第10話 悪魂の色
葵は今日こそリッキーとゆっくり話がしたいと思っていた。
「リッキー、だいぶ戦い方にも慣れてきた気がする」
「そうだね。宝石への命中率もすごくあがったね」
「でしょ」
「でも油断は禁物だよ」
「わかってるって」
「そういえば、このあいだリッキーが悪魂の入ったボトルが回収できなくなったら死んじゃうみたいなこと言ってたけど、どういうことなの?そろそろ、教えてくれてもいいんじゃない?」
「そうだね。それは、あの悪魂のボトルを回収して女神様に奉納してることは話したよね」
「うん」
「奉納したあと、それが妖精たちつまりぼくたちのエネルギーになるんだ。妖精にはそれぞれ色があってぼくは赤でしょ、マークは緑、ラミーは黄というようにそれぞれの色の悪魂からエネルギーをもらってるんだ」
「もし、回収できなかったら?」
「それは、ぼくたちのからだの色がだんだん白っぽくなって死んでしまうんだ」
「えっ!たいへんじゃん」
「そうだよ。しかも大変なのはぼくたちだけじゃないんだよ。葵たち人間にも影響があることなんだ」
「どういうこと?」
「葵たちは今、綺麗な風景とかいろいろな色でみられるだろ。ボトルを回収できなくなったらこの世界から色というものが見れなくなってしまうんだ」
「えっ?色が見えないって困る」
「そうだよね」
「じゃあ、もし赤の悪魂が回収できなくなったら?」
「この世界から赤が消えてしまうってことだよ。そしてぼくも消える」
「えっー!!そんな重大なことをやってたのわたし」
「そうだよ。だからぼくたちも人選は慎重にしたよ」
「なんか、怖くなってきた。でもこれからももっともっとがんばらなくっちゃ」
「そうだ。今日隣町の図書館に行くんだった」
「図書館?」
「借りてた本、返しにいかないと」
ふたりは隣町の図書館に向かった。
その途中、大きな広場を通っていくと万里香とあった。
「あ、万里香ちゃん!」
「あっ、葵さん」
「えっ、葵さんこの辺に住んでるんですか?」
「違うの。図書館に本を返しに行くの。わたし隣町に住んでるの。一樹がこの町に住んでるよ」
「そうなんですか。一樹さんと会ったことありません」
「なかなかあわないかもね」
葵と万里香が話ていると遠くから一樹がやってきた。
「あれ? 葵? それに万里香ちゃんだっけ?」
「一樹、今ちょうどあんたの話してたんだよ。万里香ちゃんこの町に住んでるんだって」
「そうなんだ~」
「ところで葵は隣町まで何をしにきたの?」
「図書館だよ」
「図書館? 葵、本読むの?」
「わたしだって本くらい読むよ」
――全然読めなくて期限過ぎたから返しにきたなんていえない……。
「一樹はどこ行くの?」
「どこって、本屋に参考書買いに」
「参考書って、一樹もしかして勉強すきとか?」
「嫌いじゃないけど」
「まじか」
「なんだよ」
「べつに」
「おれも図書館いってから本屋いくことにする」
「なんで図書館行くの?」
「参考書買う前にみておきたい本があるんだよ」
「そうなんだ」
「う、うん」
一樹はうまくごまかして葵と一緒にいられるようにした。
それをリッキーとマークはじーっとふたりのやり取りを見ていた。
「人間ってややこしいな」
「ほんとに」
こんなじれったい感じとか妖精にはありえないことのようです。
結局、万里香も一緒に図書館に行くことになりました。
葵たちは図書館につきました。
葵は本をかえしました。
するとリッキーとマークとラミーが突然葵たちに寝るようにいった。
「葵、一樹、万里香!要請がきた。今すぐ寝て」
「ここで?」
「うん。いそいで」
「わ、わかった。図書館だから隅っこなら大丈夫でしょ」
葵と一樹と万里香はいそいで眠りについた。
葵がすぐにリッキーと合流した。
「一樹たちは?」
「まだみたい」
「あ、きた」
「早いな、葵」
「遅くなりました、葵さん一樹さん」
「わたし寝付くの早いのが取り柄みたい。フフッ」
「葵、一樹、万里香いそいで」
「あそこだよ」
「わ!なんだあれは」
「これは、何体もいるよ。気をつけて。悪魂の色も一種類だけじゃないね」
「あそこ見て」
「なにあれ?」
「わあ、ペガサスだ」
「ペガサスにのった女の人が攻撃してる」
「すごい、ペガサス感動」
ペガサスを見て感動している葵にリッキーはかつをいれた。
「葵、感動している場合じゃないよ」
「これはてごわい。気をつけて。ぼくたちも援護するから」
葵は気を引き締めて戦いに向かった。
「わかった。じゃあいくよ、一樹と万里香ちゃん」
「おうよ。葵、気をつけろよ」
「はい、がんばります」
そういうと3人は戦いにむかった。
そこには、青と黄そして黒の3種類の悪魂がいた。
そして3人の人が取りつかれているようだった。
でも塊は20体くらいあるだろうか。
これはたいへんな戦いになることでしょう。
ペガサスにのった女の人が魔法のようなもので黒の塊に向かって攻撃していた。
上手にペガサスに乗りながら戦っていた。
その後ろで黒の妖精が光っていた。どうやら援護しているようだ。
ふとみると、もうひとり男の人が戦っていた。
その人は大きな大砲を担いで戦っている。
かなり重そうだが大丈夫なのだろうか。その後ろで青の妖精がやはり光りながら、両手をかざしてパワーでも送っているようだった。
葵は黄の悪魂に挑んだ。
葵が近づくと、黄の悪魂は向きをかえて攻撃してきた。
今までとは違う動きに葵は驚いた。
――やっば、動きはやっ。
葵は悪魂の早い動きを怖がって、近づくことができなかった。
リッキーが近寄ってきた。
「葵、怖がらなくても大丈夫、ぼくが援護するから」
そういうとリッキーがいつもより光って葵にパワーを送った。
すると葵の動きが素早くなった。
リッキーの援護で素早くなったのだ。
「リッキー、ありがとう」
葵は悪魂に近づき拳銃でうちはじめた。
「葵、その調子」
「うん」
葵はようやく1体の悪魂をたおした。
続いて、2体目も倒した。
――ふう、ようやく2体倒せた。
「まだ、いっぱいいるじゃん」
一樹が戦っている。すこし疲れているようだ。
一樹の息が上がっているのがわかった。
その瞬間悪魂が一樹に向かって玉を何個も投げてきた。
その1個が一樹の腕にあたってしまった。
「一樹!!」
一樹は痛そうに腕をおさえているが戦える体力がなさそうだ。
葵はいそいで一樹のもとにいき抱えて、悪魂から一樹を遠ざけた。
「一樹、大丈夫?」
「わりぃー、あたっちゃった」
「マーク、治して!」
「まかせて」
マークはそういうと一樹のダメージを受けた腕に手をあてた。
すると、一樹の腕はみるみるうちに傷が治り回復した。
「マークのヒーリングは何度見てもすごい! 一樹大丈夫?」
「うん。嘘のように痛みもないし傷もない」
「よかった~」
「よーし、また戦うよ。それにしても大砲と魔法かあ~すごいな」
――ペガサスに乗って魔法攻撃をしている女の人、綺麗。あの大砲も重そうなのにガンガンうってる。よ~し、わたしもがんばるぞー
葵たちは必至に戦った。
20体近くいた悪魂はようやく倒すことができた。
みんな疲れてはいるが悪魂を倒したから元気だ。
自己紹介が始まった。
「おれは、芦屋悟(あしやさとる)大学4年生。武器は大砲だ」
「わたしは、久能美月(くのうみつき)OLです。魔法攻撃です」
葵は話がしたくていろいろ聞きたくて自己紹介の途中で割り込んで話をした。
「ペガサス、素敵でした。乗りこなしていてかっこよかったです」
「ありがとう。わたしは乗馬が趣味でしてペガサスにも慣れました」
「葵、次おれ自己紹介していいか?」
「あっごめん」
一樹が自己紹介をはじめた。
「成宮一樹、高校1年生。武器は短剣2本です」
「北条万里香、中学2年生。弓です」
「わたしは月島葵、高校2年生。武器は拳銃です」
「さっき戦い方みてたけど拳銃の使い方上手だね」
悟が話してきた。
「ありがとうございます。いえいえわたしなんか……。大砲のほうが重くて狙いづらいと思うんですけど……」
「まあね、だいぶ慣れたよ」
「わたしも慣れてきてようやく早めに宝石に命中するようになったんです」
葵たちが自己紹介をしているあいだ、リッキーたちは深刻な話をしていた。
「ナイル、なんか最近おかしいとおもわないか?」
「リッキー、お前も気づいてたか」
「なにが?」
ほかの3人の妖精は気づいていないようだ。
リッキーが話をつづけた。
「最近の悪魂の量といい、今日みたいにたくさんの色の悪魂が同時に現れるなんてなんかおかしい」
すると、シャルが話してきた。
「そういえばわたし女神様にちゃんと奉納しているのに少し体が薄くなったきがするんだけど
何か関係あるのかしら」
リッキーは女神様に報告してこようと思った。
「近いうちに女神様のところにいって聞いてくるよ。そしたら、みんなに連絡する」
リッキーたちは深刻そうな感じで話をしていた。
葵はほかの人からいろいろな話がきけてうれしかった。
でも、リッキーたちの深刻そうな感じが気になっていた。
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