7日目 「ペスト」⑦ 第Ⅳ部後半戦

 第Ⅳ部。『ペスト』もいよいよ終わりが近づいてきた。



 それでは読んでいこう。


<万聖節(11月1日)から急に涼しくなってきた。

 ペストの死者数は、新たな血清のおかげか、横ばい状態が続いていた。しかしそれを指摘した専門家……医師会長のリシャールは亡くなってしまう。

 タルーとランベールはサッカーなどの競技場に設置された隔離収容所を視察。その途中でオトン判事に会うが、息子さんの最期がどうだったかはうまく言えなかった。


 11月末になってくると、毎朝が寒くなってくる。リューは往診の途中でタルーの身の上話を聞く。タルーの父親は次席検事で、タルーは裁判で父が死刑を求刑する姿にショックを受けて家出してしまう。

 それから、さまざまなことを話したうえで、友情の証に? 海水浴をした。


 11月末ごろはもうひとつ、オトン判事から、隔離期間を終えても出られないという手紙をリューは受け取る。ランベールを通じてオトン夫妻を出してやると、オトン判事は、休暇を取って収容所のボランティアをしたいんだ、とリューに告げる。


 クリスマスの前日。グランが見当たらない。探しに行くと、具合が悪くなった彼が商店にいるのを見つける。ベッドに寝かせると、それまで恋人とのつながりを求めて書いていた自伝の原稿を焼くようにリューに告げる。その通りにしてやると、グランの熱が下がり、調子が良くなっていく。

 徐々にペストが退潮傾向にあることが数字からも表れてきていた。>

(343~390ページ)



 後半は11月からクリスマス。徐々にペストが終わりつつある頃まで、といった感じだ。

 その中でも11月はタルーの話が大きく出てくる。どうしてこの人がたびたび注目されるのかもよく分からなかった。それがここでようやく明かされる。

 一言でいうと、タルーは「死刑にショックを受けた人」だ。あのー、親父さんが検事で、死刑を求刑することを仕事にしていて、自分がそれでメシを食っているということに耐えられなかったんだね。政治運動もしているが、その途中で実際の死刑(銃殺刑)も目にしている。

 これを「ペスト患者」と重ね合わせている。

 タルーの言う「ペスト患者」は、別に症状が現れている人ではない。息を吹きかけるだけで誰かに感染させ、ただ生きようとするだけで殺す力を持ち合わせている人のことだ。そうなりたくなければ、一生懸命、死ぬほど疲れても予防対策をするか、そんなのはナイーブだと言って、仕方ないんだと開きなおるかのどちらかになる。

 ただ、タルーは普段の生活がそこに近すぎたんだ~と思う。


 もちろん、タルーは天災と犠牲者、あと第三の道(医師)もあるんじゃないか、と言っている。

 この第三の道というのはよく分からないんだけども、天災(殺す側)と犠牲者、それを治す側という意味ではないかと思う。治す人は、たとえどんな殺人鬼であってもだいたい治そうとするし、そのときには励ましあう。これは正義というより、公平とかの話だと思う。



 今日はだらけてしまった……。

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