02女子の手料理
あれ?ここはどこだろうか。
確か校長の話が長いとか思って頭に巻いてたのが取れてそれで血が出て。
どうなったんだっけ?
起き上がって隣を見ると鷹宮さんが寝ていた。
この人カッコいいうえに寝顔がカワイイってヤバいだろ。
「起きたかい日原君」
「あの僕って倒れました?」
「ああ君は校長のお話中に急に頭から血を吹き出して、そこで寝ているえーっとそうだ鷹さん?が運んできたよ」
「いや誰が鷹さんだ!鷹宮だわ!!」
「おっと失礼私は人の名前を覚えることが凄く苦手なんだ」
「そうなんですか」
人の名前を覚えるのが苦手って他の教員の人の名前も覚えていないだろうか。
「先生名前は大事だぜ!」
「けど鷹宮は嫌だから蓮って呼んでくれよ」
「わかった、れん?」
「よし!それでオッケエだ!」
「それと今日はもう帰るといい頭を5針縫ったんだ」
「え?ホントですか?」
「ああもちろんそれと日羽君君腕も骨折しているから大事にしたまえよ」
「あの先生違います日原です」
「ああすまない実は今年に入ってから不眠症でね寝れていないんだ」
「そうだったんですか」
「あのよかったらですけどリラックス効果のある紅茶持ってるので飲みますか?」
「いいのかい?」
「はい、病院じゃないのに手術して貰ったので」
「わ、私も飲むぞ!」
「はい、わかりました!」
「それでお湯使っても大丈夫ですか?」
「いいよ好きにしたまえ」
僕は紙コップに胸元のポケットに入っている紅茶のスティックを入れた。
その後バックに入っているどこでも万能調味料からレモン汁を入れておく。
ついでに砂糖を少々。
そしてかき混ぜて完成。
「はいどうぞ」
「待て待て日原腕折れてだからさあ任せとけって」
「ありがとうございます鷹宮さん」
鷹宮さんに運んでもらう。
鷹宮さんヤンキーっぽいのに優しいなー。
「それでお好みで砂糖どうぞ」
「ちょっとだけ入れてあるので一旦飲んでから試した方がいいと思います」
「それじゃあ遠慮なく」
「私も貰おうか」
先生と鷹宮さんが黙っている。
あれ?ひょっとして口にあわなかった?
「う、う、旨い!!」
「なんだこれ日原!滅茶苦茶旨いぞ!!」
「それはよかったです」
「それじゃあお好みで砂糖どうぞ」
砂糖を置く。
それを保健室の先生が見ると食らいつくようにコップの中に砂糖を入れまくる。
先生正気ですか?!
「先生大丈夫ですか?!」
「おい!そんなにいれたらヤバいだろ!!」
「大丈夫さこのリラックス効果と血糖値の上昇で私は眠れる!」
コップ一杯を飲むとそのまま寝てしまった。
そのままだと風邪を引きそうだったので保健室のベットにある毛布をかけておいた。
「日原優しいんだな」
「いえ別に」
「それじゃあ失礼しますね」
「おい!待て!私も行くぞ!」
「それじゃあ朝のお詫びで夕飯食べて行きます?」
「いいのか?!」
「はい」
「もう昼飯というよりも夕飯時ですからね」
僕達は二人で帰った。
帰る途中でどうして喧嘩していたのか聴こうと思ったので聞いてみた。
「あの鷹宮さん、良ければなんですけど何で喧嘩してたんですか?」
「それはなーうーん家の事情でさ毎日イライラしててみたいな、まあなりゆき?」
「わかりました」
それからちょっとだけ気まずくなる。
そのまま歩いていると鷹宮さんが何か言いたげだが、何故か身体が震えていた。
あれ地雷踏んだかな?
「あの鷹宮さんごめん!」
「きゅ、急になんだ?!」
「あのさっきの聞いたの無責任だったかなと思って」
「そんなことねえよ」
後ろを向いてこっちを見ない。
だけどすぐにこっちを見た。
顔は泣いていなかった。
「そんなことより早く行こうぜ!」
「鷹宮さん走ると!」
「あ!」
ゴキッと痛い音が聞こえる。
だ、大丈夫かな?
それよりもあの時は気が回らなくて出せなかったけど。
僕はバックからテーピングを出す。
これ使えるかな?
一旦自分に張って見ると、
よし!使える!
「あの鷹宮さんテーピングあるけど使う?」
「おう!頼むわ」
「それじゃあ一旦座って僕が巻くから」
「座ってて言っても、あ、公園までは我慢するから肩貸してくんね?」
「いいですよ」
ちょっと緊張する。
鷹宮さんは緊張してないのかな?
顔を見る、うんどうも思ってないみたい。
肩を貸すと脇から甘い香りがしてくる。
ちょっと鷹宮さん!
「お?どした?」
「いえ何でもないんですけど」
「それじゃあこのまま公園まで行こうぜ!」
元気ハツラツだな、どうして鷹宮さんはあんなに前向きに走っていられるんだろう。
そのまま特に何も話さず公園に向かった。
「よしゃー!着いた!」
「早速巻いてくれ」
「それじゃあ、あの、その、た、タイツ脱いで貰わないと」
「わかった」
目の前で脱ぎ始める。
うん絶対何もみない。
目を瞑っておく。
「脱げたぞ日原ってどうしたんだ?」
「いえ、何でもないです」
「そうかならよろしく」
僕はスカートの奥を見ないようになるべく下を向きながらテーピングを巻いていった。
まず足を固定して多少歩きやすいように少しあけて巻いてあんまりガチガチに巻かないようにしながら。
出来た、中学の時から何回もやってたから綺麗に出来たな。
中学の時はよく怪我してたからな。
「出来ましたよどうですか?」
「これいいな動きやすい」
「それじゃあ行きましょうか」
鷹宮さんはテーピングを巻いてから肩を貸してくれとは言わなくなった。
その後も普通にそのまま家に帰ると、
鷹宮さんが。
「お前の家ここなのか?!」
「そうですよ」
「わりと大きいと思いますけど」
僕の家は3階建てで下がリビングで2階が自分達の部屋、3階がトレーニングルーム。
庭には倉庫と愛犬である黒太と白太がいる。
「どうぞ鷹宮さん」
「ああ」
「家デカイですよね」
「うん、まあそうだな」
なんか歯切れが悪いな。
どうしたんだろうか?
「なあ日原お前の家って金持ちなのか?」
「そうですね、まあそこそこですかね」
「ていうか両親今いるのか?」
「いえ、今は海外にいますよ」
「そうなのか」
扉を開けると妹の花恋が玄関で待っていた。
妹よどうした?
「ちょっとお兄ちゃ、ん?!」
「何で入学式早々に女の子家に連れて来てるの?!」
「お礼だよお礼」
「お礼?」
「そういえば頭と腕に包帯巻いてるけどどうしたの?」
「ああそれは」
言おうとすると鷹宮さんに遮られた。
こっちを見て私から言うはと小さい声で言う。
「それはなそのすまねえ」
「実は」
鷹宮さんは朝のことを最初から最後まで語った。
「そうだったんだてかお兄ちゃんが女の子自分から助けるって、」
顔がニコニコしている。
それもいつもやましいことを考えている時の猫のような顔だ。
「それって、お兄」
「ちょっと待て!妹早まるな!!」
羽交い締めをして黙らせる。
凄く痛そうだが、
「ちょお兄止めてよ人の前でさ!」
「てか痛い痛い痛い!!!ギブギブギブ!」
「じゃあ早まるなよ」
「はい」
羽交い締めを辞めると今度は、
「お兄おんぶ!」
「しょうがないなー」
「仲いいんだな」
「そうでもないですよ」
「親は皆海外なんで」
「それじゃあ今二人で住んでるのか?」
「そうなんですよ」
なんかいつもと雰囲気違うような。
いつもというか何かが違う。
気のせいか。
「それじゃあご飯作りますね」
「その腕でか?」
「あ、花恋は料理するととんでもない物出来るので出前でも取りますか?」
「いや、私が料理しようか?」
「出来るんですか?!」
「当たり前だろ!この私だぞ!」
そんなことを話して、僕は鷹宮さんをキッチンまで案内した。
案内すると早速料理を作り始めた。
「冷蔵庫に入ってる物何でも使ってもいいですよ」
「それじゃあ遠慮なく」
鷹宮さんは料理を作っている間僕はソファーで寝てしまった。
今日は少し疲れたな。
数十分後、
「うわ!僕、寝てた?!」
「おう、飯出来たぞ!」
「あ、すいません」
「いやいいよ今日は助けてもらった訳だし」
「いやあんなの助けたに入らないと思うんですけど」
「いやいいって逆にこれぐらいさせてくれない」
「わかりました」
テーブルを見ると餃子が置いてあった。
羽がついていておいしそうだ。
いつぶりだろうか誰かにご飯を作ってもらうのは。
「うわーおいしそうだなー!」
「花恋つまみ食いするなよ」
「わかってるって!」
「けど日原腕使えるのか?」
「いや、使えないですけど」
「食べさせてやろうか?」
「え?」
ちょっと待って欲しい、え?今なんて。
食べさせてやろうか?って言った?
え、いやそんなの困る。
「その、困る」
「え?」
日原の方を見ると、凄く顔が赤くなっていった。
どうしたんだこいつ、ン待てよ確かに今日初めて会ったのに距離が近すぎた。
かーっと顔が赤くなる。
「あれれどうしたのお兄ちゃん達ー!」
「そうだぞ花恋ちゃんよ待つんだ」
「妹よ流石にそこで冷やかさないでくれ」
「えーいいじゃん」
二人が同時に、
「よくない!!」
「うわー綺麗なぐらいピッタリ」
またニコニコしながら食べ始めた。
花恋はおいしそうに食べている。
僕も食べたいんだけど右腕が使えないから。
や、やっぱり頼もうかな。
「あの鷹宮さんお願いします」
「お、おう」
鷹宮さんが餃子を橋で取ると口に寄せてくる。
僕は恥ずかしながらそれを食べた。
「鷹宮さんこれ凄くおいしいです!」
「それはよかった」
「これ隠し味何か入れてますか?」
「ん?ちょっとだけカレー粉入れてみた」
「だからちょっとピリッときたんですね」
「ていうか日原は普段料理するのか?」
「はい、両親が海外で働いているので両親の代わりに僕が作ってました」
鷹宮さんは意外みたいな顔をしていた。
男が料理出来るのってやっぱり変なのかな?
「そうだったのか、だけどどうすんだこれから」
「あーどうしましょう」
「そのよかったら、」
ちょっとだけ鷹宮さんが黙った。
少しブツブツ言って、
「そのしばらくこの家に住まわせてくれ!!」
「やったぁ!いいんじゃないお兄ちゃん!」
「けど流石に未成年同士で同居なんて」
「ダメか?」
一重の目で上目遣いをしながら言ってくる。
これはけど、流石に両親の許可ないとマズイんじゃないかな。
「あの鷹宮さん、鷹宮さんがいいならいいんですけど流石に両親に許可取ったほうがいいんじゃないのかな?」
「あのその事を話そうと思ってたんだが、実は」
鷹宮さんは家のことについて少しだけ話してくれた。
鷹宮さんの家では子供が生まれるとすぐに婚約が親によって決められる家らしくてそれで中学の時にヤンキーになったらしい。
それで会ったこともない人と婚約は嫌らしく。
それで僕の家に住まわせて欲しいということらしい。
「そういうことだあのクソ両親め」
「あははは」
これはそうとう根に持っているらしい。
けど高校に入ってから女子と同居、あいつにばれたら色々聞かれそうだな。
「いいですよ家に来てもらっても」
「いいのか?!」
「はい」
「これで今日から三人暮らしだね!!」
「あ、の、その、よろしくな日原!」
「はい、よろしくお願いします」
こうして鷹宮さんとの同居生活が始まった。
鷹宮さんは一旦荷物を取ってきたいということでご飯を食べた後帰って行った。
「ねえお兄、あんな可愛くてカッコいい人どこで会ったの?」
「いいだろ別に!」
「えー気になるー!」
「とにかく鷹宮さんの泊まれるように部屋掃除するぞ」
「わかったってお兄ちゃん」
「はいそれじゃあ掃除道具持って来て」
「えー!お兄取って来てよ」
「嫌だ」
「じゃあ!」
二人同時に後ろを向いて、すぐ振り返る。
「最初はグーじゃんけんポイッ!」
「グー」
「チョキー」
「えー嫌だってお兄!」
「家のルールだ」
「ちぇえ」
妹は掃除道具を家の庭に取りに行った。
さてじゃんけん勝ったしやりますか。
さてとどこの部屋にしようかな。
まだ寒いし昼間とか暖かい部屋の方がいいか。
それじゃあここだな。
ここは和室でなんならこたつまであるから絶対風邪ひかないと思うし、それとここの窓からなら町の様子綺麗に見えるしね。
和室を歩いていると何か本が落ちていた。
なんだこれ?
黒いカバーがつけられている。
あれ?開かないなー。
ていうか多分これ妹のだな。
何かいかがわしい本でも入ってるんじゃないか!
こじ開けて見ると中には、
「なんだこれ?」
『百合漫画砂糖の様に溶け合う二人?』
これ!?まさか?!
妹はいないよな?!
よしこのカバーを着けて、ああ落ちる。
「お兄!箒と掃除機だけでいい?」
「いやスンバ持って来て!」
「わかった」
下から今上がられたら僕は妹に絶対殺される。
妹を怒らせると母さんより恐いんだ。
小さい時の少しトラウマが刺激されるー!
妹がまだ幼い頃に少し本を読んでてそれをからかったら本じゃなくて椅子を持ち上げて投げて来たんだ!
あれは恐ろしく怖かった。
あの時の顔は、幽霊よりも怖い。
「お兄ちゃん?」
「妹よこれは違うんだ違うんです」
「何がかな?」
あ、終わった。
この後無茶苦茶やられました。
「お兄ちゃんわかってるよね?」
「はい、誰も言わないです」
「中3怖いー!」
「ああん?」
「ひへー!」
「お兄これどうしようかなー」
「腕治ったら好きな物作ってやるから!」
「わかった」
怖い笑顔がすっと引っ込んで普段の顔に戻った。
それにしても妹にこんな物に興味があるなんて。
けどあっちの方じゃないからまだいいか。
「さて掃除やるか!」
掃除を始めた。
まず和室の畳をベランダに出して、
うわ、ほこりすご。
うわ!ゴキブリ!
拾って外に投げる!
まじかこの家にゴキブリがいるなんて。
箒で掃いて、その後に水拭きして、乾拭きして
畳はちょっとだけ叩いてほこりを落として、
そのままにしておこう。
次はスンバ持って来て、電源ON!!
スンバが動きだした。
あとはこんなけでいいかな。
後はベットだけどどうしようか、家にないし、
買いに行くか?
うーんけど今日来るかわからないしなー。
「なあ妹よベット買いに行ったほうがいいと思うか?」
「うーん一緒に買ってきたら?」
ソファでアイスを食べながら話す。
「ホームセンターとかで買うか」
「それがいいんじゃない」
「ていうか今日こないでしょ」
「だよなー」
こうして1日が終わった、それにしても鷹宮さんの餃子おいしかったな。
明日また学校で会えるかな。
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