困窮した世界で口減らしの言い訳に異世界を信じる連中に殺された俺達が勇者と勇者の保険になって魔王を倒しに行った話。
第15話 ルークス達が魔王城に居ると思って乗り込んだ三雄が城を無茶苦茶にした後で魔王に会う話。
田中三雄が魔王と戦って勝つまでの話。
第15話 ルークス達が魔王城に居ると思って乗り込んだ三雄が城を無茶苦茶にした後で魔王に会う話。
三雄は魔王城に到着し入り口を探した。
城門はアイスランスの流れ弾で破壊していたので魔物を蹴散らしながら中に入ったが城の扉が開かない。
「だぁっ!面倒臭い!俺はゲームでもダンジョン制覇とか苦手なんだよ!」
ここで三雄はロールプレイングゲームの知識できっと城の裏側やどこかに開門のスイッチがある事を考えたが面倒臭さから破壊を選択した。
「アーン…ローック!」と言いながら扉を殴って次々と中に入っていく三雄はルークス達が来ていれば扉が開いている事にも気づかずに「くっそ!ルークス達はさらに奥か!?待ってろよ!」と言って部屋という部屋を破壊し、魔王を探索していた。
結局城の全ての階を踏破し扉を破壊した三雄だったが魔王はおろかルークス達も見つからない。
「地下か!確か昔創一が面白いからやってみろって持ってきたゲームでも魔王は玉座の裏に隠し階段があってその先に居たな!でも玉座…あったかな?」
三雄はブツクサいいながら襲いかかってくる魔物の群れを蹴散らし進むと一階に見ようによっては玉座に見える椅子があったのでその後ろを踏み抜くと階段が出てきた。
階段の先は真っ暗で三雄は一瞬躊躇したが「んー…、暗いところはなぁ。夜目の訓練はしたけどどうしても反応が遅れるんだよなぁ。もう天井をぶち抜いて陽の光でも入れるかな」と言いながら、さっさと拳を天に向けて「オーラバズー…」と言ったところで「崩落するからやめなさい」と言って女が現れた。
「女の人?」
「魔王様の四天王の1人ブレスよ。魔王様があなたに好き勝手させると城が滅茶苦茶になるからって私を派遣したわ」
三雄はさっさと手を下ろして「あ、そうなんだ」と言うとブレスは「その非常識さは何?魔王様は礼儀に則ってもう1人の勇者が水晶の谷を攻略したから地下で待っているのよ」と言って呆れる。
「あれ?じゃあルークス達はまだ来てないの?」
「ええ、まだよ」
この言葉に三雄は「ええぇぇぇ…、早とちりかよ!?」と言って肩を落とす。
「てかさぁ、ブレスだっけ?話ができる魔物も居るんだな」
「ええ、魔王様が特別に生み出してくれたからよ。私達以外の魔物には心なんてないわ、ただ本能に従って行動するのよ」
「そうなんだ。魔王の所って遠いの?」
「地下3階よ。そのくらいが丁度良いんですって」
「じゃあ話しながら歩こうぜ」
「構わないわ」
三雄は歩きながらすぐに「なあ、ホルタウロスって美味いよな。ブレスはキンカー派だったりする?後はあのタコ!あれ美味かったよ」と話しかけるとブレスは呆れながら「…あなた魔物相手に魔物の味の話をするの?」と言ってきた。
「え?食べないの?」
「私達は魔王様のお力で生きるから食事はしないわ」
これには三雄は困った顔で「げ…話題がなくなった」と言った。
「ふふ。静かなのは苦手?」
「苦手だな。俺の住んでた村は皆賑やかだからな」
「あらそう。魔王様は寡黙な方だから私達は静かに慣れたわね」
「そっか」
この後も三雄はそれとなく何故人を襲うのかと聞き、それは本能で目覚めた時からそうなのだと言われてしまう。
ただ魔王の指示である程度の抑制と指示出しは可能だと言われて三雄は「じゃあ魔王達がここから出なかったり人間が近寄らなければ襲うとかしなくてもよくなるのな」と喜んでいた。
「私達は見ていたけど、あなた嬉々として魔物達を倒してたじゃない」
「それは襲いかかってくるからだって。それが無ければ俺は故郷でのんびりと皆で生きるんだよ」
話をしていればあっという間に地下三階に着く。道は迷路状だったので「帰った後に直してくれよ」と言ってオーラで出した棒を使って歩いた後に線を引いていた。
帰れるつもりかとブレスは呆れたが「え?さっさと魔王を倒して悪さをしませんって言わせたら帰るよ。帰りにタコ捕まえて帰って村の皆で食べるんだ」と三雄は笑いながら言った。
シンメトリーの部屋、真っ暗で目が悪くなりそうな部屋に蝋燭の炎がゆらめいている。
「ご苦労だったなブレス」
この声が魔王だろう。
光源のせいで顔はよく見えない。
真ん中に座っていた魔王は立ち上がると「勇者よ、さあ私と戦いたければ四天王を倒すといい!」と言い、牛人型のホルタウロスを彷彿させる牛の魔物が前に出てくる。
よく見ると牛は被り物でブレスのような人間型だった。
「我が名はアンクレ!貴様のようなチビ助は叩き潰してくれるわ!」
そう言ったアンクレは見せ場もなく三雄に叩き潰される。
「ぐぇ…」
「まず1人ー。こういう時は一番手って噛ませだよねー。さあ次はだれ?」
三雄はそう言って笑ったがアンクレは四天王最強。
残りの3人は魔物なのに冷や汗が止まらなくなる。
「よい、アンクレは四天王最強。それを物ともせずに居るとは勇者よ私と戦う資格はあるようだな」
「え?最強なの?」
進んできた魔王が段々と姿を見せるとそれは40代の黒目黒髪の男性であった。
「黒目黒髪…日本人?」
「お前もか?だがお前は黒目黒髪ではないな」
「俺は転生者。お前は俺の両親のように転移者か…ん?何で転移者が魔王なんだよ。転移者は魔王を倒しに向かって討死したんじゃないのか!?」
「まあ良い、戦いながら話すとしよう。ブレス、ネクレ、バングル、アンクレを連れて下がれ、勇者の相手は私にしか出来ない。そして私と勇者の戦いの余波でお前達は消し飛ぶだろう」
この言葉に四天王はさっさと逃げ出した。
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