだ方が、組織としては運営がしやすい、ということでしょうか」

「もしかしたら、そうかも」

 新景は千葉支部の職員が関わった可能性の有無についてはそれ以上言及せず、刷毛目にワールドホープの実態について尋ねた。

「ワールドホープは雑居ビルの二フロアを借りていたの。二階は事務所で、三階がミーティングルーム。一階はどこにでもある定食屋、四階は整体、五階は建築事務所で、ホープとは無関係だと思う。初めてホープに来た人は、まず二階の事務所で八星さんと一時間くらい話をするの。予約制だったけれど、飛び込みの人も多いって聞いた。八星さんはいつもニコニコして、誰の話でも聞いていたと思う。それで、話が終わったら三階のミーティングルームに案内するの。たぶん八星さんが認めた人だけ。ミーティングルームにはいつも誰かしら人がいて、お菓子を食べながらお話をしていた。出入りは自由だったし、どんな人が来てもみんな受け入れていた。デトックスウォーターなんていう苦味のある水を提供されて、初めは『宗教っぽくて嫌だな』って思っていたんだけど、その水は売り物じゃなくてここへ来た人へ無料で提供する善意の水だって言われて。それはそれで宗教っぽくてわたしはほんの少し違和感があったけど、ミーティングルームではなにを話しても否定されないから、結局は居心地がよくなっちゃったのね。自己肯定感が充足される感じ。みんな、『変身症に対して何かしらある』共通点を持っていたからか、妙な連帯感もあって。特に、家族や親類縁者から感染者が出た人の話は聞いていて痛々しくて、この人たちのためになにかしたいと自然に使命感が自分の中に生まれてしまって。いま思えば、やっぱり初めに感じた違和感に従って深入りしなければよかった」

「なるほど。八星救輪廻の他に、組織の幹部のような人物はいませんでしたか?」

 新景の問いに、刷毛目は「黒いスーツの男が三人。大幹部と呼ばれていました」と答えた。

「大幹部は三人とも八星さんより若かった。学生なんじゃないかと思う人もいて、みんな頭が良さそうなんだけど、どこか子供じみていて、ちぐはぐな感じ」

「名前は?」

「本名はわからないわ。それぞれ、セツ、エノス、カイナンと呼び合っていた」

 それを聞いた朽木は忌々しそうに長い息をついた。

「聖書ですね。カイナンはエノスの子、エノスはセツの子、セツはアダムの子」

「アダムとイヴの子供は、兄弟殺しのカインとアベルではないのですか?」新景が朽木に訊く。

「その兄弟の弟です。セツは、カインがアベルを殺した後に生まれた子で、方舟で有名なノアの先祖。――特に意味もないのではないでしょうか、それらの名前をつけたことに」

「なぜ、そんなことが言えるんですか?」

 重ねて問う新景を、朽木は手振りでいなした。刷毛目の前でする話ではない、ということか。新景は意図を理解して聴取相手に向き直る。

「あなたがいた合宿所は、どこにあるのでしょうか」

「わからない」刷毛目は即答した。「池袋にあったミーティングルームの前から車で出発したの。車にはわたしの他に、セツさんとカイナンさんしかいなかった。車に乗ると同時に目隠しをされて、到着までそのまま。乗り込む前にトイレに行っていたけど、移動してからだいぶ経って尿意を感じ初めて、もう限界で無理、と思ったあたりでようやく到着したの。途中からの道は舗装されていなくて土がむき出しの田舎道だったんだと思う、タイヤからの振動がかなりあったから」

 都心から車で二〜四時間程度の場所だろうか。

「その合宿所はいつ頃できたか、ご存知ですか」

「それもよく知らない。でも、最近じゃないかしら。一年以上いたスタッフはいなかったから。わたしも、半年くらい前に連れて行ってもらった」

「合宿所ができた当初からいたスタッフは?」

「いなかったです。わたしが知っている人たちは、みんな途中から」

「当初のスタッフは途中でいなくなったのでしょうか」

 刷毛目は小首をかしげた。

「少なくとも、八星さんと大幹部三人以外にも一人二人はいたらしいの、みなさんの話を聞く限りでは。でも、いなくなった人がどうしていなくなったか、いついなくなったか、いなくなった後はなにをしているかはわからない。誰も知らなかったから」

「いついなくなったかも、わからないのですか」

「いつの間にか、だったらしくて」

 どことなく気持ち悪さを感じる。それは朽木や同様らしく、三人の間で妙な間が生まれた。

「刷毛目さんは、その合宿所でどのような仕事をされていたのですか」

「みなさんのお世話係。合宿所には、基本的に身内が収容されて差別に遭い、生活がままならなくなった人たちが来たから、スタッフではその人たちのサポートをしていたの。基本的にはみなさんも炊事や掃除に関わるけど、その差配やお膳立てはスタッフの仕事といった感じで」

「みなさん、とはすべて身内が収容された人々ですか? たとえば、葦手もあは変身症とは無関係ですが」

「彼女は、住む場所がなくてミーティングルームを寝ぐらにしていたの。合宿所のほうがお風呂もあるし三食ちゃんと食べられるからって八星さんが厚意で移動させたみたいで。彼女ほど極端でなくても、居場所がなくて合宿所へ来ることになった若い子は他にも数名いた」

「なるほど。合宿所には、スタッフ含めて何人ほどが寝食を共にしていたのですか?」

「スタッフは、大幹部以外で十六名。その十六名のうち六名は幹部として大幹部の補佐をしていた。被保護者のみなさんは、二十名くらいかしら。増えたり、減ったりしたけど、だいたいそれくらい」

「減るとは、合宿所から出るということですか」

「あるときいきなり、いなくなるの」

 また、三人の間で気持ち悪さを共有した。普通は施設から出る日があらかじめ決まっていて、それまで共に暮らした人々に別れを告げるものではないのか。それができない去り方とは?

「八星は、スタッフの方や、合宿所にいる人々とトラブルを起こすことはありましたか?」

「なかった」即答。「八星さんはいつもニコニコしてて。お話しすれば、こちらが期待していることをお話ししてくれるんだけど、黙っているときは何も考えていない様な無邪気な子供みたいで、なんだかそのギャップに心酔する人も多かったみたい。わたしは、ちょっと変だけどそういう人なのかな、くらいにしか思っていなかった。あ、でも、大幹部や幹部の人は、たまに誰かと揉めたりはしていたかな」

「揉める?」

「ええ。揉めると言うか、クレームを受けていたと言うか。八星さんには言いにくいことを、スタッフや大幹部にぶつける人はたまにいたから。それで大幹部はちゃんと対応するだけど、双方が納得しないまま数日経ってしまうようなこともあって」

「たとえばどんな内容ですか」

「食事のこと。粗食だったんですよ。木の実とか、おかゆとかそんなのばっかりで。タンパク質を食べさせろと言う人がいた」

「それに対して大幹部はなんと?」

「変身症になった人の悲しみに思いを馳せるために、我々は贅沢が許されないのです、と」

「他にはなにかありませんでしたか」

「洗濯機を導入しろ」

「手で洗濯していたのですか?」

「ええ。大幹部は、文明のない生活をすることによって生きていることの大切さを実感しましょうと言っていたから。あとは、毎日、八星さんか、もしくは大幹部のお話を聞くんだけど」

「どんな内容です?」

「人々は変身症によって虫になればいいことがある、楽園に行けると。そんなの嘘だ、そんな話を聞きに来たんじゃない、とおっしゃる方を、二名ほど見かけた」

 楽園ですか、と新景は防護服の中に籠るような声でつぶやいた。

「あなたは楽園を信じましたか?」

 新景の問いに、刷毛目は虚ろな目で快活に笑った。

「信じるわけないじゃない。わたしは父親を殺したくて感染したんだから」

 防護服の中の三人はともに笑うことができなかった。そうですか、と新景はおだやかに言葉を閉じた。


「刷毛目寿美礼の父親の件は警察に任せてあります」

 部屋から廊下へ出るなり、新景は言った。

「おそらく、近日中に警察が面会申し込みをするでしょう。ただ、詳細はわかりませんが、どうも父親は死んでいるらしいです」

「死んでいる?」

「ええ、昨日、警察が刷毛目寿美礼のアパートに向かったそうですが、死後数日経った父親を発見したと。検死の結果は聞いていませんが、おそらくは餓死だそうです」

「娘が消えて、金蔓がなくなった末に死んだか」

「もしかすれば、そうかもしれません。つまり、刷毛目寿美礼は感染する必要がなかった」

「新景さん。どうして先ほどそれを彼女に言わなかったんですか?」

「まだ確定されていない情報を無闇に伝えるべきではありません。それに、わたしが言うよりあなたがたから伝えた方がいいでしょう。いささかでも彼女とは信頼関係にあるのですから」

 新景が言う通りだった。冬子と朽木はぐうの音も出ない。

「次は笹蔓紹太に面会させてください。先ほどと同じことをします」

「笹蔓さんは他のチームが担当しています。彼女たちも忙しいですから、日をあらためていただきたい」

「わたしも忙しいんですよ。もう一週間も官舎に戻れていないんですから」

「他の職員はいないのですか」

「いますよ。わたしとペアをくんで仕事をしている者がいます。ですが、やたらと別行動をとりたがりましてね、今日は千葉の機構まで出入り業者の名簿チェックに行っています」

「やたらと別行動を取りたがるその方の心中をお察ししますよ」

 言いつつも、朽木は準備室まで戻り、壁に備え付けの電話から鼓のモバイルフォンへ連絡をとった。いくつかのやり取りのあと受話器をおき、「そんなに言うなら、会っていいと。笹蔓さんの了解をとるから待ってて、だそうです」と言った。

「待っている間にうかがいたいのですが、朽木さん。さきほどあなたはセツ、エノス、カイナンの命名について『特に意味もないのではないでしょうか』とおっしゃいましたね。どういう意味ですか」

「老箱の父親が運営した『救済の法』は、あらゆる宗教の上澄みだけを節操なく取り入れたハリボテのような新興宗教だったんですよ。聖書や仏教の経典を適当に読み散らかして適当に取り入れた、哲学がない宗教です。ワールドホープを運営する彼らが同じ系譜にあるとするなら、積極的に自分たちの宗教を作ろうとするのではなく、既存のものから適当にピックアップしているだけなのではないかと思います」

「ノアの箱舟のノア老人は、聖書の上では現存する人類の祖ですよね? そのノアの先祖の名前を名乗ることの意味は?」

「想像がつくでしょう? 人間の源流になった気分でいるんですよ、きっと」

「いまさら? 現代に生きているのに源流もなにもないのでは」

「未来の人間にとっての源流、つまり新規の思想を全世界の人間に広げれば、新しい源流になれます」

 くだらない、と新景は吐き捨てた。

「ただ、『救済の法』はそういうことをしませんでした。そこがどうもひっかかる」

「本名以外の名前を持つことですか?」

「ええ。基本的に親を尊重することを重視する集団でしたから、親から与えられた名前は神が与えた名前とされていました。だから、わざわざ聖書から名前を引用することはしなかった」

「ワールドホープは『救済の法』そのものではないのですから、少しの違いはあるのでは?」

「そうかもしれませんが……たとえその宗教自体がいい加減なものであっても、宗教内部の決め事を反故にすることは教義の瑕疵につながります。ましてや神知が――老箱神知が、そのようなことをするかと。それに、仮に彼が独自のルールを敷いていたのだとしても、先日会った彼は両親を心底嫌悪していた様ですから、セツだのエノスだの『親子』を連想させる名前は不自然なように感じます」

 朽木の話し方は、考えていることを整理するためにアウトプットしているかのようだった。現在の八星の理解に努めようとしているのかもしれない。誰を見るともなく視点を床一点に集中させ、さらに思案している。

 そのとき、準備室の電話が鳴った。鼓から、笹蔓の面会許可を取得し、総務への面会申請は鼓班が行うとの連絡だった。ついでに、葦手もあに対する面会申請もしておくという。

「葦手もあは、聞いてもわからないのではないですか」

 ひどく消極的に新景は言う。そう思う理由を朽木が問うと、「いや、わたしは彼女に嫌われているんですよ。新星病院で聞き取りを実施したとき、噛みつかれましたから」と答える。

「防護服の上から?」

「当たり前でしょう。わたしを嫌う彼女が、まともに受け答えするとは思えない」

「それは、きっとあなたに原因がありますね」

 葦手に対しては、今日のところは聞き取りをしないことにした。三人は笹蔓紹太の部屋へ向かう。

笹蔓は極度の肥満だった。身長百六十センチメートル、体重百二十二キログラム。冬子はカルテのデータを見ていたため知ってはいたが、目の当たりにするとその大きさにたじろいでしまった。確か、高血圧と糖尿病の既往があったはずだ。笹蔓はベッドの上に長座となり、贅肉に埋もれた首を動かして挨拶をする。

「とつぜんすみません」朽木が全員の紹介と、訪室に至った経緯を説明する。「管理局の調査にご協力いただけませんか」

「かまいませんよ」笹蔓はか細い声で言った。「ぼくでよければ」

 新景は千葉支部の職員の写真を矢継ぎ早に見せた。すべてが笹蔓の記憶にヒットしなかった。新景はワールドホープに関しても尋ねたが、返ってきた返答は刷毛目が話した内容と大差なかった。

「そもそも、笹蔓さんはどうしてワールドホープなどに入ったのですか?」

「妻が感染して死んじゃったからですよ。不倫相手と病死なんて、心中みたいなものです。ぼくは知らない男に妻を永遠に奪われたんです。変身症について調べるうちにホープの存在を知って、八星さんや他のみなさんとお話しさせていただいてすごく心が洗われたんです。みんな、ぼくは悪くないと言ってくれましたし、妻を責めるでもなくむしろ妻の死を悲しんでくれた。世間はみんな、妻を悪者にしたのに、ホープの人たちは妻は決して悪くないと言ってくれたんです。特に八星さんは、悪人は妻を誘惑した男だと励ましてくれました。ぼくが愛した妻は悪くないし、ぼくだって悪くないと。何ヶ月か経って、合宿所のスタッフにならないかと誘われて二つ返事で引き受けました。勤め先は迷うことなく辞めました。妻が死んでから異動の辞令があって、誰も使わない粗大ゴミが詰め込まれている倉庫の整理を一人でずっとしていたんです。そんな職場、本当にうんざりしていましたから」

「合宿所には何ヶ月くらいいましたか」

「四ヶ月です。四ヶ月の間に、二十キロも痩せることができたんです」

「二十キロ」

「ええ。合宿所に行く前から味覚も嗅覚も変になっていたのですが、合宿所ではそんなことどうでもよくなるくらい、日々の生活が忙しかったんですよ。文明の利器を使わない生活は、ただただ時間を過ごすにはもってこいでした。食事はぜんぜん美味しくなかったけど、あの生活には感謝しています」

「あなたは、自分から感染したのですか」

「そうです。妻と同じ病気になれば、妻に近づけると思って」

「あなたは急性腎不全になって、新宿の街中に置き去りにされましたよね。ウイルスに汚染された血液を注射されたあと、薬を投与された?」

「はい。体をクリーンにするための薬と言って、点滴されました。ぜんぜんおしっこが出ない状態が続いて、みなさんが異常に気づいて。でもここじゃ治せないからって」

「あなたは、なぜ置き去りにされた後、黙秘されていたのですか?」

「話したら、妻のところへ行けなくなると言われていたからです。妻は死んで楽園に行ったそうです。でも、僕がもしもホープのことを話してしまったら、神様が僕を楽園に迎えてくれないと」

「楽園ですか」

 新景は淡々と質問を続ける。

「あなたは楽園を信じていたのですか」

「信じていたと言うか、信じないとやっていらんなかったから。あると信じて、そこで今も妻が笑っていてくれるならそれでいいかなって」

「でも、どうしてお話し下さったんですか」

「だって、ほかの女の子とおばさんが喋ったって言うから。初めは信じなかったけど、鼓先生が言うことは全部本当のことだったし、彼女たちが喋ったなら僕も話したほうがいいのかなって思った。それに、鼓先生も『あと十年は生きるんだから今のうちに話したほうが楽になる』って言うから」

「そうですか。――ここの食事は足りていますか」

「少ないですけど、鼓先生から『このままだと虫になる前に別の病気で死にます』と言われたので我慢しています。ぼくだけ糖尿病用の特別食らしいし」

 なるほど、と新景は言葉をきった。後ろに控えていた朽木や冬子を振り向いて、何か追加質問はないか確認したが二人とも首をふった。

 笹蔓の部屋を出るなり、「あの大男、嘘をついていますよ」と新景は毒づいた。

「妻の不倫の件、笹蔓は妻が男に誘惑されたなんて言いましたが、実際は逆です。妻の方が不倫相手を誘惑したそうです。妻が通っていたスポーツジムのコーチが不倫相手だったそうで、男の同僚たちにも聞いていますから間違いありません。妻は自制心がなく、昇級や昇進に興味もない大飯食らいで清潔感がない夫に嫌気がさして、実際に夫婦仲も悪かったらしいです。妻から何度も離婚を申し出たそうですが、笹蔓自身が応じなかったとか」

「我々としては、今後の彼が持病を克服し、ワールドホープに関する証言が騙りでなければそれで十分です」

「わたしは、ずるい人間が大嫌いなんですよ。ああいう人間は平然と他人を害します。現に彼の妻の真実は彼によってねじまげられているではありませんか」

 新景は口を思いきりへの字に曲げた。「彼は、肉塊のまま死んでいいはずがない。自分自身と向き合うべきです」

「ええ、悪口のつもりで言っていますから」

 後日あらためて千葉支部に出入りしている業者の写真などを持ってくると言って、新景はVRCを後にした。

 それから二日後、刑事が刷毛目を訪ねて来館した。

 訪れたうちの一人は八月に肖像真心子が自殺した時の捜査に携わっていた中年の男、冬子は名前を覚えられず「首青筋の刑事」と認識していた刑事だった。もう一人は初見。若く、痩せてはいたが上背があり、一見して何かスポーツに取り組んできたような体つきだった。足が早そうだな、と冬子は思ったが、その若い男は自己紹介することもなく首青筋の刑事の横へちんまりと控えている。事前に名前を聞き、面会申請書を調えたのも冬子だったが、他の仕事に忙殺されてその名前は忘れてしまった。

「どうして男性なんですか」

 二人を通した応接室で、冬子は刑事に抗議した。

「刷毛目さんは父親に暴行を受けています。こういう場合、女性のかたに対応が任されるのではないのですか」

 首青筋の刑事が涼しい顔をして「何の話ですか」と返答した。

「今回、我々は刷毛目寿美礼が父親に暴行を受けたらしい件について捜査しているのではありません。刷毛目の実家のアパート居室内で、男性の変死体が発見されました。その身元確認をしていただくためにお伺いした、それだけです」

「らしい?」冬子は自分の耳がおかしくなったかと疑う。「彼女は暴行を受けたと言っています。子供の頃は強姦もされたと。その被害に対する捜査は別で動かれているのですか?」

「それは彼女が言っているだけでしょう? 父親は死んでいます。実家を検分しましたが、刷毛目寿美礼の証言を裏付ける物証はなにも出ませんでした。たとえば、児童ポルノの映像データとか」

「強姦ですよ。十代にもならないうちから、強姦されていたと言っています。父親が死んだとしても、彼女を性的な道具として買った大人たちがいます。調べられないわけないでしょう」

「三十年も前の話で時効期間は過ぎています」

「それなら、最近の暴行については」

「彼女は子供の頃からずっと、売春によって父親を養っていたそうではないですか。その裏付けは取れています。自分を暴行している親を養っている状況は、不自然です」

「彼女が嘘をついているとおっしゃりますか」

「仮に真実だったとして、被疑者は死亡しています。不起訴になるだけです」

「刷毛目寿美礼に対する父親の暴行について捜査しない理由は、彼女がUNGウイルスに感染してここへ収容されているからですか」

「関係がありませんね。過去に、収容された女性の強姦事件の容疑者を逮捕した事例もあります。刷毛目寿美礼の訴えに事件性はなし、トラブルはあくまで家庭内の問題だった。そう判断したまでです」

「わかりました」首青筋が言い終わるか否かのうちに、朽木が承知を発した。「あなたがたは変死体の男の人物特定をするためだけにここへきた。そういうことで、本日は対応させていただきましょう」

「朽木先生。でも」

「林野さん、何を言っても時間の無駄だ。刷毛目さんの父親は確かに裁かれるべきだが、死んでいるなら少なくとも今後彼女を害することはない。今はそのことに納得しよう」

「だけど、父親が死んでいるなら彼女は感染する必要なんてなかったんですよ」

「俺たちの役割は、彼女を受け止め、支えることだ」

 違うか、と問われ、冬子は黙った。そうだ、結局は収容者と自分は他人なのだ。必要以上の感情移入は、収容者にとっても害になりかねない。

「わかりました。――失礼しました」

 冬子が頭を下げると、首青筋の刑事はあからさまに嘆息した。

「では、刷毛目寿美礼の聴取はこちらのニガミが主に行いますので」

 ニガミと呼ばれた若い刑事は愛想良く笑った。

 冬子と朽木は刑事二人を収容フロアへ通した。もちろん防護服を着るように指導する。防護服を着用後、資料が入っているらしきバインダーを抱えたニガミが「こんなに大袈裟なんですね」とうわついた声をあげたが、誰も受け止めなかった。

 刷毛目には、今日の刑事の来訪は教えてあったが、父親の死は知らせていなかった。朽木から事を伝え、ニガミが認否確認をする段取りとした。

 四人で部屋へ入ったとき、刷毛目はベッド上であぐらをかき、背筋を伸ばし瞑想していた。骨と皮ばかりの体にパジャマをまとっただけの姿は、古木のようだった。

 冬子が声をかけると、刷毛目寿美礼はおだやかにまぶたを開ける。防護服を着た四人の姿を認めると、乾燥した頬にゆっくりとえくぼを作った。

「こんにちは」

 その挨拶は明らかに初対面の刑事二人へ向けられたものであり、ニガミはまるで学校の教師と対面した小学生のように律儀に返答したが、首青筋は反応を示さなかった。

「刷毛目さん、お父さんのことで警察の方がいらっしゃいました。このままお話してよろしいですか」

「テーブルに移動します。ベッドに座ったままじゃ、失礼ですから」

 そう言って刷毛目は立ち上がり、椅子へ座った。その正面へ、ニガミが腰掛ける。

「お父さんですが、お亡くなりになっているところを発見されたそうです」

 淡々と朽木は切り出す。

「あなたのお話を聞いて、警察がご実家のアパートに出向いたときには既に。今日、このお二人は発見された遺体があなたの父親であったかどうか、確かめに来ました」

「そう」

 刷毛目の返事は羽毛が地面に落ちるかのようにふわりとしていた。

「なんだか、そんなような気がしていたから。特に、驚けない。ごめんなさいね、もっとびっくりすれば良かったのかもしれないけど」

「そんなサービスはしなくて大丈夫ですよ」朽木は淡々と、受け止める。「辛かったら、確認に応じなくても構いません。どうされますか」

「いいわ。わたしはなにを言えばいいの? 何かを見るのかしら」

 刷毛目は静謐な表情のまま正面のニガミを見据えた。若い刑事は特に臆することもなく、「ニガミと言います」と一礼をする。

「厚労省の管理局から刷毛目さんのお話を伺い、あなたのご自宅へ行ったときに男性の変死体を見つけました。解剖の結果、死後二ヶ月は経過しているとのことです。発見当時の部屋の様子の写真を見ていただきます。遺体は、まあ腐っていますが、衣服で判断していただければ」

「それ、見ないとだめなの? DNA鑑定はできない?」

「この遺体のDNAと比較するための検体がありませんから」

「わたしのDNAと比較することは? 親子鑑定ってあるでしょう?」

「あなたはUNGウイルスに感染しているため、あなたの検体を警察が採取することはできません」

「そうなの?」

 刷毛目は朽木を見る。朽木はうなずき「UNGウイルスに感染していることが明らかな方からの検体採取は我々のような専門機関でなければできないこととなっています。また、検体の外部提供は原則として許されていません。警察であっても同様です」と説明する。

「そうなの……わかった」

 刷毛目は嘆息しながらうなずいた。ニガミは手元のファイルを開け、何枚かの写真を刷毛目に見せる。刷毛目は目をすがめながら一葉一葉確認し、「父ね」とつぶやいた。

「腐ってるのに、ミイラみたい。痩せちゃって。わたしがいなくなったら、食べなくなったなんて、卑怯ね」

「わかりました。ご協力ありがとうございます」

 ニガミはすぐにファイルを閉じた。

「遺体は今、警察署内で保管されていますがこの後は行政手続きによって火葬、埋葬の流れになります。お墓は、ありますか?」

 ない、と答える刷毛目に、ニガミは「ですよね」とうなずいた。

「その場合、無縁仏として役所が委託したお寺に引き取られます」

「待って。わたしが死んだらそのお寺に埋葬されることってある? わたしも父と同じで葬式を世話してくれる人なんていないんだけど」

「そのようなことはありません」朽木が答える。「刷毛目さんの場合、この敷地内の焼却炉で火葬され、骨は倉庫に保管されます」

「……そっか。それなら、いい。死んでからも、あいつと一緒になることがなければ、なんでも」

こんなに部屋が荒れちゃって大家さんに悪いわね、と刷毛目はつぶやいた。

「もうアパートも取り壊すつもりだったと、大家の方は言ってましたよ」ニガミは朗らかに言う。

「だからいいってものでもないでしょう。せめてお詫びのお金くらい支払れば良かったけど、わたしのちょっとの貯金もワールドホープに寄託しちゃったから」

「きたく?」

「全財産あずけたの。世界のためにって言われて」

「ああ、それは騙されましたね」あっけらかんと、ニガミは応ずる。「なんで騙されちゃったんですか」

「人は、騙されている最中には騙されているとは気づかないものよ」

「でも今は騙されていたってわかっているんですよね。騙されていたっていう分析ができるなら、どうして騙されたかっていうのもわかっているんではないですか」

 刷毛目は口を曲げた。

「刑事さん、あなた頭が良いけど馬鹿でしょ」

「さあ、普通だと思いますけど」

 嘆息し、刷毛目は突き放すように「騙されてでも逃げたかったんですよ、現実から」と言った。

「わかるでしょ。こんな父親のせいでわたしの人生はわたしのものではなくなったの」

「じゃあ殺せばよかったじゃないですか。ワールドホープなんて胡散臭い団体に入らずに、変身症のウイルスに感染することもせずに、父親を包丁で刺しちゃえば。あなたの情況なら、数年服役してすぐ社会復帰できますよ」

「刑事さんが人殺しを推奨していいわけ?」

「僕もいろいろ悲惨な事件を目にしましたけど、あなたの人生は、悲惨度トップスリーに入りますから」

 この刑事、そろそろ退席願うべきか、と冬子が半歩前に出ると、朽木に片手で制された。

「あなたが子供のころに遭った性被害は時効ですし、ごく最近の父親からの暴行も証拠がない上に家庭内のことであり被疑者が死亡しているため、僕の上司達は事件として扱わないことを決めました。でもそれでなにもなかったことになるわけないじゃないですか。ちゃんと司法判断を下されないと、あなたは一人で折り合いをつけなければいけないんですよ。こんなところに死ぬまでとじこめられたまま。僕は上司達の判断に反対しています。でも、僕は若いし階級も低いから、僕の力で上司達の決定をひっくり返すことができません。そのことをとても申し訳なく思っています。だから、僕はさっさと昇進しようと決めました。昇進して権力を握れば、こんな虚しさは感じなくてすみます。この後ろにいるおっさんなんて、すぐに追い越そうと決めたんです」

 熱を持って話すニガミを、刷毛目はあっけにとられた表情で見ていた。

「ニガミ、時間がむだだ」若い刑事の後ろにいた首青筋の刑事が冷徹に指示を出す。「さっさと仕事を進めろ」

 ニガミは返事の代わりに肩をすくめた。あまり気乗りしない様子でいくつかの質問を刷毛目に投げ、刷毛目はその都度丁寧に答えた。

「ではこれで、この変死体はあなたの父親として手続きを進めます。先ほども言いましたが、あなたが受けた被害については、お力になれず申し訳ありません」

 ニガミは額をテーブルにつけるまで深々と頭を下げた。その防護服の白い頭頂部を見て、刷毛目は言う。「いいの。そんなものです、人生なんて。わたしのことがなくても、あなたは必ずどこかで挫折して、そのときには同じように奮起したはず。結局はタイミングです。わたしが感染したのも、ワールドホープを知ったのもタイミング。このどうしようもなさは人の手には負えない。だから、あなたはあなたの信念を頼りに頑張ればいいだけ」

 ニガミは少ししてから頭を上げ、「はい」と強くうなずいた。


 冬子と朽木は刑事二人をエントランスまで送っていった。

「今日はご協力ありがとうございました。途中、若い者が失礼しました」

 機械的な挨拶を淡々と述べる首青筋に、朽木は「ええ、別に」と適当に答える。

「朽木さん、以前もうかがいましたがこちらの前センター長が亡くなった件。あれについて話してもらえませんか」

「あなたもしつこいですね。それに関して、わたしから言えることなどありません」

「確かに警察は熱中症による死亡と片づけましたが、現場を見たときの違和感が拭えないんですよ」

「あなた、それを聞くことが主目的でしょう? 刷毛目寿美礼の聴取など、口実なのでは? でなければ、わざわざ腐乱死体の写真を持ってくることを理由にここへ来る必要などありません。他の手段でも、あの死体は刷毛目さんの父親だと断定できたのではないですか?」

「あの親子などどうでもいいでしょう。赤西氏の死亡は、殺人が疑われる状況だった。にもかかわらず、捜査は早々に打ち切られ、上からは『病死』で処理するように指示がされた。おかしいだろう」

「そんな内情、わたしにぺらぺらと喋っていいのですか? さきほど、そちらの若い方もおっしゃっていましたね。階級が低いから上司の決定を覆せない、と。あなたも同じでしょう。あなたがどんなに調べても、あなたの『上』の判断は覆せませんよ」

「朽木さん、あなたはやはり何かを知っていますね」

「はあ、まあ」朽木は相手に対して非常に怠惰な態度を隠さない。「――知っているとすれば、この施設の初代センター長の弟の身分くらいですかね」初代センター長、徳坊東一郎の弟、徳坊龍二郎。現在の、この国の総理大臣。「その人の大学の同期に、現在の警視総監もいるとか」

 首青筋の刑事のその首の血管が盛り上がった。肩をわなわなと震わせ、壮年の刑事は唇を噛んでいる。

「そちらの若い方があなたの判断をひっくりかえすよりもかなり、途方もなく、赤西前センター長の死亡に関する判断が覆ることはないと思いますよ」

 ニガミは目をしばたかせる。冬子も同じような顔で朽木と首青筋を見た。

「お見送りはこの辺でよろしいでしょうか。こちらも暇ではありません。あちらに正門が見えるでしょう。あそこまでまっすぐ歩けば、外へ出られます。――いいですか。あなたは所詮、第三者だ」

 皮肉めいたその言い方に対し、首青筋は大きな舌打ちをした。その刑事は何も言わずに踵を返し、正門の向こう側へ去っていく。取り残されたニガミは上司の背中と気だるい表情の朽木を交互に見、結局朽木を正面からとらえた。

「すみません、僕にはあなたのおっしゃることがいまいちわからないんですが」

「わからなくていいですよ。それより上司が行ってしまう」

「いや、僕にとってはどうでもいいので、あの人。たまたま配属されたところで、たまたまコンビ組まされているだけだし。それよりも、僕の名刺を渡しておきますのでなんかあったら連絡ください。刷毛目寿美礼さんのこともそうですし、ワールドホープのことも」

 朽木はニガミが取り出した名刺と片手で受け取って、ものめずらしげに眺める。

「ワールドホープについてもあなたがたが捜査を?」

「いえ、捜査は公安が主導しています。だけど、ワールドホープはうちの管内でも活動していましたし、首を突っ込んでみたいので」

「昇進のために?」

「もちろんです」

 清々しいまでの言い切りに、朽木も冬子も返す言葉が即座に出ず、呆けたような間ができる。ニガミは笑顔で礼を言い、あっけにとられるような俊足で正門まで駆けていった。

 見た目通り足が速いな、と冬子が思っていると、朽木が「彼の名前、どんな字かと思ってみれば、ほら」と若い刑事の名刺を見せる。

「苦味さん、ですか」

 そう、と朽木は苦味の名刺をユニフォームの胸ポケットへつっこんだ。

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