巫女


「こんにちはレミシーヌさん!

また、お土産を持ってきました!」

髪が茶色で目が緑の青年が、教会に入り手にある物をアピールしてきた。


「こんにちはレオさん。

毎回お土産なんて持って来なくてもいいんですよ」

「何を言ってるんですか、僕がしたくてしているので気にしないでください!


それに今日は特別なんです!

レミシーヌさんが飼ってる蛟(ミズチ)さんの形を模した髪飾りなんです!」

そう言って青色の髪飾りを渡してきた。


「すごく細かい装飾ですね!

目の部分は宝石になってるんですね。

サファイヤでしょうか?」

「さすがレミシーヌさん!

大当たりです!

どうぞつけてみてください」

私は自分の髪に髪飾りをつけた。


「どうですか?」

「大変よくお似合いです!

銀色の髪によく映えてます」

「ありがとうございます。

でもやっぱりこれすごくいいものですよね?

やはりお返しします」

髪飾りを取りレオさんに渡そうとする。


「いえ受け取ってください!」

「でっでも」

「わかりました。じゃあ髪飾りを僕から受け取ったお礼にレミシーヌさんは、

僕とご飯を一緒に食べるというのはいかがでしょう」

「そんなことでよろしいのですか?」

「はい!じゃあ明日の昼ということで!


では準備がありますのでこれにて」

そう言ったレオさんは走って教会から出て行った。


「準備?みずちさんなんの準備でしょうかね?

そうですね、明日を楽しみに待つことにします」

蛟ミズチさんに明日になれば分かると言われたので納得し、女神様に向かってお祈りを始めた。


レオさんは行商人をしていて私が教えた見たことも聞いたこともない料理を見て頻繁に村に通っている。

あと私のアイディアが気になるらしく何度も教会を訪ねてきました。



行商中に聞いた情報の中に、父様達が処刑されたとレオさんに聞いた私が泣き崩れたとき、必死に慰めてくれました。

悪いことをしたと思ったのでしょう、それから来るたびに贈り物をしてくれます。

なんの準備かわかりませんが成功するように私は祈りました。








結婚式から三ヶ月後

王国は大変なことになっていた。

「ガーランド王太子殿下!

宰相様が屋敷でお倒れになりました!

おそらく流行り病です!」

俺の仕事部屋のドアを開けて入ってきた執事が報告してきた。

「なに!どうなってる!

聖女アミの指示通りにしているはずなのになぜ病が消えない!」

俺は机を叩いた後、宰相の身体を治してもらうため聖女アミがいる教会に向かった。




教会で祈りを捧げているとガーランドが入ってきた。

「アミ!宰相が屋敷で倒れた!

聖女の力で治してやってくれ!」

「わかりましたガーランド様」

私は宰相の屋敷に向かうため聖女専用の馬車に乗り込んだ。


「おかしい、おかしい、こんなのおかしい

こんなシナリオ知らない」

指をかじりながら考える。

私が知ってるシナリオは流行り病が発生し、その原因が水!

現代知識を持つ異世界の聖女が煮沸や濾過などを国民全体に広めたことで多くの国民が救われる。

そして王妃になった時に、全ての国民から愛される存在となる。

最初はうまくいっていた、でもまた病が発症し、病人が増え続けている!


それに聖女の力で治したのに、次の日にはもっと酷い症状になってる!

だから最初は色んな人が私の所に来ていたのに今じゃ誰も来ない。


この後私は宰相の屋敷に行っても門前払いを受け、教会に帰った。


王国はさらに病人の数が増え、国としての機能がほとんど止まってしまった。


そんな中、聖女による王様殺しがあった。


拒む王様にむりやり聖女の力を使い治すが、すぐにまた症状が出始め、

前より悪化し、死に至った。


貴族も国民達も聖女ではなく魔女だと判断し、聖女を捕らえた。

それを邪魔しようとした王太子、宰相の息子、騎士団長の息子、侯爵家の嫡男、平民も一緒に捕らえられた。


精神的に余裕のない王国は原因の全てを、

聖女と王太子達に被せ。

今日処刑される。


王太子達は諦めたように素直に処刑されたが、聖女は処刑されるまでずっと暴れていた。





だが王国から病は消えることはなかった。







我は目を覚まし、巫女の顔を見る。


我は昔、彼の国で守護神をやっていた。

といっても傷つき穢れてしまった土地神の代わりだがな。


ある国が内乱で二つに分かれ、私を信仰する一族が国を出た。

だが見つけた土地は穢れて瘴気が出ていた。


そこで我と我の巫女の力でその穢れと瘴気を封じ込めることに成功しそこで国を作った。

何千年も経つと国というのは変わっていき、名前も文化も住む人も最初とまるで違う。


変わってないものがあるとすれば、我の巫女の血脈がこの国にまだ存在するということだ。

彼の国は未だに瘴気が存在している。

それを浄化するには、3人必要。

まず我の巫女が土地神から発生する瘴気を抑えもう1人が瘴気を浄化し、最後の1人が傷を癒す。

これを行うことで土地神は復活する。

しかし浄化の力を持つ者の気配は確かに存在していたが、

いつの間にか気配がなくなっていた。


また年月をかけ3人揃う時を待とう。

そんなことを考えた時、我の巫女が国から追い出されてしまった。

土地神には悪いが我は巫女と共に歩むのが使命。

彼の国はこれから瘴気であふれるであろう。

これもまた人の歴史の一つ。



みずちさん?眠れないんですか?」

『気にするな。少し考え事をしていただけだ。早く寝なさい、お腹に響く』

「それもそうね、おやすみなさい」

『ああ、おやすみ』

そう返事を返すと巫女は王宮のベッドでスヤスヤと眠った。


我は巫女をずっと見守り、守ろう。





次の巫女は彼女の中に。

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追放された伯爵令嬢は、青い蛇に導かれる 酒ともやし @8745

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