第6話
「ちょっと待って下さい! それってもしかして私のことを言っているのですか……?」慌てた様子で声を上げた彼女に向かって静かに頷いた後にこう続けた……!
『その通りですよ……あなたがいなければ今の私達は存在していないと言っても過言ではありませんからね……』その言葉を聞かされた彼女もまた納得したのかそれ以上は何も言わなくなったところで再び話を続けた……『そこから暫くの間はお世話になっていたのですが、ある時ふと気になったので尋ねてみました。どうして見ず知らずの私を助けてくれるのか、と……すると、返ってきた言葉は意外なものでした』そこで一旦言葉を区切った後で彼女はこんなことを口にした。
「――例え誰であろうとも困っている人がいれば助けてあげるのは当然のことだ」そう言って微笑む姿には優しさに満ち溢れており、その姿はまさに聖女と呼ぶに相応しいものであった。だからこそ、その言葉を聞いた俺は改めて思ったのだった……!
(この人に一生ついていこう!)
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こうして新たに3人の仲間を加えた一行は更なる高みを目指して旅立つことになったんだが、それから程なくして今度は新たな敵が現れてしまった……! そう、そいつの名は【ダークネスドラゴン】といい、奴が現れたことによってこの世界は闇に閉ざされてしまうことになる……!! *主人公のステータス(本編開始時点のもの)
レベル:1(限界突破による強化状態の為)
HP:5050/5000(+2000)
MP:5001/6000(+200)
攻撃力:5520(+1100)
防御力:4990(+800)
魔法力:4510(+900)
素早さ:4340(+760)
成長度:15/100*使用可能スキル一覧:《片手剣》・《炎魔法》
装備一覧:武器
:黒竜王の牙剣×2
盾 :黒竜の鱗×6・小竜帝の加護×5
:黒竜の宝玉×2
頭 :なし
体上:白金の胸当て 体下:白金の鎧
腕 :英雄王の腕甲
足 :英雄王の具足
アクセサリー:勇者の証(効果不明)*称号一覧 転生者、魔王殺し、魔獣ハンター、無慈悲なる者、復讐者、冒険者、覚醒者、超越者、精霊に愛されし者、絆を紡ぐ者、次元の狭間を超えし者、救済する者…….etc
「……んっ……」ふと目を開けるとそこには見たことのない景色が広がっていた……。一体ここは何処なのだろうか?そんなことを思っていると突如背後から声を掛けられたのだ!「……お目覚めになりましたか?」驚いて振り返るとそこにいたのはメイド服姿の少女だったのだが、よく見ると頭に猫のような耳が生えているではないか!?……これは一体どういうことなのだろうか……?訳も分からず混乱していると、更に続けてこう言った……!「どうか落ち着いて下さい。今からご説明させて頂きますので……いいですか、良く聞いてくださいね?」その後、少女はゆっくりと口を開いた……「……ではまず始めに確認しておきたいことがあるのですが、あなたは自分のことを覚えていますか……?」「えっ、それはどういう……」聞き返そうとしたその時だった!「……どうやら覚えていないようですね」「っ……!?」何故か分からないのだが声が出なかった。その為何も言うことが出来なかった俺は思わず口を噤んでしまったのだが、その直後のことだった!
「……そうですか、分かりました……それではもう一度尋ねます! あなたの名前は何と言いますか……?」
――その質問に対して、答えられなかった……。
何故なら俺の中で既に答えは出ていたからだ。
――だが、思い出せないのだ……
自分のことが誰なのか……
何故こんなことになったのか……
いや違う、そうじゃない……そもそもここはどこなのか、自分は何者だったのか……何もかも、全てが謎だらけだ……だから俺は必死に考えた……そして遂にある一つの結論へと辿り着いたのだ!……しかし、それが何なのかはまだ分からなかった。だからそれを知るためにも今自分がやるべきことを考えることにした……すると頭の中に浮かび上がってきたのはたった一つの言葉だけだった。
――知りたい、自分のことを知りたければこの森を出て旅をするんだ……
そんな時、どこからか声が聞こえてきた気がしたんだ……!『なら、一緒に行きましょう!!』その瞬間に辺り一帯が眩しい光に包まれていった!!あまりの眩しさに目を瞑ってしまった俺が次に目を開いた時にはそこは森の入口だった……しかも隣に立っていたのはさっき声を掛けてきた少女だったのである……!
『初めまして! 私の名前は【ラティナ】と申します。これから宜しくお願いしますね!』そう言うと、満面の笑みを浮かべた彼女はそのまま俺に手を差し出してきた……俺は戸惑いながらもその手をそっと握ると一言だけ呟いた……「あ、あぁ……よろしくな!」そしてこの時から俺たちの冒険が始まったんだ……! *主人公について補足説明(本編未登場の情報につき本編の内容には直接関係しないものとします)
彼の本名及び年齢についてはまだ明かすつもりはありません。何故なら本編内で語られるのを待つことに意味があると思ったからです。ただ現時点でのステータスだけは公開してありますが、その詳細については今後の更新の際に明らかにする予定なので楽しみに待って頂ければと思います。
それと、今回の話を書く上で重要な点の一つとして、主人公は異世界で生まれ育った設定ですがあくまでも現実世界での記憶のみが残っているという設定です。つまり記憶喪失ではなく全て覚えているからこそ敢えて名前を偽ってまで別人になりきっているのは自分自身の存在を忘れない為でもありますので悪しからず。
――以上が作者からの補足説明となります。また次回お会いしましょう~! *
「おい、そっちはどうだった……?」
「駄目だ、どこにもいない……もうここら辺にはいないのかもな」「そうか……それならもうここには用はない。さっさと引き上げるぞ……!」「あぁ……分かったよ、ボス!」そんな会話を交わした後で男達はその場を後にした。彼らが探していた人物は他でもない、主人公のことであった。
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遡ること約1時間前のことである。俺達は次の町へと向かう為に森の出口を目指していた……だが突然目の前に謎の集団が現れたかと思えばいきなり襲い掛かってきたのだ!「くそっ! なんなんだこいつらは!!」慌てて攻撃を避けるなり反撃を試みたものの数があまりにも多すぎた所為で全く歯が立たず徐々に追い詰められていく一方であった……そんな中で唯一まともに戦えていたのは妹のカホだけであった。彼女は魔法を駆使して戦っていたのだがそれもいつまで持つか分からない状況だった。というのも敵の数が多すぎるだけでなく実力もかなりのものだったからだ。その証拠に次々と仲間たちが倒されていっていたのである……このままではまずいと判断した俺はすぐさま撤退するように指示をしたのだが、その隙を狙っていたかのように敵が襲いかかってきたのだ!「……危ないっ!!」カホの叫び声が聞こえた瞬間俺は咄嗟に目を閉じた……次の瞬間俺の耳に聞こえてきたのは大きな金属音だった!『大丈夫ですか、ご主人様?』目を開けてみるとそこに立っていたのはラティナの姿であった。彼女の姿を見て安堵した俺はすぐに指示を出すとカホと協力して敵を倒しにかかった……! しかし相手は俺達の想像を上回る程の強者揃いであったため、倒すことはおろか足止めすらままならなかった。次第に追い込まれていった結果ついに全滅してしまったので急いでその場を離れることにしたのだった……!! それからしばらくしてようやく森を抜けることが出来た俺達は近くにあった小屋に駆け込むと暫くの間は身を潜めることにした。もし敵に見つかってしまえば今度こそ終わりだと悟ったからである……それから30分程経った頃に外の様子を見てみたんだが相変わらず敵は近くには来ていないようだった。それを知って一安心した俺達はそのまま休むことにしたのだった。
翌日になって再び移動を開始した俺達は森の中を突き進んでいた。だが、昨日の一件があったからか皆の顔色は優れない様子であった。そんな中でも何とか気を取り直そうと懸命になっていたカホであったがそれでもやはりショックは大きかったようで時々暗い表情を浮かべている場面もあった。それを見た俺とラティナはすぐに彼女をフォローするように行動することでどうにか持ち直すことが出来たのだったが、それでも完全に元通りというわけにはいかなかったようである……その後もしばらく歩き続けたところで今度は開けた場所に出ることに成功したのだが、その先に待っていたものは信じられない光景だった……何故ならそこには数え切れない程の大量のダークネスドラゴンの群れがいたからだ! ------
【お知らせ】
第5章からは新しいストーリーが展開されます。その為今後は不定期更新になるかもしれませんが、今後ともどうぞ宜しくお願い致します!!
(ただし、投稿頻度についてはなるべく週一で投稿出来るよう努力するつもりです)
――時は少し前に遡る……
「……あれ? おかしいな……」ふと目を覚ますと何故かそこは見知らぬ部屋であった。一体どうしてここにいるのだろう、そう疑問に思いながらも辺りを見渡していると部屋の中に誰かがいることに気づいた。どうやらそれは女の子のようであったが、何故こんなところにいるのかが分からず戸惑っていると彼女が声をかけてきた……!「おはようございます、気分の方はいかがですか?」その言葉に反応するかのように俺はこう返事をした「うん、大丈夫だけど……君は?」「そうですか、それなら良かったです!」彼女は嬉しそうな表情を浮かべると改めて自己紹介を始めた。
「私は【リシア】といいます! あなたのお名前は何というのでしょうか……?」その質問に思わず答えようとした俺だったが、その瞬間あることが頭をよぎった……!「あっ……そういえば……」そうだ、そうだった! 俺にはまだ名前が無かったんだ……そのことに愕然としていると、まるでそのことを見透かしていたかのように彼女は微笑みながらこんなことを言った……!「大丈夫です、心配しなくてもいいですよ? だって私には分かりますから!……あなたは本当はユウマという名前なんでしょう?」「……!?」俺は驚愕のあまり思わず絶句した。いや、むしろ驚かずにはいられなかった……!「ど、どうして分かったんだい……?」すると彼女は笑顔でこう答えた「なんとなくですよ、何となく!」……どうやら彼女には不思議な力があるのかもしれない。そう思った俺は思わず彼女を見つめたが、それと同時にあることを思い出していた。それは、自分の名前に関することだった……「あのさ、変なことを聞いてもいいかな?」それを聞いた途端彼女の顔色が急に曇ったかと思うと申し訳なさそうに答えてくれた「ごめんなさい……私ではあなたのお力になれないみたいです」そしてその直後のことだった!
「お兄ちゃん……何処なの……? もう会えないなんて嫌だよ……」その言葉を聞いた俺は何故か無性に悲しくなった……理由は分からない、もしかしたら単なる同情なのかもしれない。だがそれでもいい……今目の前で涙を流しながら悲しんでいるこの子の側にいてあげたいと思ったんだ!だから俺は覚悟を決めた……そして彼女にそっと近づきこう言った!「……大丈夫だよ! 俺は必ず君の元へ帰ってくるからね!」その瞬間、今まで暗かった部屋の景色が突然光り輝いていった!やがてその光はどんどん大きくなっていき、気づいた時には俺は見知らぬ場所に立っていた。
(ここが、俺の新たな人生の始まりの場所となるのか)そう思うと自然と体が震え始めたのが分かった……正直言って不安でしかないのだ、こんな場所でこれから生きていくことになるのだから……! そう思っていた時だ。突如頭の中に誰かの声が響いてきたのだ……『ようこそおいで下さいました! 貴方はこの世界に選ばれし者の一人なのです!』その声はどこか聞き覚えのあるものだった……というより間違いなく俺だった!(どういうことだ……これは夢か!?)混乱しながらも必死に考えていたその時、更に追い打ちをかけるかのように声が聞こえてきた……!「貴方様にはこの世界の管理者の一人として生きて頂きたいのです!」その言葉を聞いた俺は確信した……あぁ、これがきっと俺の本当の姿なのだ、と。
その後からはもう記憶が曖昧になっている。気がつくといつの間にか元の世界に戻っていたのだ……そして気がつけば既に夜を迎えていたのだ……いや、正確には俺が目を覚ました時にはもう日が昇っていたといった方が正しいだろう。とにかく今の俺には時間が無いんだ……一刻も早くあの子を見つけなければならない、そう強く思ったからこそ早速行動を開始したのだ。
だがその前にやらなくてはならないことがある……それはもちろんこの場所にいる人達の名前を覚えることだ、なぜなら彼らとの関係性がこの先どうなるかは今の段階では分からないからである。だからこそまずは名前を覚えようと思ったのである……しかしいざ考えてみると意外と難しかったのでかなり苦戦してしまったものの、何とか記憶することができた……その結果新たに名前が分かった者達をリスト化することにした、そしてそれがこちらである……!【名付け対象リスト】
*〈男性〉 →アレル=アーレント/冒険者・男/16歳→19歳(現在18歳で誕生日を迎えたばかりのため)
*アルヴィン=レギンス/騎士・男/17歳→20歳(現在も現役の騎士であるため引退していない)
*ラティナ=ルミール/ハーフエルフ・女/15歳→16歳(現時点では記憶喪失のため正確な年齢は不明)
*アリア=ロッティ/獣人族/14歳→16歳(現時点では不明だが獣人族なので人間年齢より年上と思われる為とりあえず13~16歳と仮定して表記するものとする)
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以上の7名が今のところ判明した新登場人物であり今後登場するかもしれない者たちの候補である。他にもいたようだが今はこれ以上思い出せないようなのでまた今度考え直すことにする……ちなみにこれらの情報は全てステータス画面にある『設定』の中にある項目の中に記載されているものである、故に気になった者は各自で調べてみるように!
(※追記として記載しておくと現在はカホ=ヒノモトとなっていますが本編中における本名は別に存在するようです)
そんなことを考えつつも、まずは現状を把握しようと考えた俺はひとまず町の外へと出ることにしたのだが、そこで偶然ラティナ達に出会うことが出来たのだ! 彼女達の話によると二人はこの近くでレベル上げをしていたところ魔物の大群に襲われたものの何とか生き延びることが出来たらしく、その後は街まで戻ろうとしていた矢先に俺達と出会ったということだった……それを聞いて俺は安堵しつつも二人と共に街へと向かうことにしたのだった! それからしばらく歩いていると遂に目的の町に到着することができた……だが俺は未だにカホが目を覚まさないことが気がかりだった。しかしそれを口にしようとする度に何故か躊躇ってしまい上手く伝えることが出来なかった。その為心の中でずっと葛藤している状態だったので中々話を切り出すことが出来ずにいた……するとそんな俺を見て不思議に思ったのだろうか、アリアさんが話しかけてきたのである!
「……ユウマさん、どうかされたんですか? さっきから様子が変ですけど」「あ、えっと……大したことじゃないんです、気にしないでください……!」そう言って誤魔化しながらも内心ではかなり焦っていた……なぜならこのままではカホの正体を打ち明けることができなくなってしまうからだ。だがいつまでもこのままというわけにもいかない、そう思った俺は意を決した!「実は……アリアさんにどうしても話したいことがあるんです、でも……あまり他の人がいる前で話したくなかったのでこうして二人きりになれるタイミングを探していたんです」その言葉を聞くと彼女も何かを察して黙って頷き了承してくれた、それを確認した俺はついに真実を語ることを決意したのである……!「まず最初に謝ります、ごめんなさい……騙すつもりはなかったのですが、まさかこんなことになってしまうとは思いませんでした。だけどこうなった以上もう後戻りは出来ません……今から全て説明しますね」そして俺は二人に全てを話した――異世界から来たこと、魔王のこと、仲間になった経緯についてなど思いつく限りのことについて話した。だがこれ以外にもまだまだ伝えなくてはいけないことはあるのだが、それについて話すとなるとさらに長い時間がかかるのであえて省略することにした……まぁそれでも結構な時間が掛かってしまったけどな!「……という訳なんですが……これで納得していただけましたか?」それを聞いた二人の顔は非常に複雑そうな表情を浮かべていた……恐らく理解が追いつかなかったのかもしれない、そう思ってどう声を掛けようか迷っていると不意にラティナが口を開いた。
「つまりこういうことですよね? 私達にとっての神様のような存在であるユウマさんは本当は別世界の人だったってことですよね……?」それを聞いた俺は驚きのあまり一瞬言葉を失ってしまった。何故なら彼女が言ったことはまさしく正解であったからに他ならない……! どうしてそのことを……?そう思っていた俺だったが、彼女の方に目を向けるとその理由について簡単に想像できた。どうやらアリアさんも驚いた様子を見せていたため恐らく二人で相談した上で決めた結論だったのだろう……そう考えると妙に納得出来た。しかしそうなると次の疑問が生まれたがそれは彼女の言葉を聞いてすぐに解決することとなった、「それに私が勇者だなんてやっぱり今でも信じられません……本当に私なんかが勇者なんて名乗ってもいいんでしょうか……?」それを聞いた俺は改めて決意した、やはりここはちゃんと説明しておかないといけないだろう、そう思ったからだ!「大丈夫、君が望むならこれからいくらでも活躍する機会はある筈だ! だから心配する必要は無いさ!」それを聞いた二人は互いに顔を見合わせると嬉しそうに微笑んでいた、それを見た俺も釣られて笑ってしまった。
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