第12話 規格外の三雄の強さの原因を知った女神が三雄のペースに巻き込まれてしまった話。

女神は遂に規格外すぎる三雄のこれまでを聞く事にした。

「何って修行だよ。もう一日中主義。死ぬかと思ったよね。でもどんだけ強くなっても双葉と創一には勝てないし、女神様も「まだだめだ。修行しろ、修行しろ」しか言わないしさ」


ここで初めて双葉と創一に与えた村民最強の祝福で三雄にとって永遠に越えられない壁が生まれていた事に気付く。


「それで村長は女神様に心酔してるから言葉に従ってなんでもいいから俺を強くする方法を探すし、人も招くし、ネツトの皆は三交代制で俺を鍛える係、村に儲けを出して俺に持たせる係とかに分かれて3年間何人も死にながら俺を鍛えたよ」

「…はい?」


女神は早速耳を疑った。


「女神様、双葉でも治せない病だったトーマスって天国に行けたかな?トーマスも死ぬだけの命に価値が生まれたって言って喜んでいて死ぬまで止まらなかったよ」

「…え…ええ…トーマスですね。幸せをお約束しますよ」


正直トーマスと言われても女神は会った事もなければ知りもしなかった。

高次の存在からすれば人間一人一人に目をむけるのはとてつもない労力であった。


「それで村長がスカウトしてきたやつの中にとんでもないのが何人もいて、思いつきで修行メニューを決めるレイジーって奴がさっきのアイスランスの超圧縮を思いついてやらせてくるし、他にもモンディってオッサンが口癖の「限界なんてない!やれば出来る!」って言いながらすげえトレーニングをやらせるし、ラックィってオッサンも「無理は嘘つきの常套句」って言って無理難題を仕掛けてくるんだよ」

「…え…あ…えぇ…。ではサードは3年間毎日鍛えに鍛えて、さらにツインとアインを倒そうとしていたのですね?」


「そうですよ。双葉も創一も俺のオーラアーマーをぶち抜いてダメージ与えてくるし、オーラソードをへし折るんですよ。兵団長にやったのと違って本気でやったのにですよ?」

女神はその言葉を聞いてイメージをする。

あのオーラソードとオーラアーマーを破壊する双葉と創一。その2人に勝つ為に徹底管理された中で鍛えられた三雄。


それは強いだろう。


何というかようやく三雄の強さに納得が出来た女神は投げたアイスランスが魔王城の城門を破壊した話と勇者ルークスは三雄が楽に来られるように水晶の谷を踏破すると言っていたと伝えた。


「うわ、なんか嬉しいな。早く行かなきゃ!」

そう言った三雄は足早に大沼地を後にした。


その後も三雄の非常識な進軍は続く。

魔王も三雄を危険視し始めたのか、中央大陸では強敵と称される魔物達が続々と送り込まれるが、三雄は「現れたな戦闘員!」と言うと剣を抜いて片っ端から蹴散らしていく。


「必殺のデストロイキックをオーラパワーでやってみるかなぁ」

三雄はそんな事を言いながら巨体を誇る人喰い鬼に向けて「とう!デストロイキーック!」と言って飛び蹴りを放ち、地面に叩きつけた時に三雄曰くオーラパワーで地面に「成敗!」と掘り込んでいた。


「サード?その力はどのくらいの出力ですか?」

「え?アイスランス10発くらい」


「勿体…」

「なくない!」

女神は人選を間違えたかなと思いつつも三雄の規格外にどこか期待をし始めていた。



魔王の三雄を危険視する認識は増え続けていて休みなく魔物を送り込んでくる。

「サード!多勢に無勢です!ここは一度撤退するべきです!」

いくら三雄が規格外だとしてもこんな物量戦や消耗戦をしかけられて三雄が耐えられる道理はない。


「まああれくらいならなんとかなるよ。女神様。助けてもらうのってダメだけどさ、倒した数をカウントってしてもらっちゃダメ?」

「は?」


「この出方ってさ、the無比ってゲームに似てるんだよね。主人公が戦闘員どもを蹴散らしてゴールを目指すんだけど倒した数が100になったら「100成敗!」って声が出るんだ。やってよ」

女神は三雄の提案に「…いいですけど」と返すと「キリ番で読み上げとゾロ目でよろしくね!」と言って三雄は前に出ると「戦闘員どもめ!かかってこい!」と言って千切っては投げる。


三雄は数を数えて居たのだろう。

「女神様?」と言いながらゴブリンの群れに「かまいたち!」と言いながらウインドブレイドを放つ。


「ひ…100です!」

「違うよ!100成敗!って言って!」


「100成敗!あ…200成敗!」

「それそれ!やる気出るぞーっ!」


結局三雄は2000程いた魔物の群れを蹴散らすと「お腹減った。さっき倒した中に牛型のホルタウロスが居たからステーキ作ろう…。豚型のキンカーも居たらハンバーグにしたかったのに…」と言ってステーキを作って食べてしまう。


「また追加が来るなら倒しておくから勇者ルークス達を見てきてあげてよ」

「わかりました。間も無く水晶の谷です。ルークス達が道を切り拓いてくれているので迷わずに済むと思いますが気をつけてください」

女神は言うだけ言うとさっさとルークスの元に向かって行った。

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