第21話 魔王をネツト村に連れて行って皆で宴会したり久しぶりの日本食に舌鼓を打つ話。
三雄と魔王がネツトに戻ってきたのは2日後の事だった。
ネツト村では祭りの準備が終わって居て帰ってきた三雄に皆が「お帰り」と声をかける。
「皆、ただいま。勝った?」
「当たり前だろ?アインとツインがやってくれたよ」
「だから村が無事なんだろ?」
「それにあの村長の作った魔王城は凄すぎだぜ」
喜ぶ村人達はそのまま魔王に「よっ!お帰り」と声をかけて魔王が不思議そうな顔で村人達を見る。
「へへ、な?オーラが違うんだよオーラがさ」と三雄が笑うと魔王が「何故だ…、何故無事なんだ?」と唖然とする。
皆で広場に集まると普通にアンクレ達が手伝いをしていて魔王を見て「魔王様!?」と言って慌ててお盆を後ろに隠そうとするが丸見えだった。
「お前たち…」
「ひっ!?」
「すみません!」
「負けました!」
「頑張ったんです!」
怒気を放った魔王が「何故私の四天王がこんな給仕のような目に遭うのだ!」と言うと巻き上がる埃。
「バカ!飯に埃が入るだろ!」
三雄が止めに入るがそれより先に前に出た双葉が「ご飯があるんだからはしゃぐんじゃない!」と言って魔王を殴る。
殴られた魔王は三雄の攻撃以上の攻撃できりもみしながら吹き飛ぶ。
今の創一と双葉は三雄が居るので三雄以上の存在になって居た。
「ガハッ!?なんだこの人間は…日本人?」
「そうよ!同郷!アンタと同じ日に異世界トラックにやられてここに居るのよ!」
「何故魔王の私よりも強い!?」
「さあね。とりあえずアンタの部下達は私に負けてネツト村の村民だから手伝ってるの!ほら!ご飯が出来たからパーティーするわよ!」
パーティーが始まり、なぜ帰還がわかったかを聞くと、ブレス達は魔王が近くにいる事が分かると言い、きっと三雄もそこに居るからとパーティーの用意を始めていた。
「なあ、魔王はホルタウロス派?キンカー派?」
「私はウッコー派だ」
「鳥か!そっちか!」
「本来ならキンカーも美味いと思うがどうしても日本料理が食べたくなるし、私は作れない」
ここで三雄が「あ!魔王!タコだ!タコ出してくれよ!」と言い、魔王が訝しげに海で戦ったキラーオクトパスを出すと三雄が一気に倒してオーラナイフで綺麗に切り落とすと「アイン!ツイン!タコだよタコ!美味いぞ!」と言う。
「マジで!?」
「タコ刺しかよ!」
アインとツインが喜ぶと食に寛容なネツトの村人達も我先にとタコに群がる。
「くそっ…、醤油が欲しい。魔王、出せない?」
「…何?」
「ほら、人の悪い感情からブレス達を産んだならその感じで醤油作ってよ」
「…やってみる」
魔王が醤油を作ると三雄達だけではなくルークスも泣いて感謝をして「魔王!ありがとう!後はお米だ!」と言う。
「何!?」
「あー、それならさ魔物産もうぜ、なんかこう草モンスターみたいなやつで攻撃手段が 白米飛ばすんだよ!やってくれって!」
魔王は三雄のペースに飲まれたまま気がつけばライスマシンガンと言う魔物を生み出して白米をマシンガンのように放ち三雄に集めさせるとそれを炊かせる。
「うめぇ!タコ刺しご飯サイコー!」
「本当、久しぶりの白米、本当美味しい」
「魔王に感謝だな」
「本当です!」
この後も「マグロの魔物作れって!な?」と三雄に言われたり「味噌を吹いてくる魔物は?」と言われながら宴会は進んでいく。
途中で魔王は双葉に迫り、「…一個願いを聞いてくれないか?」と言う。
「私は旦那と子供も居るから変なのはダメよ?」
「そうではない。私は料理が下手なんだ。キンカーを出すからトンカツを揚げてくれ!」
「へ?いいわよ。パン粉はバトラバトルズのパン粉で良いわよね?でも前にやったけど塩は美味しいけどソースがないからつまらないのよね」
「出す。生み出すから頼む!」
こうして出来上がったトンカツは魔王は勿論村人達全員に大好評で魔王はつい笑顔になってしまう。
「魔王、醤油の他に味醂出せる?唐揚げ作りたいわ」
「ウッコーともども用意しよう」
こうしてできた料理を前に魔王は喜び村人も奪い合い寸前までいき、双葉は手が疲れたと言いながらひたすら料理を作り続ける。
「嫌でなければ食べてみてくれ、私の故郷の味だ」
魔王からトンカツや唐揚げを勧められたブレス達は恐る恐る食べて味に感動をした。
「魔王、鉄板は作れないわよね」
「鉄板?」
「たこ焼き食べたい」
「作ろう。勇者よ、鉄板は作るからお前が均一に丸型をつけろ」
「…それサイコーだな!任せろ魔王!」
こうして作ったたこ焼きも皆で楽しんだ。
腹が満ちて皆でノンビリとしながら創一が「なあ魔王、ここで手打ちにしてさ、終わらせないか?」と聞く。
魔王が返事に困ってると「ダメだって、なんでアレ俺と魔王は最後の決着をつけるんだよ、それで俺が勝てば魔王は勇者の心を取り戻したって事にして半魔王幸坂として俺たちと仲良くネツトで暮らすんだ」と三雄が言う。
「…私が勝ったらどうする?」
「そんなの死闘の果て、魔王が弱ったタイミングで幸坂が身体を取り戻したからネツトで俺たちと仲良く暮らしましたで終わらせるんだよ」
「どっちにしろお前の希望通りではないか…」
「いいだろ?これからのバトラバトルズはこう言う楽しい世界に変えていこうぜ、飯も魔王が居れば日本食も手に入るし、ブレス達も美味いって食べられたしさ、大地の汚れは美味しい魔物になってもらって食べようぜ」
「…世界を変える?」
「な?悪くないだろ?」
女神はここで異論を唱える。
「勇者サード!それでは今まで私が悩んでいたことは何になります!?」
「へ?何悩んでくれてたの?」
「あなたに言われた勇者の装備の打ち破り方です!魔王にはいくら修行をしても届きませんよ!」
ここで創一が前に出て「女神様、良いことを思いつきました。大丈夫ですよ。ここでサードに授けて魔王が覚えても平気な技があります」と言う。
「は?そんなものが?」
「ありますって」
創一は楽しそうにひそひそと説明をすると「はぁ!?そんなもので勇者の装備を身に纏った魔王に勝てるとでも!?」と言って女神が慌てる。
「サードは俺の親友で俺の息子ですよ。コイツの考えくらい手に取るように分かりますよ」
創一の笑顔で女神 は「わかりました。まあ本当に魔王が勝っても半魔王幸坂氏としてあなた方と行動を共にするのならかまいません」と言って技を授けようとするが「あ、明日教えてよ。今日は戦わないからさ。魔王、温泉作ってノンビリしようぜ。明日は浜辺で決着だぜ」と言って満腹の腹をさする。
「…つくづくマイペースだな」
「そう?魔王のマイペースは?」
「私は生まれてからずっと自由がなかった。だから何をして良いかわからない」
「成る程、じゃあさ俺が提案で魔王のペースでやろうぜ」
「…いいのか?」
「おう、ルークスもさ故郷とここを行き来して楽しく暮らそうぜ」
「いいのかい?」
「おう、今度はカツ丼食べようぜ」
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