第22話 三雄と魔王の最終決戦。三雄は女神の力で真の実力を発揮して魔王を倒す話。
浜辺には魔王と四天王、三雄と創一、双葉、それとルークス達4人と女神が訪れていた。
村人達は終わった後の宴会の為に村総出で2日目の宴会用意を始めて居た。
「なぜ浜辺だ?」
「最後の決着は仲間達の前でタイマンだぜ?」
ノリノリの三雄の代わりに創一が「あー…。魔王、仮面デストロイヤーって見てた?」と聞く。魔王は訝しげに「何?」と聞き返す。
「うちの息子大ファンなんだよ」
「…漆黒しか見たことがないな」
「マジかよ!?勿体ねえ!漆黒の後の改は?」
「ない」
「ちなみに、別シリーズの最後は浜辺の波打ち際で決闘して終わるんだよ。ちなみに決着がつかないんだよな」
「決着?それは私が勝つだろう。結局多少強くなっても我が装備の前では無意味だ」
そういう魔王に創一は「そうでもないんだよな。女神様、サードに力を授けてやってください」と言う。
「…本当にアレで勝てるのですか?」
「勝てますって。な?ツイン」
「うん。サードなら勝てる気がする」
「だが女神が力を使えば私も覚えるぞ?」
「覚えれば?良いんじゃない。見てみたいし」
この言葉で難しい顔をする魔王だったが女神が三雄に授けた能力は「技が格好良くなる」だった。
「…ふぉぉぉっ!これはまさか!」
ちょっと待ってて!と言った三雄が草むらに消えていき「おおっ!?マジかよ!!」「これなら!?ぉおぉぉっ!」と喜ぶと顔を紅潮させて戻ってくる。
そして開口一番「魔王、悪いな。俺勝つわ」と言った。
「何を言う?」
「いや、大勝利だわ。女神様マジあんがと」
女神は困惑の表情で「ええ、これで勝てれば良いのですが…」と言う。
「勝てるって!マジ感謝!行くぜ魔王!」
「…よくわからないが付き合ってやろう」
魔王は勇者の剣を抜くと殺気を放つ。
殺気は物凄い圧で三雄以外はみじろぎしてしまうが三雄は笑うと「変……身っ!!」と言いオーラアーマーを纏う。
だがオーラアーマーは今までの光った何かではなくしっかりと身体を覆う鎧になっていた。
「あ!仮面デストロイヤー是空だ!」
思わずルークスが反応すると三雄は「わかってる〜、まあ仮面は出さずに顔は俺のままだけどね」と言って魔王に殴りかかる。
その圧も威力も今までとは段違いだった。
「くっ…女神め、何が格好良くなるだけだ、しっかりと強化をしている!」
悪態をつく魔王に女神は「していません」とハッキリと言う。
魔王は再び三雄を睨みつけて「ならば私も使ってやろう!喰らえメルトボルケーノ!」と言う。
放たれたメルトボルケーノは今までとは違い豪華絢爛になっていた。
そう、豪華絢爛になっただけで威力も何も変わらない。
それなのに三雄は「究極変身!アイスエイジ!」と叫ぶと青いオーラアーマーになり「エンドレスウインター!」と叫んでアイスウェイブを放つとメルトボルケーノを凍らせる。
「くっ!?なんだその威力?エンドレスウインター!?女神!!」
「あれはアイスウェイブです。エンドレスウインター等と言う魔法はありません」
メルトボルケーノを放てるネクレは目を丸くして「メルトボルケーノをアイスウェイブで?何だよそれ?」と言い、ルークスは「凄い…」と言う。
「ルークス、仮面デストロイヤー白亜は観てた?」
「ごめん、僕は是空しか見てないんだ。後はCMで観たくらい」
「マジで!?勿体ねえ!白亜はさ恐竜モチーフでさ!ほら!恐竜って隕石で寒くなって滅んだんだろ?だから白亜も最終形態でアイスエイジフォームになって氷系の技を使うんだよ!くぅ〜カッコいい!」
はしゃぐ三雄と対照的に魔王は唖然としていた。
「ほ…本当に格好いいだけで?」
「は?すげえ大事だろ?」
魔王は剣を構えると三雄も「キター!」と喜んで「フォームチェンジ!是空!大地神!」と言うと赤銅色のオーラアーマーに姿を変えて剣まで持っている。
ただ色と形が変わっただけなのに三雄は動きから変わる。
そして格好良くなる技を使った魔王も剣を振るう度に「シャラララ〜ン」と効果音が鳴り光が舞う。剣同士がぶつかり合う音も無機質なガツガツという音から綺麗な効果音になっていてそれが魔王を苛立たせる所に、三雄が文字通り格好良くなるだけで強くなっていて苦戦までしている。
「ルークス!剣使いのデストロイヤーは大地神以外にも居るんだぜ!フォームチェンジ!剣王!」
剣王になると全身に8本の剣を纏っていて「エイトソード!」と言うと前に出て魔王に向けて縦横無尽に剣を振るう。
「二刀剣術!六連斬!」
4発防ぎ、2発で砂浜を転がる魔王に向けて三雄は残りの6本の剣を投げつける。
どれも致命傷だが勇者の鎧がそれを許さない。
だが腹立たしいのは回復時に「キュララララ〜」と効果音が鳴って身体が虹色に輝く事で魔王は更に苛立つ。
「くっそ、ジャジメントブローでトドメ刺さないとダメかなぁ」
そう呟く三雄を見て女神は創一に「なぜサードは格好良くなるだけであんなに強くなるのですか?」と聞く。
「いや、あれが実力なんですよ。でもアイツ折角のオーラが格好良くないって落ち込むしやる気削がれていたから普段は弱かったんです」
「は?普段は弱かった?アレでですか?」
「本当、いつもオーラを格好良くしたいって悩んでました。あのバカの特撮マニアぶりは本当に頼もしいけど憎らしいてすよね。泊まりのデートもニチアサだけは見逃せないってその時間は何もできなかったんですよ!本当なら素敵ホテルのモーニングに行きたかったのに彼氏が行かないでアインが代わりだったんです!」
「な、アイツってば「ニチアサの為に我慢してくれ双葉!」って言って俺には「手までなら許すからモーニングに行ってこい!」って言うしな、録画させても「録画は後で20回は観る!リアルタイムに意味があるんだ!」だからな」
「本当、あの朝のオムレツとパンケーキの味は忘れないわ」
「ツイン、顔怖いぞ。まあ言うなれば最強のゴッコ遊びです。勝てますから大丈夫ですよ」
「ぬぅあぁぁぁっ!要らん!」
魔王は装備を投げ捨てると「イライラする!」と言って三雄を睨む。
「え?勇者装備要らねえの?」
「キラキラ光るし音は出るし!邪魔だ!」
「じゃあルークス貰って着なよ」
「うん。でもいいのかな?サードが着れば強くなるよ?」
「要らねえ。俺あんまりRPGやらねえからそういう装備に思い入れないし。ほら、俺にはこのオーラ装備があれば無敵よ!」
ルークスは嬉しそうに鎧を身にまとって応援に戻る。
「魔王、オーラアーマー着てみなよ。格好いいの期待してるぜ」
「…そもそもオーラとはなんだ?」
「魔法撃つ時の奴だって」
「魔法力か?あれを物理に転換?ありえん」
「そう言うなってやれば出来るって」
この言葉で諦めた魔王は「オーラアーマー」と言って見ると真っ黒な鎧姿になる。
「ん?なんだそれ?どのデストロイヤーでもないぞ」
「サード!それ昔流行ったアニメの鎧!十二支が猫の国と戦うアニメ!卯年の鎧だ!本当は純白だったけど魔王だから黒だな!」
「アインは相変わらず詳しいのな!了解!魔王はアニメか…。これはアニメと特撮の聖戦だな」
三雄は「フォームチェンジ!是空超域!」と叫びながら前に出ると「スーツアクターさんに感謝!」「火薬師さんに憧れ!」「子供に夢をありがとう!」と言いながら魔王を殴る。
魔王は「舐めるな勇者!」と殴り返して「なんなんだこの人生は!」と言う。
「何があったんだよ!」
「ロクな人生ではなかった!」
こうして幸坂 聖と言う男が歩んできた人生の話を聞かされながら殴り合いが続く。
「親からは搾取され!」
「ロクな勤め先も見つからずに死に瀕しながら働いた!身体が痛もうが血尿が出ようが休めずに働いた!」
「同じ職場で出来た妻には裏切られた!」
「何がプラトニックラブだ!ふざけるな!」
「働けなくなれば口減らしだ!」
一通り怒鳴り散らしながら殴る魔王。
壮絶な人生に双葉も創一も言葉を失う。
わからない事も多かったバトラバトルズの人間達でも悲惨さに息を呑む。
三雄は喰らう先から傷は治り、目を丸くする魔王に「オーラアーマー是空超域の特殊効果だ、気にするな」と言った後で反撃に出る。
「何を言っても言葉は軽くなるからお前の人生については言わねえ!」
「だが良かったじゃねえか!バトラバトルズならお前を苦しめる奴は居ねえ!俺達と仲良く楽しく暮らせる!」
「持て余した力は全部使わせてやる!だから安心しろ!」
そう言って思い切り振りぬいた拳により三雄と魔王の間に距離が出来る。
「仮面デストロイヤー是空超域は究極のデストロイヤー。破壊の力でお前を倒す」
「最後の一撃か?舐めるな!」
力を込めた魔王は「勇者よ!鎧の力で周りの奴らを守るがいい」とルークスに指示を出すと三雄を見て「アトミック・ショックウェイブ!」と魔法を放った。
「フルパワー!超域全開!ジャジメントブロー!」
三雄はアトミック・ショックウェイブごと魔王を殴りつけると魔王は砂浜を転がり、大地には成敗の文字が描かれていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます