第29話 うにべるす最高!

 プシュー、ガー、ガタンッ!


 電車のドアが開き、2人はいざ、チョコ専門店ユニヴェールへ!


「みーちゃん、行くよっ」


「お願いしますー」


 ペコリッ




 2人は駅から徒歩10分程にあるというユニヴェールを目指し歩き出した。


「で、さっき言ってた宮古田カルチェって人、椿原先生のことを狙ってるっぽいわけね?」


「はい。絶対狙ってると思います」


「お店来て欲しいだけって可能性もあるけどね〜」


「プライベートで遊ぼうって言ってたんですよっ! 私は聞いたんです!」


「みーちゃんが気になるのも分かるけど、話を聞く限りでは椿原先生のタイプではないのでは?」


「でもあの色気で迫られたら落とされちゃうんじゃないかと私は思うわけですよ」


「椿原先生が女好きだったら分からないけど……」


「是露先生も男だもん。私ももう少し色っぽければなぁー」


 美化がそう言った瞬間、影山のテンションが急に上がった。


「みーちゃんにはみーちゃんのよさがあるよっ! 色気には負けない! JK特有のムンムンとしたさぁ!」


「か、影山?」


「BBAにはない甘酸っぱいエロさ! 肌の質だって違うよっ! 弾力だってほら、ムチムチじゃあ♡ ふおおっ! たまらんて♡」


 モミモミ ムニュムニュ!


 影山は美化の肉付きのいい丸いお尻をスカートの上から揉んだ。


「もう、ケツ触りすぎだってば!」


「ウケた? だからそういうことっ! JKはBBAには負けませんっ!」


「だよね? あんな香水BBAなんかと付き合って欲しくないし!」


 宮古田カルチェをいい感じにディスりながら歩いて行くと、かなりオシャレな看板が見えてきた。





 《UNIVERS》





「あ、あれだよ!」


「おー!『うにべるす』っ!」


「『ユニヴェール』だってばっ!」


 美化は横文字も苦手だった。


 出入り口付近には、UNIVERSユニヴェールの紙袋を持った女の子が数人、立ち話をしていた。


 その横を通り抜け店内へ。




「いらっしゃいませ」




「おぉ〜!」「わあっ!」


 2人はつい声を出して はしゃいでしまった。


 ほのかに香るチョコの香り、ピアノのBGM、色とりどりのチョコレート。店員さんの制服もかわいい。


「みーちゃん。どれにする?」


「こ、これは迷ってしまいます。影山先生……」


 UNIVERSのチョコには星の名前が付けられている物があった。


「これ可愛い♡ ムーンにマーズ、マーキュリー、ジュピターは抹茶味なんだ!」


「全部可愛いね。あっ、天の川っ! ミルキーウェイもあるよ。すごーい!」


「げげっ! ブラックホールもあるし! 宮古田カルチェかっ!」


「チョコは関係ないでしょっ!」


「つ、ついね!」


「とりあえず、ハート型のあるから、それ絶対入れてこうっ!」


「は、はーと? 無理です! 影山先生ッ! 死にます!」


「んもうっ! 入れますよっ! 言うことをちゃんと聞いてくださいっ! 困った生徒ですね!」


「は、はい。すみません」







 こうして2人はUNIVERSユニヴェールの紙袋を手に店を出た。



「決まってよかったー。影山先生のおかげだよ〜」


「いえいえ。私もチョコ欲しかったし、お役に立ててよかったよ」


 影山映莉はビターチョコとホワイトチョコが美しく折り重なったミルキーウェイと抹茶味のジュピター。


 美化はハート型のイチゴ味のチョコを中心に、ザクザク食感のアース。ナッツ入りのホワイトチョコのムーン。ベリー風味のマーズ。ミント香るマーキュリー。抹茶味のジュピター。蜂蜜入りのヴィーナス。チョコの間にクッキーが挟んであるサターンを、1個ずつ詰め合わせた。


 それをお洒落なデザインの真っ赤な包み紙で、かわいくラッピングしてもらった。


「これ、完璧じゃない?」


「影山ありがと。マジで『うにべるす』最高だったよ」


「うんうん。『うにべるす』最高だねっ! 私も14日が楽しみだよ」


「は、早くも緊張してきたし……」


「大丈夫! みーちゃんはかわいいんだからっ!」


「そんな気はしてたけど、本当に?」


「みーちゃんはかわいい! みーちゃんはかわいい! はいっ! 言ってみて!」


「わ、私はかわいい。私はかわいい。私はかわいい。私は絶対かわいい。かわいくないわけがない!」


「そうそうっ! いい感じ!」


 美化はそう自分に言い聞かせながら、影山と共に帰路についたのだった。

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