第8話 母、期待の整骨院

 昨晩、お風呂に入らず寝てしまった美化がシャワーを終えて出てくると、仕事が休みの母が起きていた。


「ふう。おはよう、まみー」


「おはよー。どうせ遅くまでゲームやってたんでしょ? ブスになっとる。にゃはは!」


「ブスとか言わないでよ。あんたの子だよ。それより腰の具合はどうなの? 少しはよくなった?」


「そうね。なんとか整骨院にも行けそうだし、はりでもやってもらおうかな」


「はり? 痛そ。絶対無理だわ」


 そう言いながら、美化は祖母の作ってくれた朝ご飯を食べ始めた。


(今朝の味噌汁は玉ねぎとじゃがいも♡ ホクホクのトロトロ♡ おばあちゃん、いい仕事してますねー!)


 急ぎながらも、大好きな祖母の味噌汁はちゃんと味わう美化だった。


 そして身支度を整え、母と祖母に「いってきまーす」と言って、慌ただしく出て行った。







「予約の電話しなきゃ」


 母は、早速 職場の人に教えてもらった整骨院に電話をする事にした。


 その整骨院の名前は『あまてらす鍼灸しんきゅう整骨院せいこついん』。


 半年程前に開院したばかりで、院長と3人の施術師は男性。受付には女性が2人いるらしい。


 評判はすこぶる良く、母も長年の腰痛をなんとかしたかったので期待していた。


「あっ、もしもし、今日初めてそちらにうかがおうと思っているんですけど、予約のほうをお願いしたいのですが……」

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