第9話 元の鞘

一夜を共に過ごしたエリーナと貴志は、ヨリを戻す事になった。


こんな形の再会をエリーナは望まなかったが、貴志の事を忘れていなかったので目をつぶる事にした。


“エリーナ、醤油はどこ?”

”あっ、キッチンの横にあるワゴンの中にあるよ。“


貴志は時々料理を作った。飲食店経営会社に務めたのも、料理を食べる事も作る事も好きだったからだ。


エリーナは貴志の料理が好きだった。

“貴志、料理上手ね。私なんか未だに美味しく作れない。”


”まぁ料理は向き不向きがあるから。それでも、毎日作っていれば美味しくなるんやと思うよ。“


エリーナは、エプロン姿の貴志に背中から抱きついた。


“危ない!アカンよエリーナ。僕今包丁持ってるんやから。”


そう言って貴志は、振り向き様にエリーナにキスをした。

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