第23話 (最終話)なんだかんだあったけど世界は平和になったし世界は変わって良かったし、気にするのはやめようぜと言う話。

勇者サードの活躍により世界に平和が訪れた。

サードの一撃で勇者の心を取り戻した幸坂 聖は半勇者半魔王になって帰ってきた事になった。

と言う話になっている。


三雄と勇者ルークス一向、そして魔王幸坂に女神を加えたメンバーで城に顔を出す。


当然城なんてものは出来ておらずに平民の大工達に不眠不休で城造りをさせていて三雄の機嫌は悪くなり「女神様、魔王に城造りの能力授けてよ」と言い、訝しみながらも力を授けられた魔王に三雄は耳打ちをする。


「ふっ、それはいいな」

そう言った魔王が手を翳すと城の跡地に今までよりも豪華な城が生み出された。


これに気をよくした王妃と姫に向かって三雄が「噂は聞いたと思うけど、勝負は俺の勝ち。魔王は俺達の村で暮らすから、それと魔王の時期が長すぎて完全な勇者には戻れなかったからな」と説明をする。


「大義でした」

「ええ、まだお若いのに見事な結果。勇者の装備もルークスに戻したのですね」


「まあね。で、手打ちで城は直させたから文句なしで良いよね?」

「はい。勿論ですよ」

「本当、素敵なお城ですわ」


ここで三雄は「女神様、聞いたよね?」と言い、女神も「はい…」と答える。


「その城さ、魔王に流れる力が先に行くようにしたから皆の心が汚いと屋根がキラキラ光るから」


この言葉に驚いて振り返る妃達の目には虹色に輝く屋根が見えた。



「懐かしいな」

「魔王?」


「私の若い頃に国道沿いのカップルズホテルにそっくりな建物があった。キラキラと良く目立っていた」

「ブハっ!言えてる!魔王!宿泊と休憩の料金表作る?」


「悪ノリだよサード」

「ルークスって真面目だよな。なんでルークスは異世界トラック喰らったの?」


「大学入試に落ちて予備校に行ったけど馴染めなくて辞めてきたらズドンだよ」

「うわ、俺より真面目なのに酷え」


和気藹々と話す三雄たちに苛立った姫だったが三雄が「あ!更に光が増した!やべえ!車輪つけて音楽鳴らして行進させたい!」と笑うと姫は怒りを落ち着かせる。


この話で憎らしいのは姫が怒りを収めると屋根の光が落ち着き、それを見た妃も怒りを収めると屋根の光は止んだ。


「あれ?光らないって事は王様はまともなの?」

「私はずっと感謝と申し訳なさを持っていた。この城があればあの2人も大人しくなろう」

この言葉にピンときた三雄が「もしかしてさ、お妃さんがあんなだから子供1人なの?」と聞くと王は三雄に「…婿に来るかな?」と聞き、三雄は即答で「やだよ」と言った。


三雄はパレードのメロディを口ずさみながら城下町を歩く。

ルークスや魔王を引き連れていて人目を引くが意に介さずに魔王を無事に倒して幸坂を取り戻したが魔王に乗っ取られてた時間が長いせいで半勇者半魔王だと説明をする。


そして城が光り輝くのは人の心が汚い時だから屋根が光ったらハートフルピースフルを意識するように伝える。

後は魔物達は魔王の指示で大人しくはなるけど世界の汚れだから定期的に倒して食べるように伝える。


食べ方は今度マニュアルを作って配ると言うと感謝された。


「勇者様!」

城下町の端で子供達に呼び止められる。


子供達は3つに分かれて1人は幸坂の前で「魔王に取り込まれて大変でしたか?今までありがとうございます!」と頭を下げると幸坂は真っ赤になって照れた後で泣いた。


「良かったじゃん。セイント」

「セイント?」


「お前の名前、ラッキーとセイントで悩んでセイント」

「長いからセインにする」


「ちびっ子、コイツは勇者セインだから皆に教えてやってな」

「はい!」


ルークスは変わらず女子供にモテモテで皆から感謝と羨望を集める。


そんな中、男の子は三雄に「勇者様!」と声をかけて「装備もないのにセイン様を助けたの?」と聞く。


「あま〜い、俺は俺専用の装備があんだよ」

「すごいです!見せてください!」



「あ、見る!?いいぜ!」

三雄はニコニコと男の子から離れると「変……身っ!!」とポーズを決めてオーラアーマーを纏う。


それは魔王もルークスも初見の格好でなんだかわからないと言う。


「劇場版だよ!見てないのか!?コイツは銃使いのデストロイヤー、仮面デストロイヤーブイエスなんだよ」

確かに手には銃形状の武器がある。


「オーラを放つのか?」

「おう!まあ実際は色んな弾だけどそこら辺はオーラをつかうぜ!」


三雄は意気揚々と男の子に見せると男の子は未知の銃にも驚きを見せて「僕もやれるようになりたい!」と言う。


三雄は「勿論!やれば出来る!無理なんてのは嘘吐きの言葉だからな!」と自信満々に伝えてネツトへと帰って行った。



その後…。

ネツトのメンバーは一大プロジェクトとして魔王の力を使って島を生み出した。

その島は冒険ありグルメありのネツト島として売り出し、立派な産業とする事にした。


「なあ、今度ホルタウロスフェアやってさ、冒険者に振る舞おうぜ」

「また?それなら今度は自分で倒したホルタウロスを調理から教えて食べさせた方が良くない?」

「それは見捨てられた村の皆に任せようぜ」


「それよりも新・村長の考えた最強の魔王城が突破されそうだから次の魔王城考えないと」

「だが魔王達はボヤいてたぞ?」

「本当、こんな残酷な仕掛けは思いつかないとか文句言ってたよ」

「あの…救護室を強化してくれないと私とツインさんとアンナさんとブレスさんだけでは面倒見きれないんですが…」


魔王はワイワイと相談する皆を見ながら「…一ついいか?なぜこうなった?」と三雄に聞く。結局セイン呼びは魔王を知らない人たちだけで、ネツト者達は魔王と呼んでいる。


「は?まだ言うのかよ。お前の力を存分に使える場所だろ?全部好みにしてるし魔王のタイミングに合わせてるから嫌じゃないだろ?」

「嫌ではない。だが思っていた姿ではなくてな…」


「は?だって魔王は倒されて世界は変わるだろ?女神様だって何も言わなくなったからOKなんだって」

「女神は途方に暮れて諦めた顔になってないか?」


「いいんだって、女神様は俺達を救済してくれたんだって!…まあ…若干バトラバトルズを見捨てて新しい世界とか作りそうなイメージはあるけどさ」


そう、女神は「コレジャナイ」と言って最近では何も言わなくなってしまっている。


「…いいのか?」

「それ、その気にすんのやめようぜ、気にしてダメだったらって日本と変わらないじゃんかよ!」


魔王は自分の人生を振り返りながら「そうだな」と言って力を奮った。

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