第4話

 かぐやと月で出会ってから御宮下市での学校生活が一変した。

 かぐやはあろうことか、ぼくの家の隣に引っ越してきたからだ。


 だけど、学校は同じじゃかった。

 違う学校へとかぐやは通っている。


 そして、すごいことがわかった。

 かぐやは完璧な夜型人間だった。当然、学校も夜間学校だ。


 瞼に直射される日光で、真っ白な布団から起き出した。目覚まし時計は使ったことがないけど、今日も窓から新品特有の光り輝く「ムーン・スペース」が見えた。


 月と御宮下市をひっきりなしに行き来している。

 確か、運行時間は朝の5時から22時までだったはずだ。

 階下のキッチンで母が用意してある朝食を食べて、学生鞄は忘れないためにキッチンの上に置いてある。


 きっと、かぐやはこの時間はぐっすりと眠っているはずだ。

 

 ぼくが通学している時も。

 ぼくが学校で勉強している時も。

 ぼくが図書室で本を読んでいる時も。


 眠いけどかぐやと話せるのは夜だけなんだね。

 

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