シーン5 絵描きの心配
絵描きに気付かない夫婦。
ふたりに声をかける絵描き。
絵描き あのう…。
夫
おや。どうされました?
絵描き
私は、あなたがたのパンが目当てでお声がけしたわけではなかったんです…。
夫
(キョトンとして)ああ、はい。わかっていますよ。
絵描き
そうですか…。すみません…。なんとなく…。もしかしたらおふたりにそう思われているんじゃないかと…。私は全く、そんなつもりはなかったものですから…。
夫
はは。そんなことは少しも思ってませんよ。どうかお気になさらず。
絵描き
そうですよね…。すみません…。心配性なものでして…。
夫
大丈夫ですよ。どうぞ絵を続けてください。
絵描き
はい…。すみません…。
絵描きはまたノソノソと絵の場所に戻り、椅子に座ってぼんやりと絵を眺める。
夫
いまどき珍しく丁寧な青年だねえ。
妻
そうね。わたしやっぱり、今度こそこのパンが欲しいんじゃないかしらって思ったわ。
夫
僕たちがそう思ってるんじゃないかって彼は思っていたようだねえ。
妻
そうみたいね。
絵描きは絵を描き始める。
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