シュテンヒーロー 〜Prologue〜

名瀬きわの

Rev 0 : 記憶

「ソウ、ヨウ。元気か?」


男は一つの画像データを見て、そう呟いた。当然答えは返ってこない。


「私は後悔はしていないよ。2人を送り出したこと。」


何度も躊躇った。この運命の結末をから。もちろん彼らも知っていた。知っていて尚、この決断をしたのだから。


「だって親友なら止めないだろ。」


フランダーは宇宙そらを見上げた。そこは星々が瞬く、美しき世界。本来は神秘的であるはずのこの空間は、今ではひと時の安息もない邪悪な場所になっていた。

ここにはもう数え切れないほどの血が流れている。


全ては、彼らに託されたあの力だ。いや、彼らだけではない。あの力を生み出して、授けた全てが元凶である。


「なぁに、心配するな。お前たちのことはきちんと後世に伝えていくつもりだ。といっても、もしかしたらこっちが先死ぬかもしれない…いや…」


《宇宙が先か?》


そんなことを思いながら、彼の搭乗する戦艦は宇宙という波に流されていった。

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