第4話 別れと遭遇
あの後気づいたら俺はギルドの医療室にいて、そばにはルーナがいた。ここまで運んできてくれたようだ。ルーナが部屋から出る瞬間次あったらあの女殺すとか言ってたけど聞かなかったことにしとく、うん言ってない言ってない。
気づいたら夕方になってる。あぁ明日からは1人で冒険者としての仕事こなさなきゃな!
なんかさっきの奴と戦ったから恐怖心とか無くなってきたわ。
またあんな感じになると信頼大きく失いかねないからギルドのみんなの役に立てるよう特訓だな。
−−−−−−−翌日
「行ってしまうのですか…ここで寝泊まりして依頼を受けに行っても良いですのに…ですがマスターの決定ですから仕方ありませんね。」
「ありがとう、今日からちょっと1人でやらなくてはいけないと思ってね。ずっとここに居たら甘えてしまう」
「なるほど、他国で何かし損ねたことがあり、自分で決着をつけなければいけない戦いがあるのですね!私どもはそれを応援します!たとえ遠く離れていてもマスターへの想いは変わりません!」
ルーナって頭めちゃくちゃ良くて知識も豊富なはずなんだけどこうゆう時だけ解釈180度変わるよな。あとそれを笑顔でよしとする団員はどうした。もう少し疑いの心を持て
「1週間お世話になったねルーナ。引き続き俺がいなくなっても魔王軍領奪還計画を頼んだ。」
「はい!次マスターが帰られた時には驚かれるような成果を発揮したいと思っております」
「じゃ、またねルーナ、みんなも」
「いってらっしゃいませ」
『いってらっしゃいませ』
−−−−−−−−−−−
「さて、どこ行くか〜」
前いた国には5年もいたからそろそろ新しい国でも冒険者活動したいってのもある。
エルガルドの南西がロアマス帝国だから今度は南東にあるナルゲータ鬼人国にでも行くか
ナルゲータ鬼人国は語呂は悪いが元々はナルゲータ国だった。だが、鬼人族が人口の8割を占めていることから段々とその名前が定着していった。
鬼人は角が生えてるのが外見的な特徴で、他にも身体能力が獣人族に次ぐくらい高い事やあらゆる武器をすぐに使いこなせてしまうことが特徴的だ
シエラはシエラでかなり研ぎ澄まされた剣の技術があってこそ剣聖に慣れてるのだろうが。
エルガルドとの間には広い草原があるため馬車に乗り込んで6時間ほど旅をする。
「早朝に出たから眠いな…少し寝るか。」
「あぁーーーー!!!貴様はあの変態男!」
「なんで逆ギレ女がここにいんだよ…馬車使わなくてもいけるだろ」
「黙れ!貴様とははなさん!それに私は男だ!」
「理不尽すぎだろ…」
ったくめんどくさい“女”と会ってしまった。
でもなぜ男装をしているのかわからんな。
まぁ俺の知ったことはないが、それより
昨日の殴られた所がまだ痛む…本当に手加減せずみぞおちに入れるか普通。
−−−−−数時間後
「おい!起きろ!」
「…」
「起きろと言っているだろう!」
ドゴッ!
「ぐぇ!?もう少し良い起こし方とかあるだろ!昨日と同じところを殴るな!!」
「口を慎め!兄上の前だぞ!」
「え、さっきまでいなかったのになんで馬車の中にいんの?」
ドゴッ!
シュー…
「うっ…頭だからいいって問題じゃないし別に貴族なわけじゃないだろこいつ!」
「いいよアリステア。ごめんねうちの妹が何回も殴っちゃって、ちなみに君は誰だい?」
え、俺なんで起こされたの?挨拶するためだけ?この女まじで兄上のこと好きすぎだろ…
「ブライス=ルドルフ=エイトです。」
「僕はパライナ=ルーカス、妹が世話になってるね」
ルーカスはにこやかに手を差し出してきた。握手だろうか。
「いや、別に世話はしてないけど」
ギュウウウウウウウウ
「ぎゃああああ!?何してんの!?」
とてつもなく強い力で握りしめてきた。細い体のどこからこんな力が…?
「君は僕の可愛らしい妹の体を舐め回すように見て挙句の果てに胸部を触ったらしいね。」
「後半は事実だけど舐め回すようは見てないぞ、男だとずっと思ってたし」
やはり妹という子は女のようだ、あとこいつ重度の妹好きだな。
「黙れ!貴様、妹はまだ恋愛のれの字もわからないような純粋無垢な存在なんだ!それをお前のような変態に汚されるなど想像しただけで吐き気がする!」
世界では黙らすのが流行ってるのか?あと俺変態扱いされすぎじゃない?あれ故意でやったんじゃないんだけど
「変な男が近寄らないように妹をわざわざ男装させたのにお前にバレたせいで台無しなんだ!」
いや、知らん。あと男装はお前のせいか。
「だが、ずっと恋愛させてないと結婚もできないぞ?」
「そこのところはしっかり考えている。妹が好きだと思った人にだけ男装していたことを明かすんだ」
「なるほど、気になってたことも聞けたしいいや、おやすみ」
ドゴッ!
「まだ兄上の話は終わってないだろう!」
この兄弟は暴力でしか人を動かせないのか?!
「そこでお前には妹と一緒にナルゲータ鬼人国の王の護衛をしろ。一度偶然とは言えど妹なかったのだろう」
「報酬は?」
「0ゴールドに決まっているだろう。お前などに払う金などない!もしも依頼遂行中に妹に不埒なことをしたらその時は馬で引きずってやるからな。」
「じゃあ断る。そもそもなんで行く前提なんだ」
スッ
ルーカスとアリステアは2人同時に拳を構えてきた
「はい、やります。やらせてください」
アリステアだけでも失神するのにルーカスも加わったら体貫通するわ。
「最初からそう言え。では俺はエルガルドに戻るからな。妹よ、常にこいつに警戒しろ」
「はい、兄上。」
「ちょっと待て!!?お前は護衛しないのかよ!」
「当たり前だろう。俺はギルドマスターだ。常にギルドを管理しなければならない。今も妹に伝え忘れたことを言いに来ただけだ」
あ、そういえばそうだったな。妹好き要素が強すぎて全然気付かなかった。
「僕は忙しいんだ。それじゃあな」
ルーカスは凄まじい速さでエルガルドへ帰っていった
「それじゃ俺は寝るからな。着くまで起こすなよ」
「あぁ、一生寝てろ。お前の声は聞きたくもない。」
こいつが近くにいるとろくなことがない…命がいくつあっても足らん…
−−−−ナルゲータ鬼人国
「おぉー!確かに至る所に鬼人族がいるな。」
「ありきたりな感想を言うな。早く王様のところへ行くぞ。」
「へいへい、聞きてなかったがこれ何時間やればいいんだ?」
「3日だ。こらよりもっと東の精霊族のみの国、クロスウェイまでに山道や砂漠があるからな。」
「いっ!?クロスウェイ!?そんなん辿り着くわけないだろ!」
クロスウェイ。通称、幻の国
冒険者や珍しい精霊族見たさで行く者の9割は辿り着けずに死ぬためあまり情報が出てこずこのように呼ばれるようになった。
Bランク冒険者ですら行くことになったら少し躊躇うレベルだ。
山には
「任せろ僕はAランク冒険者だし、過去に何度もクロスウェイを訪れてる」
「もう女ってことわかってるから僕って言わなくていいぞ」
ドカッ!
ゴゴゴゴゴ「他言無用だぞそれは…!この先でそれを言ったら雪狼の餌にしてやる…!」
「…はい」
暴力女は嫌いだ。
−−−−−−−王宮
「よく来た、アリステアよ。そなたがいると大船に乗った気持ちでクロスウェイに到着できる。もちろん保険として我が国の騎士団も派遣するがな。おっともう1人いるな。そやつは誰だ?」
「彼は私の付き人です。私にたまたま偶然1度だけ打ち勝ったので実力は十分かと」
めっちゃ悔しいんだろうな、俺もなんで吹き飛んだかわからないから勝ってはないと思うが。
「では早速今からでも良いか?精霊族の女王は気が短くてな。」
「はい、お任せください。」
はぁ…なんで俺こんなとこにいてこんなことしてんだろ…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます