第13話

236.「……というわけで今日をもってこの者は私の夫になりました」そう言って隣にいる男を睨みつけながらそう言った彼女は俺の妻となったばかりのアリアだった、それに対して相手の男もまた不機嫌そうにしながら反論してきた、「ふざけるのも大概にしろ!そんなどこの馬の骨ともわからん奴に大事な妹をやれるわけがないだろう!」その男の発言を聞いてアリアはため息をつきながら言った、「はぁ……貴方は一体何を言っているのですか?彼は間違いなく私が探し求めていた相手ですよ」それを聞いた瞬間男はさらに怒り狂って叫んだ、「嘘を言うんじゃない!そんなことあるわけがなかろうが!いいからとっとと帰れ!!」その言葉を聞くとアリアも我慢の限界に達したようでこう告げた、「……わかりました、これ以上は時間の無駄のようですね、ならば私達はすぐにこの街から出て行きます」するとその男は再び怒鳴り出した、「おい待て!そんなことをしたら貴様もただじゃおかんぞ!いいか、よく考えてから物を言え!それにもしどうしても出て行くというのであればせめてあの男だけでも置いていけ、そうすれば特別に許してやる」その話を聞いた途端アリアは再びため息をついた後で俺に声をかけてきた、「ごめんなさい、まさかここまで頭がおかしい人だったなんて思わなかったわ、こうなったら本当に今すぐ出て行きましょう、この人のために時間を使うくらいならダンジョンに潜っていた方がマシだもの」そう言ってきたのでとりあえず頷いた後二人でその場を後にした、

237.あれから数日が経過した、その間に俺とアリアはすっかり意気投合し一緒に冒険をしたりと楽しい時間を過ごしていた、(やはり持つべき者は気の合う仲間だな)そう実感しながらも更に仲を深めていこうと思っていたある日のことだった、不意に家のドアを叩く音が聞こえてきたので外に出てみるとそこに居たのはアリアの妹であるリンナだった、彼女は申し訳なさそうにこう言った、「突然押しかけてきて申し訳ありません、お二人にお願いしたいことがありまして……」話を聞くとなんと姉を連れ戻すように頼まれたのだという、だがそれを聞いた俺は即座に断ることを決めた、「悪いけど俺達はここでの生活を楽しんでいるんだ、だから悪いけれど君の頼みを聞くことはできないよ」それを聞いたリンは残念そうな表情を浮かべながらも最後にこう言った、「そうですか……でしたら仕方ありませんね、私はこのまま帰ります、……ですがこれだけは忘れないでください、あなた方にとってお姉様という存在は決して小さな存在ではないと」それを聞くと不思議と心の中に暖かいものが芽生えてきたような気がした、「わかった、肝に命じておくよ」そう答えると満足したように笑顔を見せながら立ち去っていった、 その後しばらくして夕食の準備をしていると急にアリアが口を開いた、「今日は色々と疲れたでしょうから早めに休んで明日に備えましょう」その言葉に頷くとその日は早々に寝ることにしたのだった、翌朝になり準備を整えると俺達は早速目的地へと向かうことにしたのだがその道中で思わぬ出会いを果たすことになる、(あれ?あそこにいるのはもしかして……?)その人物を見て驚きつつも声をかけることにしてみた、「やあ久しぶり、元気にしてたかい?」するとその人は一瞬驚いたような表情を浮かべた後で笑顔になってこう言った、「お久しぶりですね、二人とも元気そうで何よりです!」そんな彼女の言葉に俺達は思わず笑い合った、

238.久しぶりに再会した相手はかつての仲間の一人であり聖女と呼ばれた人物でもあった女性『ユラ・エルシア』であった、彼女との再会を果たしたことで喜びに浸っていると、「積もる話もあるだろうし中で話でもしたらどうだい?」そう言いながら現れたのはこれまた見知った顔の人物であるアレンだったのだがそこでふと気づいたことがある、それは彼が以前と比べて明らかに逞しくなっていたことである、それについて本人に尋ねると意外な答えが返ってくるのだった、

「……なぁアレン、一つ聞いてもいいだろうか?」そう尋ねるとアレンは不思議そうな表情を見せながら頷いてくれたので俺はこう尋ねた、「どうしてお前はそんなに強くなったんだ?以前のお前はそこまで鍛えていなかったと思うんだが……」それを聞いた彼は少し考えた後にこんなことを言い始めた、「ああ、実は俺もあんたと同じ力を手に入れたんだよ」……とまあそんな話はさておき、折角こうして再会したことだしみんなで食事でもしながら話をすることにした、 【タイトル】

〜無能スキルを授かったら努力次第で世界最強になれました〜 ~魔王を倒すために異世界転生しましたがどうやら最強の村人として生まれ変わってしまったようです~

URL→ https://kakuyomu.jp/works/1177354054889841060

239.あの出来事から数日が経過し、今は旅の準備を終えて出発の時を待っていた、だがその中で一人だけまだ納得していない人物がいたのだった、それは何を隠そう俺の妻である『アリア・リザリッド』である、それ故に今俺達は二人きりの空間を作り出していた、「……なあ、いい加減機嫌直してくれないか?これからまた長い旅に出るんだし少しでも楽しくした方がいいんじゃないか?」そう問いかけるも彼女はそっぽを向きながら答えた、「ふんっ!別に機嫌が悪いわけじゃないもん、ただ単に貴方が一人で勝手に突っ走ろうとしたことに対して怒っているだけだもん!」その言葉に対して何も言えなかったのだが、その時彼女が小声で何か言っていることに気がついた、「……たのよ……」「ん?何だって……?」聞き返すと彼女は恥ずかしそうに顔を赤らめながらもう一度言ってくれた、「だから……!嬉しかったって言ってるのよ!!バカ……!」その言葉に唖然としつつも俺は思わず彼女を抱きしめた、

「……ありがとうな、そんな風に思ってくれていて」そう伝えると彼女は無言で抱きしめ返してくれたのだがその表情がとても嬉しそうなものだったのは言うまでもなかった。

それから数時間が経過した頃にはすっかり日が暮れてしまった為そろそろ寝ることにしようと思い二人に声をかけると二人は何やら話し込んでいたようだった、気になったので声をかけてみるとようやく反応してくれたのだが、二人して顔を赤くしているのを見てますます気になってしまった、(なんだ?一体何を話していたんだろうか?)そんなことを考えながら布団に入ろうとしたらいきなり二人がこんなことを言い出したのだ、「実は私たち……子供ができちゃったみたいなんです……」それを聞いて最初は理解が追いつかなかったがやがてその意味に気づいた瞬間嬉しさのあまり泣いてしまった、「ちょ!?どうして泣いてるんですか!?」「大丈夫ですか!?」慌てて二人が心配してくれる姿を見ていたら余計涙が出てきた、

(本当に良かった……)心の中でそう思いながら泣き続けるのだった、

240.俺達夫婦の間に新しい命が誕生したのをキッカケにこれまでとは違った幸せな生活を送っていくことになるだろう、だがそれと共に大きな不安も抱えながら生活をすることになる、なぜならこの世界には様々な危険があるということを身をもって知っていたからである、それでもこれからは家族三人力を合わせて幸せに暮らしていくことを決意したのだった。

【タイトル】

元最強のおっさん、美少女勇者パーティーに入る(入れさせられる)

【あらすじ】

とある理由から奴隷となった少年「レイト」はあるきっかけにより伝説の勇者パーティーへと参加する事になる。これはそんな彼らが世界を脅かす悪と戦う物語、そして彼らの前に現れた強大な敵に立ち向かうためのお話である!

241.「ねえねえおじさん、ちょっとこっち来て~」そう言って手招きしているのは幼い女の子だった、俺が首を傾げていると女の子が更に話しかけてきた、「ねぇってばぁ早くしないと置いて行っちゃうよ?」そう言うとそのままどこかに行ってしまった、俺はその背中を追いかけながらある事を思い出していたのだ、それはここに来る前の出来事、街で偶然見つけた奴隷の少女に魔法を使ってみたのだがどうやらそれがいけなかったようで彼女は突然逃げ出してしまったのだ、何とか連れ戻そうと必死に追いかけるも全く追いつけず結局見失ってしまう、仕方なく帰ろうとしたその時にある声が耳に飛び込んできた、声のする方に行ってみるとそこにいたのは先程の少女の姿だった、彼女は嬉しそうにしながらこちらに駆け寄ってきたがそれと同時に俺の体は光に包まれていた、すると少女は不思議そうな顔をしながら俺に話しかけてきた、「あれ?さっきまで私と追いかけっこしていたおじさんだよね?でもなんで急に小さくなったのかなぁ……?」そう言われたことで自分が幼くなってしまったことに気づき絶望した俺であったがその直後少女の放った一言で救われることになる、「うーん……まあいいや、とりあえず私のお家に行こうよぉ」俺は少女に連れられて彼女の家に行くことになった、道中彼女からは色々なことを質問された、「ねえねえおじさんはどこから来たのぉ?」とか「お父さんとお母さんはいないのぉ?」とか「名前はなんていうのぉ?」等々聞かれたが全てはぐらかす形で受け答えをしていたのだが流石に面倒になったので名前だけは教えた、すると少女は満足そうにした後こう言った、「そっかぁじゃあこれからおじさんじゃなくて『お兄ちゃん』って呼ぶね♪」そう言われて驚いたのだがすぐに笑顔で返すと彼女もまた満面の笑みを浮かべて喜んでいた、しばらく歩くと一軒の建物の前に辿り着いた、「着いたよ!ここが私たちのお家だよぉ」少女がそう言って中に入っていったので俺も続いて中に入ることにした、するとそこには大勢の子供たちがいたのだった、その全員が俺の事を見て驚いているような様子だった、その様子を見た少女が口を開く、「皆どうしたの?どうしてそんな顔してるの?」その言葉を聞いてようやく思い出した、ここにいる子供達は全員かつて共に旅をしていた仲間たちであるということに、俺はその場で膝をついてしまったが、少女の言葉によってその場が静まり返ってしまったことに疑問を抱いた、「みんな一体どうしちゃったんだろう?いつもなら元気よくお返事してくれるのに今日はやけに大人しいなぁ」そう言った後彼女は俺の方を向いたかと思うとこんなことを言ってきた、「そういえばさっき言ってた『アリアお姉ちゃん』っていうのはだぁれ?」その質問に対して俺が答えようとしたその時一人の少年が声をあげた、「あ!姉ちゃん帰ってきたんだ!」その言葉を聞くと少女は少年の所に行き彼を抱きしめてこう呟いた、「おかえり……無事でよかった……」それに対して少年は驚いたような表情を見せた後、「なんだよ急に変な奴だな……まあでもただいま……」と答えたのだった、 244.俺達は現在とある街に向かって歩いている途中なのだが、先程からやたらと魔物達が襲撃を仕掛けてくるせいで思うように進めない状況にあった、だがそれ以上に厄介なことがあるとすれば、それは今目の前にいる女の存在だろう。何故ならそいつこそが魔王軍の幹部の一人にして魔族の中でも随一の実力を持つとされている『七色魔将』と呼ばれる者だからだからだ

「それにしてもこんなところまで来るなんて珍しいこともあるのですね……何かあったのですか?」まるで友人に話しかけるかのような感じで話しかけてくるものだから一瞬戸惑ったが、気を取り直して本題に入った、「ええそうよ、単刀直入に聞くわ、貴女には今から私達の味方についてもらうかもしくはここで死んで貰うことになるけどどうする?」それを聞いた女は最初キョトンとしていたがやがて笑い出したのだった、それを見た私達は警戒しながら様子を伺っていたら、女がこんなことを言い始めたのだ、「なるほどそうでしたか、ではこちらも遠慮なくやらせてもらいますよ?」そう言いながら構えたのを見て私は思わず息を呑んでしまったのだ、何せ相手は魔王軍の中でも指折りの強さを誇ると言われていた程の相手だったから、そして遂に戦いが始まってしまった、しかし戦い始めて間もなくある変化が訪れたことに気づいた、なんとあの女から感じる魔力量が大幅に上がっていたのだ、だがそれには流石の私も焦りを隠せなかった、何故なら今相手にしている相手があの伝説の英雄『聖女様』と呼ばれていた人物であり、その力は当時よりも衰えているとはいえまだ健在であることを示していたから、だからこそ今の状態で彼女に勝つことはかなり困難であることを改めて認識したのだ、その為一旦態勢を立て直すため撤退を試みることにした、だがそれを許すほど彼女は甘くはなかった、「逃がしませんよ!」その言葉と共に放たれた光線が私の横を掠めたと思ったらいつの間にか背後へと移動していたのだ、

「いつの間に!?」そう口に出しながら急いで振り返り攻撃を仕掛けるもあっさりと避けられてしまった上に反撃を受けてしまい吹き飛ばされてしまった、なんとか立ち上がろうとするも既に限界を超えていたせいか立つことができなかった、それでもどうにか立ち上がろうとしても体がいうことを聞いてくれなかった為仕方なく諦めてその場に座るしかなかったのだ、するとそれを見ていた女がこんなことを言い出した、「もう諦めた方がいいですよ? そもそも貴方達じゃ私に勝てないんですから大人しく降参してくださいよ、そうすれば命だけは助けてあげますよ?」そんなことを言われてしまってはもうお手上げ状態だった、すると彼女が再び口を開いた、「そうそう!ついでに教えておきますが貴方がたが探している人達は今私の下で元気にしてますよ?ですから後は安心して休んでいてくださいね!」それだけを言うと満足したのかその場から立ち去っていったのだった、 それから数分後のこと、突如目の前に黒い空間のようなものが現れその中から次々と見知った顔が出てきたのだ、それはかつての仲間や私が愛した男、そしてその子供だった、それを見た瞬間今まで堪えていた感情が爆発してしまったようで泣きながら彼らのもとに駆け寄ると思いっきり抱きついてしまった、彼らは驚いていたようだが私のことを受け止めてくれた、こうして無事に再会を果たした私達はそのまま一緒に城へと帰ることにした、その間仲間達はどこか複雑そうな表情を浮かべていたのだがその理由についてはわからなかった、その後私は彼らに事情を話すと共に今回の出来事の一部始終を全て伝えた上で謝罪をしたのだが誰一人として怒ることはなかった、むしろ感謝の言葉を言われる始末で戸惑ってしまった、そこで思い切って聞いてみることにした、「どうして誰も私を怒らないの?」すると皆が声を揃えて言ったのだ、「お前が生きていてくれればそれだけで十分だからだよ」それを聞いて涙が溢れてきたのと同時にとても暖かい気持ちになれた気がした、その後は今後どうするか話し合った結果、しばらくの間休養を取ることになったので皆でゆっくりと過ごすことにしたのだった。

【タイトル】

勇者パーティを追放された治癒師、実は世界最高の精霊術士だった!? ~今さら帰ってこいと言われてももう遅いです~

1 俺はあの日の出来事を忘れることができない……あの時俺が彼女を止めることができていればあんなことにはならなかったはずなのに……もしもう一度彼女と会うことがあったらその時は謝ろう、許してくれなくても何度でも謝り続けようそう思っていた、それなのに――

2 その日俺達四人はいつもと変わらず依頼を終えギルドへの報告に向かっていたはずだったのだが何故か突然地面が大きく揺れ始めてしまったのだ、慌てて原因を突き止めるために周辺を探っていると近くの山の方で煙が上がっているのが見えた、もしかしたら何かが起きているのかもしれないと思い俺達は現場へと向かったのだ、するとそこには驚くべき光景が広がっていたのだ、何と山の頂上付近で巨大な生物の姿をした怪物と戦う一人の男の姿があったのだ、その姿を見た瞬間俺は彼の元へ駆け寄ろうとしたのだが次の瞬間信じられないことが起きた、なんと彼はたった一撃で巨大な生物を倒してしまったのだ、そしてそのまま倒れ込んでしまった、それを心配した仲間達が俺の代わりに彼を抱えて安全な場所まで運んでくれたのでひとまず安心した、それから暫くしてから意識を取り戻した彼が俺にお礼を言ってくれた後自分のことについて色々と話してくれた、彼の名はレイトといいかつてこの大陸で『救国の勇者』と呼ばれた存在だということを知った時は驚きを隠せなかったがそれ以上に驚いたのは彼の正体についてだった、それは……「実は俺って本当は魔王なんだ」と聞かされた時の衝撃は凄まじかった、なぜならついこの間まで世界を恐怖に陥れていた存在である魔王が目の前にいるのだから当然と言えば当然だと言える、だが不思議と怖いという気持ちは無かったそれどころかどこか懐かしい感じすらあった、何故なのか考えていた時あることに気がついた、そう……その理由は彼に昔の面影が残っていたからだったのだ、それを知った瞬間俺は涙を流していた、何故なら彼には小さい頃の記憶がないと言っていたからだ、だから覚えていないのも無理はないのだが俺にとってはそんなことどうでも良かった、何故なら昔の記憶が無いということは俺のことについてもわからないということだと思ったからなのだがそんな俺の心配をよそに彼が口にした言葉は意外なものだった、「もしかしてお前俺と会ったことあるのか?」その質問をされて俺はすぐに答えることができなかった、いや正直に言えば答えはわかっていたが怖かったのだ、もしも彼と出会っていたことがバレたら殺されてしまうかもしれないと思ってしまっていたからだった、すると何を思ったのか彼がこんなことを言い始めた、「まあいっか!思い出せないならしょうがないし……それよりお前に一つだけ頼みがあるんだけどいいか?」それを聞いた瞬間少しだけ不安になった、というのも彼から頼まれごとをされたことがなかったからである、だからこそどんな無理難題を押し付けられるのかと内心怯えていたのだが、それは杞憂に終わることになるのだった、「実は今の俺には家族がいるんだよ、だからさそいつの面倒を見てほしいんだ、頼まれてくれるか?」それを聞いて安心した、何故ならそれがただの親代わり的なお願いだったからである、だがその後に続いた言葉を聞いた時俺は驚いてしまった、何せ俺が彼の子供になると言ったようなものだから当然だろう、しかし俺には拒否するという選択肢がなかった為に首を縦に振った、それを見て彼は嬉しそうに微笑んだ後こう言った、「じゃあ今日からお前は俺の息子だ!改めてよろしくな♪」そう言って差し出された手を握り返しながらこう答えた、「はい!こちらこそよろしくお願いします!」

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