第11話 色覚異常
そんな矢先、葵たちにも変化があらわれはじめていた。
「リッキー、大変!!」
「なに?どうしたの?」
「わたしの目がおかしい……」
「どんな感じに?」
「色が薄くみえる。だって、たとえばこのトマト。真っ赤なはずなのに今はピンクっぽくみえる。
それに空を見ても天気がいいはずなのに、曇ってみえる」
「やっぱり、なにかが起きていることはたしかだな」
葵はふとテレビの声が耳に入ってきた。
テレビのアナウンサーが臨時ニュースをよんでいる。
『臨時ニュースをお伝えいたします。最近、目の異常を訴え眼科を訪れる患者が増えていましたが、先ほど国から発表がありました』
「えっ? なに?」
葵の父と母もテレビが気になって一緒にみている。
『最近の目に起きている異常反応は、ストレスによる心因性視覚障害の可能性が高いと判断したようです。今、異常が起きている人もこれから起きる人も慌てて病院にはいかないでまずは、体を休めて
ストレスをためないようにしてください』
「リッキー、これどういうこと?たくさんの人が目の異常を感じているっておかしいよね」
「そうだね。これだけたくさんの人に色覚異常が起きているってことは、女神様に奉納している悪魂ボトルが悪用されてるとしか考えられない」
「悪用されるってどうやって?」
「わからない。でももし本当に悪用されてるとしたらそんなことできるのは女神様しかいない……」
「そんな……」
「ぼく、女神様のところにいって確認してくる」
「リッキーひとりで大丈夫なの?」
「もしやばかったら、応援要請だすよ」
「わたしが一緒に行ければいいんだけど……」
「大丈夫だよ。行ってくる」
リッキーはそういうと女神様のところにひとりで向かった。
「女神様!」
「リッキーですか、どうしましたか?」
「今、地上で起きている色覚異常のことどう思いますか?」
「なにが起きているのか、わたしにもわからないのです」
「女神様にもわからないなんて、いったい……」
「なにがおきているのでしょう」
「女神様、最近妙に悪魂が多く発生する気がします。しかもこの間は3色の悪魂が同時に発生しました。何かおかしい気が……」
「そうですか。そんなこともあるでしょう」
リッキーは女神様の様子が少し気になりました。
「女神様?」
「なんですか? ほかにも何か気になることがあるんですか?」
「あっはい。最近ぼくたち色が薄くなっているような気がするんですけど……」
「気のせいでしょう。わたくしはあなたたち妖精からボトルを奉納してもらっていますので色が薄くなることなどありえません」
「そうですよね」
「では、女神様からみてなにも変わったことはないのですね」
「はい、わたくしも少し調べてみましょう」
「はい、お願いします」
とりあえず、リッキーは女神様の言葉を信じて帰っていった。
「葵!」
「リッキー、おかえり。よかった無事で」
「大丈夫だよ。とりあえず、女神様もこの状況はわからないって。調べてくれるって約束してくれた」
「そうなんだ~、でも困ったね」
「状況がわかるまで、夢の中で悪魂と戦うしかないね」
リッキーは他の妖精たちにも連絡をした。
みんな今の状況がわからず困っているようだ。
最近は悪魂の量も多く必ず要請がくる。葵もひとりでは手に負えない量の悪魂の時は要請をだしている。
ゆっくり休む暇もないくらい戦っている毎日だ。
いくら夢の中とはいえ、葵たちは疲れはてていた。
そんな中、シャルから要請がきた。
葵はすぐに向かった。
葵は驚いた。
「美月さん! これはどういうことですか?」
「葵さん!相手は悟さんです。手ごわいんです」
「リッキー、どういうこと? こんなことあるの?」
「たぶん、最近の戦いに疲れて悪魂に取りつかれたんだと思う」
「ナイルはどこにいるの?」
葵たちがみまわすと悪魂の中にナイルもいた。
「リッキー! あそこ!」
ナイルは弱っているようだ。
「早く悪魂を倒さないとナイルも悟も危ない!!」
「じゃあ、急ごう!」
葵は宝石を狙って拳銃でうった。
やはり強い。
簡単によけられてしまう。
「リッキー、ほかにも要請だして!」
「もうとっくにシャルがやってるけど、こないということはみんなほかの悪魂倒しをしているってことだよ」
「わかった」
葵はなんとしてでも美月さんとふたりで協力して悟さんを助けなくてはならないんだと強く思い
ました。
「美月さん! 魔法攻撃で悪魂を引きつけてもらえますか? わたしが近づき宝石を狙います」
「わかったわ。葵さん、気をつけてね」
「はい!」
美月さんが悪魂を引きつけてくれている間に葵は拳銃でうちこんだ。
何発かうちこんだが、ようやく宝石にあたり悪魂を倒すことができました。
「葵さん、すばらしいです」
「えへへ、ありがとうございます」
葵は照れながらお礼をいった。
悟が我に返った。
「あれ? おれなにしてたんだ?」
「悟さん!」
「葵ちゃん、美月ちゃん」
「あれ?なんか思い出してきた……。おれ、もしかして悪魂に取りつかれた?」
「そうですよ、悪魂倒すの大変だったんですから」
「ごめん。なんか最近疲れとれなくて」
そんな話をしていると、そこに要請をうけていた一樹がマークと一緒にやってきた。
「悪い遅くなって、大丈夫だったのか?」
葵は一樹に状況をはなした。
一樹はそんなことがあるのかと驚いていた。
「マーク、ナイルがだいぶ弱ってるんだヒーリングしてやってくれ」
「わかったよ、リッキー」
マークがナイルを回復している間に葵はリッキーと話していた。
「でもリッキー、疲れが取れにくくなってるのは確かだよ。あたしも疲れてるもん」
「そうだよな~みんな最近は悪魂倒しばかりでろくに眠れてないだろう。それにぼくたち妖精の力も弱まっているから回復できないんだろうな」
「悟みたいにみんなが悪魂にのまれたりしたら大変だ。なんとかしないと」
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