某世界

某世界

とある蒸し暑い夏の日の一室。とある一軒家の中の一室は冷気に満ちていて、乾いた質問が飛んでいた。

「先生、今日も外に出ちゃ行けないの？」

エス子は先生にそう問いかける。

「外は今日も暑くてたまらないんだよ。外になんて行ったら暑さで溶けてしまうよ。」

先生はそう答えるしかなかった。科学者の先生はそういうことには人一倍詳しいのである。

「いつになったら外で遊べるの？」

「いつになるかわからないが、きっといつかは外に出れるはずだよ」

「でも、一昨日までは平気だったのになんで？」

「そんなの知ったところでどうにもならんのだよ」

外には途方もない荒野が永遠と続いていた