第3話 休暇と災難
「なんだと!?僕達のギルドが、兄上のギルドが万年2位だと!?馬鹿にするな!お父さんの代からここまで僕達は努力して!」
「はい、現に1年の間にかなりの功績の差が生まれ、エルガルド国王は私どもに頭が上がりませんので」
「ちょ、ちょっと2人ともライバルだからこそ仲良く、「黙れ大体こいつは誰なんだ!このやる気のない顔して冒険者に向いてない腑抜けた奴は!」」
「よくも……私のマスターを馬鹿にしましたね、いいでしょう。だったらどちらが上か勝負しましょう」
なんでこんなことになったんだ…
−−−−30分前
「今日は私の休暇日なんです!というわけで街に行きましょう」
ルーナは今まで以上に張り切っており早く行きたい気持ちが抑えられていたい
「お、おう。いいんだけど指揮係無くなっちゃってギルドは平気なのか?」
「はい、今最も四威神に近い人が今日だけ変わってくれます。ちょっとこっち来なさいメルト!」
「はーい!お呼びっすかルーナさん!あれギルマスもどうしたんすか?」
「彼女はストピア=メルト。四威神以外で唯一のAランク冒険者です。マスターが完全に戻ってくる時までにメルトを指揮係として採用するつもりです。」
「ギルマスと話すのは初めてっすね!どうもメルトっす。3年前ルーナさんに誘ってもらってギルマスがどれだけ素晴らしいか教育されたっすよ!とても人格の良いお方のようで!」
なんかもうヤバい宗教みたいになってる?
普通に気軽に接して欲しいんだけど距離感が遠いんだよな
「ではメルト今日1日ギルドのことを頼みましたよ。困ったら周りの団員に協力してもらってね」
「はいっす!」
「行きましょうマスター」
−−−−−−−−−−
「この街も5年の間にかなり発展したなぁ、あんな高い建物もなかったし、何よりこんな朝に人溢れてなかったよな」
「この国には世界ギルドランキング1位の我々と2位が両方いますからね。」
「あれ?でも2位の拠点って領土が世界で1番広いイグリル公国じゃないのか?」
「つい最近ずっと隠れていたエルガルド王国が急発展をし始めてこちらの方が良いと乗り換えて来たんですよ。あそこは貴族が多くて堅苦しいのかもしれませんね」
「なるほどな、案外冷たいんだな2位は。えっと氷を蹴りますだっけ?」
「カウリスケラスだったと思います。」
「あー!それそれ、冒険者なんだけど全然ギルドの名前覚えてないんだよな」
「さすがマスター1位の私達にしか興味はないということですね!」
解釈の仕方がすごいな、もうそれでいいか。
「そういえば、今日はどこに行く予定なんだ?」
「まずは他の四威神から頼まれた武具防具を買いに行ってからマスターに新しい杖を選んで欲しいです。」
「杖?」
「この杖はマスターがいなくなってから買ったのでもうかなり年季が入っていて今度はマスターの眼を借りて良い杖を買おうかと思いまして、よろしいですか?」
俺杖の性能見抜けないんだが…でも断ったらそんなお人だったのですねと落胆されそうで怖い…とりあえずわからなかったら店主に聞くか
「まぁ気に入らなかったら自分で選びなよ」
「はい!ありがとうございます!」
そんな笑顔にされるとなんか申し訳ない気分になるんだよな…
「ここです、100年前から名匠により代々受け継がれている武器防具屋です。本人は気難しく強者のためにしか打たないと言われていて、まぁ私達は予約成功しましたが」
改めてルーナってすごいよな。5年前はあたふたしてて頼りない雰囲気があったけど今や世界一のギルドのトップだからな。もう俺ギルドマスター譲った方がいいな絶対
ガチャ
「ガルガさん、予約していたウェルテクスの副ギルドマスターのルーナです。武器と防具を受け取りに来ました」
「おぉ!よく来たな!あれ、そちらの連れは?もしかして遂にルーナちゃんにもこっちができたのか?」
ガルガとかいう人は恐らくドワーフで小指を立てながらニコニコしていた。
「ち!ち!ち!ち!ちが!」
え、そんな嫌?めっちゃ顔赤くしてるじゃん…。なれるわけないけど俺が恋人なのそんな嫌?泣きそうなんだけど
「僕はウェルテクスの団員です。今回は連れとしてきました」
「ちぇつまらないな、ちょっと待っててくれ、今他のギルドのやつも待ってるから」
「他のギルド?」
「おい。まだか、兄上を待たせたくないんだ………ん?お前は!ウェルテクスのギルドマスター!」
「あぁ、あなたですか万年2位のギルドマスターの弟。それに私はギルドマスターではありません“副”です」
「あぁ、氷を蹴りますか」
「なんだその名前は!カウリスケラスだ!あと兄上のギルドを万年2位だと!?」
ってなわけで現在に至る。
「おぉおぉ店の中で喧嘩をしないでくれ、するなら近くの訓練場があるだろ。」
「ふん、死なずに済んだな。終わったら訓練場に来い。僕達のギルドに喧嘩を売ったのを後悔させてやる」
「強がる子供ほどよく泣くんですよ、早く私たちの前から消えてください。」
「僕は女だからって手加減はしないからな!待ってろよ!」
バタン!
ふぅ…化け物2人に挟まれると胃が痛くなるな…なんかギルドに帰ってきてからというものずっと災難に見舞われてる気がするんだが、気のせいなんだろうか。
「ほい!これが頼まれた武器と防具だ。でも持ち帰れるか?この後訓練場行くんだろ?」
「では、また勝ってきたらここにきます」
「すげぇな1位のいうことは違うぜ、負けることなんてないもんな」
「ありがとうございます。ではマスター行きましょう」
「あんま本気になりすぎるなよ〜またなー」
バタン
「…ん?あの兄ちゃんのことマスターって言ってなかったか?…もしかしてあの平凡そうな兄ちゃんが…?
−−−−−−−訓練場
「待たせすぎだ!人が集まってきたじゃないか!!」
「マスターここで私の活躍見ててください、10秒かからずに帰ってきます」
「ちょっと待て!まずはその普通そうな男からだ!見せしめにいこうじゃないか!」
「普通…?マスターが…??2度と大好きな兄上のところに帰れないようにしましょうか?」
「早く来い!ノロマめ」
「マスターこんなやつマスターの特大魔法でボコボコにしてやってください。最悪殺しても事故です」
多分俺が死んで事故になるぞ、あと俺Dランク冒険者って知ってる?魔法使いじゃないし俺
「マスター!頑張ってきてください!」
「え?まじで?」
「ふん、ただの団員如きがAランクの僕を待たせるんじゃない。早く終わらせるぞ。」
うん、俺死んだな。今まで強すぎる団員に囲まれて麻痺してたけどこんなに怖いのか…!今の俺に何ができるってんだ…死なないように…なんとか上手く負けてやる!
「またまたするな、来ないならこっちから行くぞ!」
ヤバい!はやっ…このままじゃ剣で防御しても弾かれる…!?
ビュオ!!!
「…ヘ?…」
なんか後ろからめっちゃ強い熱気が!?吹っ飛ばされる!??
−−−−同時刻、魔王軍の領地にある世界最大の火山、カタルシス
そこでは白龍と対立関係にある
そして白龍の体をかすめた一撃『
そして500km離れたところまで届き、
1000km先のところまで熱波が届いた
さらにちょうど高所にあった訓練場にいるエイトに直接当たり吹き飛ばされた
「なに!?僕より速いだと!どんな身体強化魔法を!」
「さすがマスター!ただの身体強化魔法ですら熱がこちらまで伝わってくるとは!」
そして偶然に偶然が重なり、A級2位の副ギルドマスター、パライナ=アリステアと衝突した
バダン!!
…むにゅ
「す、すまん!ん?むにゅ?…………え、お前まさか」
「この変態がーーーーーーーーー!!!黙れー!!!」
メリメリメリメリっ!
「かはっ!?俺のせいじゃ…ない…」バタ…
もう2度と“女”には逆らわん…ってかなんで俺がこんな目に………………
ここで俺の意識は途切れた。
「お、お、覚えとけ!今回は確かに僕の負けだが!次会った瞬間から勝負は始まる!次は粉々にして魔王の餌にでもしてやるからな!!」
「マスター!大丈夫ですか!?ちょっとあなた!まだ私との…勝負…行ってしまった…。マスター!今すぐ直しますから!ますたーぁぁぁぁぁぁ!!」
この一件で周りにいた観衆により凄まじい速さで攻撃をする『神速の悪魔』がウェルテクスにいるという噂が広まった。
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