第5話 恐怖と無意識

−−−−−出発から1時間後



「おかしい」


「何がだ?」


「僕が前来た時にはここまでくるのにこの倍はかかった。魔物が毎分出てきたからな。でも未だ雑魚モンスターしか出てきてない。もう山に入りかけてるっていうのに。」


【ヴォウヴォウ!!!】


「お!雪狼だ!…あれ?でもここまだ雪なんて…」


歪空レッドスカイ


早い…!!前はアリステアの実力を見れぬまま意識失ったけど第三者目線で見るとここまで…かなりの速さで突進してトップスピードのまま綺麗に首を切った。これがAランク…!


「おい、変態。これは護衛だぞ。お前がぼーっとするな」


「だから変態じゃないっての!あと俺いるこれ。そんな楽に倒せるんなら俺いらなくないか?」


「3日間何もすることなくなるのは苦痛だろうと兄上が言っていた。」


「お前ら鬼か」


「そんなことはどうでもいい。推測だが、雪狼は僕達を襲いにきたんじゃないかもしれない」


「どうゆうことだ?」


「何か大きいものから逃げてる気がする」


「雪狼よりも強い何かか?!」


「そうゆうことだね。あの怯えようはかなり強いやつから逃げてる。もしもそれが本当だったらぼくでもかなり手こずるよ。気を引き締めてね。」


「あ、あぁ」


あの一瞬でそこまで…昨日会った時は関わらない方がいいやつだと思ったけど意外としっかり考えているんだな


「なんか失礼なこと考えているだろう。まさか!!」


アリステアはうずくまってこちらを睨んでくる


「ぼくは何がなんと言おうと男だからな!三日三晩過ごすからと言って変な気を起こすなよ!?!?」


「起こさねぇよ!」


前言撤回、こいつやっぱ関わる度収支マイナスだわ。



【ヴォウ!ワオォォォォォォォン!!】


「雪狼の大群…!それに100体以上いる?!」


「これはきついぞ、ぼくでも一気にこの数相手できない…変態、死ぬ気で行けよ、って死ね」


最後私情挟んでないか!?


雪狼は本来20体ほどで群れを作り獲物に襲いかかってくる。だから1体1体だとあまり戦闘能力はない。だが、連携の取れた動きで八方を囲まれると最後だ。



歪空レッドスカイ!」


十閃じゅっせん!!」


十閃は数年かけて何か自分にも得意な技があって良いと思って、早ければ見切れないだろうと思って編み出した技だが、アリステアには到底及ばない。

この技のデメリットは一直線上にしか切れないから横からの攻撃は危険なことだ


「その程度か?変態」


「そっちが異常なんだっての!ってか多すぎだろ!」


騎士団も応戦しているが俺と同等の力の人ばかり、ここで何人も死なれたらやばいぞ。


ダダダダダ!!


「なっ!雪狼が一斉に逃げてく!?」


「やはり僕の予想は間違いない。近くに“そいつ”がいる。」



ドォン…



「なんだ?地震…?」


「そんなわけないだろ。」


ドォンドォン!


「おい、騎士の奴ら!」


「「は、はい!」」



「王様連れて遠くは行け、」


「「え…?」」


「早くしろ!全滅するぞ!」


なんだいきなりアリステアのやつ…騎士がいないと魔物が来た時に…


「お前も逃げとけ」


「は?なんでだよ」


「今の地震みたいなやつは間違いなく“あいつ”だ。こんな音はするのに姿が見えないってことは相当大きい」


「だからあいつって誰なんだよ!」


「ジャイアントゴーレムだ。精霊国が使役するゴーレムの100倍くらいの大きさがある。」


「ジャイアントゴーレム!?それって神話の話じゃ…!」


「そろそろ姿が見える。おそらくこちらに向かってきてる、王様が標的だ。精霊国の奴ら何考えているんだ。」


ドォォン!!


「嘘…だろ!?こんなんと戦うのか?!」


「僕でも止めるのがやっとだ。お前がいても変わらない。とりあえず王様を守ってろ」


こんな旅こなければよかった…3日も渡って帰るのにも3日。そもそも報酬がないとかおかしいだろ!こんな依頼逃げてやる…


「あぁじゃあな。」


「ふん」


−−−−−−−−−−


「行ったか腰抜けめ、漢だったらここに残って見せろよったく。」



ドォォォン!!


「ざっと200m、ゴーレムまでの距離は500mってとかか。身体強化」


ビュオ!


身体強化は大体は足が早くなる、腕力が上がるなどの効果だが、一部の一流冒険者は身体強化をかけることで一時的に空を飛べることができる。


「対象まで100m!貫いてやる!『歪空』!!」



【mp.gd389mpDjg?jさmgwpd!】


キュイーーーン!


ゴーレム 精霊国で使役される魔物。命令を聞き、命令を遂行するまで生き続ける。

魔法というよりは化学兵器のような攻撃をする


「ビーム!??」


ドッガーーーーーーーーーン!!!



シュー…


【mgDwgdpwpdpjgm…ニンムスイコウ】


ボウッ!


「最初から喋っとけ…!!」


身体強化に歪空のスピードが加わり、ビームに直撃したものの少しの怪我で済んだ。これはアリステアだからこその強行作戦だ。


ボゴッ!!


ゴーレムには一般の冒険者じゃ傷一つつけられない。ジャイアントゴーレムなら攻撃が跳ね返るくらいの硬さがある。

それなのに関わらず“Aランク3位”の実力を持つアリステアは“陥没”させることに成功した




【wpmgmqdgtpdp3→76(76?!jpM】


「至近距離はまずい…!!」


ゴーレムは世界一の頑丈さを誇る魔物とも言えるだろう。


キュイーーーン!!



ドガーーーーーーーン!!


「ぐはっ……」


パラパラ…



ドォォォン!!ドォォォン!



……ゴン!!


「誰がここ通っていいって言ったんだ、、、まだお前の標的は僕のままだぞ!」




−−−−−−−−−


「はぁ…はぁ…こんなとここなければよかった…」


「「どうしたんですか!?一体何がいたんですか?」」


「あぁ…ジャイアントゴーレムがいたそうです」


「ジャイアントゴーレムじゃと!?精霊王め…!裏切りおった!!このままじゃまずい…!鬼人国が滅亡する!」


…は?あいつそこまでの強さがあるってのか……アリステアのやつ…って何考えてる!俺が行っても役に立つわけない!


……



「くそっ!騎士の皆さん!王様を連れてこのまま精霊国へ!ジャイアントゴーレムを操ってるやつを殺害してきてください!それまで鬼人国にくるゴーレムは“俺達”が引き止めます!」


「それは無理じゃ!Sランク冒険者でも倒すことはできない!国を滅ぼすんじゃあいつは!」



「んなことわかってる!このまま国が滅ぶ確率を100%にするか!精霊国へ行って99%にするか!考えろ!」


「な!王様へなんて口を!」


「……騎士達よ、急げ。彼のいう通りじゃ、今は少しでも助かる方を選ぶしかない」


「王様…わかりました!いくぞ!」


「「「おぉぉぉぉぉ!!!」」」



−−−−−−−−−−



【dagjptpmgwkpj...t.pMpm、ニンムスイコウ】



「……」



ドォオォォォン!!


ナルゲータ鬼人国まで残り20km

ゴーレムが到着するまで残り17分



コン!


「はぁ…ちょっと待っていただけないですかね、ゴーレムさんよ!」


エイト到着!!!!


【wgd@dgwPw】


ジャイアントゴーレムはある程度のステータスを読み取ることができ、戦闘する必要ないものは無視する


「なっ!おいちょっと待て!一閃!!」


ドゴッ!


「かはっ…!腕を振っただけでこの強さかよ…?!」


ボォォォン!


「いつつ…こんなの数分間止めてたのかあいつは…」


まだ俺ならやれるな。死ぬ寸前までだったら相手してやるよ笑



ドォォォン!!!




「十閃!!!!」





−−−−−−−同時刻、魔王城



「暇じゃな、おい『???』また山破壊遊びしていいか?」


「魔王様…もうこれで何回目ですか…」


「壊していいとこでいいから、妾の暇潰しはこれしかないんじゃ」


「まぁ、精霊国の近くの山のせいで魔王軍がそこだけ侵攻できずにいますから、あそこです。あの大きい山」


「おお!あれは破壊しがいのある山じゃ!さすがは我がしもべじゃ!ではいくぞ!」


滅地ニュープラネット



ピュン!




−−−−−−−−−


「十閃!!!!!!」


【!!!!!!!!!!!!!!】


キュイーーーーーーーン!


なんだ?急にこっち向いて…!?ビームだと!?避けるしか…!


サッ!


ズドォォォォォォォォォォォォォン!!!!!





「…………え?山がなくなってる…?ゴーレムがやったのか…?…ン!?ゴーレムもいない、、、、今の一瞬で何が…?」




−−−−−−−−


「やったぞぉ!どうじゃ妾の一撃!見たか見たか!」


「はいはい、とてもすごいですね。もうやらないでくださいね。汚い種族の皆さんが来てしまうので」


「ちぇ、ケチ…」


魔王に消された山の数、実に100!!!!




−−−−−−−−−−−−−−



「…?え、何これ」


一瞬の出来事に状況が読めないエイトだった

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