恋するをとめ譚 転の二 「僕と君だから」
まず、私はともかく、ジアは死んだって言うのを覚えているんだね。となると、ここは死後の世界。死んだ人って言うのは、全て逆のことをする。あの化け物が死んだ人かは分からないけれど、その通りだとすると、本来はジアには恋人は与えちゃダメなんだね。
何でダメなのかな?
ここは死後の世界ってさっき言ったよね。そうすると、ジアの魂も多分ここにある。ということは、この世界はジアの魂の精神を反映している所でもあるかもしれない。中学生って言うのがまさにそうだった。ほら、厨二病。
厨二病はいつか卒業するものだからさ、ずっと心にくっついていたらダメなの。だったら、何が必要かな?
それは、恋に似て非なるもの、「愛」だよ。
具体的には、恋だったら彼氏の言うことを何でも聞いちゃうけれど、愛だったら、彼氏の為を思っての隔離だって出来ちゃう。まるで、食事制限の為に、おやつを隠す様に。
ね、君に必要だったのは、愛だったんだ。死後の世界も意地悪だね。君をそんなにここから離したくなかったんだ。
……おしまい!
「イオリ。」
「どうした?」
「凄いね。」
「でしょ!」
「六十四年、ずっと暮らしてきたけど、君がきてから、やっと私自身について考えた。君は、私の救世主だ!」
「まだこれが正解かは分からないけどね……」
「じゃ、やろうか。」
二人は手を握り、再びキスをした。
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