困窮した世界で口減らしの言い訳に異世界を信じる連中に殺された俺達が勇者と勇者の保険になって魔王を倒しに行った話。
第20話 四天王がネツト村に攻め込んできたけれど、ネツト村民には手も足も出ずに負けてしまう話。
第20話 四天王がネツト村に攻め込んできたけれど、ネツト村民には手も足も出ずに負けてしまう話。
三雄が城に向かってすぐに監視から四天王が現れた事を告げられる。
村人達はすぐに村の横に作った「村長の考えた最強の魔王城」に立て篭もる。村を壊されては復興が面倒臭いと言う事で村長の考えた魔王城から顔を出して「村人達は全員この城の中だ!かかってこい!」と言う。
ブレス、ネクレ、バングル、アンクレの四天王は鼻で笑いながら「勇者でもない人間が四天王に勝てると思ったか!」と言って攻め込んでくる。
まずは骸骨剣士風のバングルが入って一歩目の罠にかかって飛んできた丸太に吹き飛ばされる。
バングルの骸骨剣士は骨モチーフの鎧なだけで骨でもなければ鎧のモチーフも本物の骨ではない。魔王が用意していたヘルチタニウムを骨風に加工したものだった。
だがそのモチーフが一瞬でバラバラになって中から人の姿のバングルが出てくる。
「な…なに!?」
「バカな、バングルの鎧を砕く!?」
まさかの事態に驚くアンクレとネクレ。
「うはははは!これぞサードのオーラを纏わせたオーラ丸太!参ったか魔王の手下ども!」
わざわざ村長が顔を出して高笑いをして引っ込むとネクレが青筋を立てて「おのれ人間め」と言って前に出る。
ネクレはフードを被った魔法使い風の出立で「こんな城、我が大魔法で吹き飛ばしてくれる!魔王様程ではないがくらえ!メルトボルケーノ!」と言って城に火の魔法を放つ。
「ふっ、焼け焦げながら四天王を愚弄した事を後か…こここここ…え?」
城は焦げ目ひとつ付いていない。
「うはははは!笑止!これぞサードのオーラを纏わせたオーラキャッスル!サードには魔王城は強固で攻撃など効かないと教える為に作った!この城は魔法攻撃も物理攻撃も効かん!ズルなどせずに諦めて最深部の魔王の間を目指すが良い!」
ネクレはワナワナと震えて涙目で次々に魔法を放つがどれも通用しない。
「なんだよオーラって…、オーラ知らねえよ」
ネクレは最後には泣いていてブレスが慰めていた。
その後は悲惨の一言だった。
複雑な迷宮をひたすら歩かされながら三雄のオーラを纏わせたオーラ油による火あぶり、スライムを絞って溜めた酸にオーラを纏わせたオーラ酸、再びのオーラ丸太による波状攻撃などで四天王はほぼ壊滅状態の死屍累々でなんとか魔王の間の手前まできた。
手前で待ち構えていたのはダイヴ、レグオ、フロティアで「よく来たな悪の四天王!」と言う。
これには思わずブレスが「どっちが悪よ!」と声を張る。
「うはははは!この城はサードに魔王城攻略の為に用意した城!本来ならばお前達もこうしてサードの装備をはいで弱り切った所に名乗り出て殺す気であっただろう!立場が逆転しただけで悪とは笑止!!」
村長の発言に「魔王様はそんな真似しなかったわよ!」と声を荒げるブレス。
そんなブレスは胸と股を手で押さえている。
残りの四天王は男なので股を押さえながら「しかも勇者は壁を壊し扉を殴り開けて無理矢理攻め込んできたぞ!」と言う。
「それはそれ!」
村長は開き直ると顔を引っ込める。
一触即発なのだがどうしても締まらない。
それは主に素っ裸にひん剥かれた四天王のせいだった。
「ターイム!」
そう言って現れたのは双葉で、双葉を見たアンクレは「魔王様と同じ髪色に目の色」と驚く。
「同郷だからね。とりあえずフルチンなんか見たくないからコレを腰に巻きなさい!そこのあなたは胸も隠す!」
そう言って出てきた毛皮を身に纏う四天王。
原始人に見えなくもないがまだマシになる。
双葉が「それ、あったかいわよね」と言うとバングルが「うむ…助かる」と言う。
「霜降り狼の毛皮よ。もしかしてトロマンモスの方が良かった?トロマンモスはもう食べちゃったし毛皮は敷物にしたからゴメンね」
「…お前、あの勇者の親か?」
「あら?何でわかるの?」
「わかるわよ。貴方の息子は私にホルタウロスの味やキンカーの味について話しかけてきたのよ」
「美味しいわよねホルタウロス」
「そうじゃないでしょ!魔物に魔物の味を聞くの?」
「だって食べたら美味しいんだもの。食べず嫌いはダメよ?」
「…貴方だって人間は食べないでしょ?」
この問いに双葉はしみじみと「人間って見た目からして美味しそうじゃないし、言葉話すし意思疎通できるからねぇ」と言う。
「…それなの?」
「そうよ。じゃあ私は奥に引っ込むからね」
双葉は手を振りながらマイペースに奥の部屋に移動すると仕切り直した四天王がダイヴ達に襲い掛かる。
ダイヴ達は劣勢の一言だった。
恐らく能力値を十段階で表すと四天王は10でダイヴ達は9。
これまでのトラップのおかげで四天王は防具が毛皮だけなのと弱っているので何とかなっているがそれでも3対4に加え、フロティアが補助回復専門で手数が足りずにジリ貧になっている。
「ルークスが居なくても俺たちはやる!」
「そうです!必ず四天王を退けます!」
「ダイヴさん!回復を!」
「愚か者め!勇者がいてこその勇者の仲間達が我々に敵うわけあるまい!」
「お前達を殺した後は勇者だ!」
「いや!その前にあのことごとく高笑いをしてきたジジイだ!」
この言葉に魔王の間(避難所)では村長が「ひぃぃぃぃっ」と怯えた声を放つ。
実際はオーラの力を浴びた扉なので籠城すればなんとでもなるがそれでも蓄えもそこそこなので長期戦には向かない。
この言葉にようやく寝たきりだが意識は戻ったルークスが「くっ…、ぼくが立ち上がらないと」と言って身体を震わせながら立とうとする。
この姿に創一が「バカ、傷口開くから寝てろ!」と声をかけて双葉も頭を小突いて「治した私の苦労を知りなさい!寝てて」と言う。
「でも、今のままではダイヴ達が!女神様!」
いまも部屋の隅で「あの方法なら…ダメ、魔王が真似をしたらひっくり返る」と言っている女神に声をかけるが女神はルークスを見て首を横に振る。
ここでまた扉の向こうから声が聞こえてきて「あの非常識な勇者ではなく扉の向こうの勇者が元気なら拮抗、さらにもう1人居れば良かったのに残念ね」とブレスが言い放った。
ダイヴの「まだだ!まだ終わらねえ!」と言う怒声が聞こえてくるが創一と双葉は「ん?」「もしかして?」と言って顔を見合わせると頷く。
「アイン、こっちよろしく」
「ツイン、お前あっちの3人な」
双葉は再び扉から顔を出して「ターイム!」と言う。
「ちょっと!回復したりしないから少し話させなさい!」
そう言って前に出て「動かない!そのまま!」と鍔迫り合いをするダイヴとアンクレをそのままにするとフロティアに向かって「あなた!ネツト村の村民になりなさい!」と言う。
「え?」と聞き返すフロティアに「いいから返事!」と迫り「はい」と言わせると双葉は自分の変化に「よし!」と言ってダイヴとレグオにも同じ質問をして村人にする。
「アイン!そっちは!」
「事情を聞かれてた!うんって言ったぞツイン!」
この言葉と共に双葉は自分の右手を見て「うん、来た」と言うと「ターイム!選手交代ね!勇者チームに代わってネツト村のツイン行きます!」と言う。
「は?村人の貴方が装備はないとは言え四天王相手に何かできるとでも?」
そう呆れるブレスの横でバングルがキリモミで殴り飛ばされていく。
「え?」
ブレスが目を丸くして今までバングルがいた位置を見ると自分の拳を見ながら「うーん…弱いわね。4年前のサードと同じくらいじゃない。でもいいわ」と言っている双葉が居る。
「な…なんで?村人?」
「ふふ、村人舐めんなって話よ。さて、ダイヴ君達は引っ込んでてねー」
同じく目を丸くしたダイヴ達だったが言われるがままに引き下がる。
そして暫く3対1の戦いになる。
ブレスの支援、アンクレの攻撃、ネクレの魔法によって決め手が出せない双葉。
「フレイムウェイブ!」
「甘い!アイスウェイブ!」
「何故村人が我らと力比べを…」
「村人舐めんな!」
そうは言っても3対1なので双葉もキツい。
「ちょっとアイン!早くきなさいよ!」
「えぇ?ツイン楽しそうだったから俺は待ってあげて居たんだよ?」
そう言って現れる創一も一気に距離をつめるとアンクレの腹に重い一撃を加える。
「がぁ!?」
「ふむ…弱い。それなのに魔王はサードと張れる強さって言うのがまたタチ悪いね」
ドアの隙間からアインとツインの戦いを見ているレグオは真っ青な顔でルークスの横に戻って「余裕の圧勝だよ。なんだアレ?」と報告をする。
「な…勇者の親だからなんて…僕の両親はただの村人だ…」
この言葉に女神が近づいてきて「ルークス、彼らも転移者、勇者幸坂同様に転移時にある力を与えました。それが理由です」と説明をする。
ルークス達が気にした力の説明は簡単だった。
「村民最強」これにより今村が見える範囲に居るネツト村の村民よりは強くなれると言うものでルークス達を村民に迎えた事で佐藤双葉も鈴木創一も現存する村民よりも強くなって居た。
「じゃああの2人は俺より力があって」
「魔法も使えて?」
「それで勇者の技なんかも?」
「はい。しかし今日から最強等と言われて強くなれる訳がありません。彼らもまた勇者サードを鍛える形で共に訓練をして身体の使い方を熟知して居ます」
「…僕は何をして居たんだ…。勇者の才能に溺れて居たようだ…」
ルークスがそう呟いて腕で顔を覆った時、「ドシン」と言う音と共に「敵四天王…討ち取ったりぃぃぃっ!」と言う創一の声が聞こえてきた。
扉からそっと四天王を覗き込んで制圧した事を確認した村長は「うはははは!正義は勝つ!」と勝ち名乗りを挙げて、苛立ったブレスが這いつくばりながら「この…」と憎々しそうな声を上げたのだが双葉に踏まれて「伏せ!」と言われてしまっていた。
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