第20話 残ネルクリア!
かわいいキャラだったネル・フィードは完全に
「わお♡ 神曲キタコレ───ッ! ZERO WORLDのスペックでここまで出せるなんてっ!」
美化は改めてレトロゲーム『残酷のネル・フィード』のクオリティーの高さに感激していた。
とはいえ、コマンドを入力する指先は冷静そのもの。残ネルジャンキーの本領を発揮していた。
ドガッ!
ドガッ!
邪神ネル・フィードの1発1発が、ひどく勇者ミケと仲間たちの体力を削っていくっ!
「強いなぁー、もうっ!」
勇者ミケのレベルは97。ばっちりレベル上げをしてあったので、なんとか戦える状態ではあった。
ドガガガッ!
バシュンッ!
「うー! 変身とかしないでよー!」
ズッガァァ───ンッ!
【ネル・フィードを倒した!】
美化は思った。
あっけなさすぎると。
(絶対 これまだ終わらないよっ!)
美化の予感は的中。画面が切り替わるとネル・フィードはまだ生きていた。
【何故だ? 私は神……何をしてもいい存在……人間食べたって……いいでしょ?】
【ねぇ?】
【も、もっと、もっと】
【もぉ───っとぉ!】
【おいしいのが……食べたい】
【食べたい……】
【た、食べ……】
【食べてぇえよおお────ッ!!】
【うごっ! あがっ……ががっ】
【うっ!】
【がはあああぁぁぁああ!!!!】
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォオォオ!!
「人間より美味しいもの他にいっぱいあると思うんだけど。とりあえずじゃがりこでも食っとけってのッ!」
ガガガガガッ! バシュー!!
再び、戦闘画面に突入した。
ネル・フィードは醜く膨らんで、かろうじて女と分かる程度の物体と化していた。
「ちょっ! ヤバいっ! クリアさせる気あんのコレッ!?」
ほぼMAXのレベルで挑んだ最終決戦ッ! 相当ギリギリの戦いになっていたッ!
ドゴッ!
バゴッ!
仲間が1人やられ、2人やられ……もう仲間を生き返らせてる隙はなかったッ!
「もういいっっ!!」
美化は決断した。体力の回復もせず、ここからのターンはすべて攻撃に徹するとッ!
【勇者ミケの奥義!】
【ヤマタノオロチ!!】
バシューンッ!!
【ネル・フィードに354のダメージ!】
【ネル・フィードの攻撃!】
【神の一撃!】
ズッドォオオオン!!
【ミケは457のダメージ!】
【ミケは死んでしまった!】
「うわっ! ヤッバッ! 私 死んだしっ! ふぎゃあっ!」
最後に生き残ったのは、回復系キャラのエイリ。もちろん影山映莉から名前を頂いていた。
「影山っ! いっけえぇえ────ッ!!」
【エイリの攻撃!】
【力の乗った一撃!!】
ドンッ!!
【ネル・フィードに56のダメージ!】
【ネル・フィードを倒した!!】
「影山っ! やった! やった! やった──!! ネル・フィード倒したぁ──!! うおっしゃあっ!!」
画面が切り替わりネル・フィードが最期に言った。
【私が死んだとて……】
【また新たな神が
【100年後……1000年後かも知れない】
【また私のような存在が現れるかもな……】
【所詮人間は……神に祈りながら】
【悪魔に怯える存在でしか……】
【ないのだ……】
【せっかく新世界を……】
【作ってやろうと思ったのに……】
【ガハッ……!】
ネル・フィードは息絶えた。
「悪魔より悪魔になっちゃった神かぁ。結局、悪魔との戦いはなくならないままエンディングを迎えるんだね。古いゲームだけど、新しいかも」
そして、画面にメッセージが流れた。
【王を失っても悪魔は巧みに
【悪魔を完全に消し去るにはネル・フィードのやろうとした方法しかなかったのかも知れない】
【それほどまでに悪魔は多く巧みなのだ。あなたのすぐ側にも悪魔はいる】
【悪魔を見抜く力、人間ひとりひとりが悪魔に負けない強さを持たなくては新世界は作れない……】
【
そしてエンドロールが流れ始めた。
「え? 終わったの? これで? シンプル〜。めっちゃ苦労したのにエンディングだけは微妙……あとは最高だったけど♡」
想像以上に暗い、粗末なエンディングに、美化はなんともいえない気分になった。
「これが残酷のネル・フィードって事か。まっ、クリアできたし! これで明日是露先生と話すネタも増えたしんよーっ!」
美化は明日の事を考えたら、今の
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