第7話 コンプレックス

次の日、葵は昨日の夢のことが気になっていた。


「リッキー、昨日の夢の持ち主だけどコンプレックスって言ってたけど大丈夫かな?」


「心配だよね。マークに連絡とってみようか」


「どうやって?」


「テレパシー」


「そうか、テレパシーがあるのか」


リッキーはマークとテレパシーで連絡をとって聞いてみた。

すると、まだ解決できていないらしい。

葵は手伝いに行くことになった。

今、隣町のカフェにその持ち主がいるらしいからそこに行くことになった。

 

「お~い、一樹くん」


「葵、またおせっかいだな」


「はあ、おせっかいでもいいよ。気になっちゃって」


「まあ、手伝いたいなら手伝わせてあげてもいいけど」


「はいはい。で、昨日の夢の持ち主は誰かわかってるの?」


「うん、おれのクラスの美幸(みゆき)という子なんだけど最近、クラスのある男の子からブス

 とかデブとか言われているんだ。でもブスでもないしデブでもないむしろ可愛いほうなんだよね。

 だから、そんな言葉で悪魂に取りつかれるかな~って思うんだよね」


「ふ~ん、どの子?」


「あそこ。ひとりで座っている子」


「ほんとだ。可愛いじゃん」


「だろ」


「一樹くんもしかして……」


葵はにやにやしながら一樹をちゃかしたら、一樹は怒りはじめた。


「違うよ。そんなんじゃない。世間一般に普通だって言っただけだよ」


「わかったよ。そんなに怒らなくても。ごめん」


リッキーもマークもその会話を聞いていてふたりにあきれていた。

美幸の席に男の子がやってきた。

 

「あれ? 諒太?」


「知り合い?」


「うん、同じクラスなんだけど」


「なんで、諒太が美幸ちゃんと?」


とっさに葵は隠れた。

葵はどうしたらいいか迷っていた。

 

「リッキーどうしたらいいかな?」


「なんかデートだったら邪魔しちゃうし……」


「そうだね。もうしばらく様子をみたら?」


「そうだね」


葵たちはしばらく様子をみることにした。

すると、諒太が葵に気づいた。


「葵!」


「あっあれ?諒太じゃん。こ、こんなところで会うなんて、き、奇遇だね」


葵のへたくそなしゃべり方に一樹は思わず小さな声でいった。 


「おいおい、へたくそか」


葵は一樹に向かって、しょうがないじゃん的な顔をしていた。


ばれたのならしょうがないから諒太のテーブルに一樹と一緒にいった。


「あれ?一樹くん?」


「あ~美幸ちゃん?」


葵はつかさず美幸に話しかけた。


「え?なに?美幸ちゃんっていうの?一樹くんのこと知ってるの?」


「はい、同じクラスです」


「そうなんだ~」


「諒太、美幸ちゃんとはどういう関係?」


「ただの幼馴染だよ。家も近所で……なっ」


「はい、ただの幼馴染です」


「そうなんだ」


「そういう葵こそ一樹くんだっけ?どういう関係だよ」


「あ~、最近知り合ったお友達」


――最近知り合ったお友達って、なんかほかに言い方ないのかよ。一樹は思った。


「お友達ね~」


「なに?それより一緒にいい?」


葵は同じテーブルで飲み物を飲みはじめた。


「今日はこれからどこか行く予定だったの?」


「いいや、別に。美幸が話があるっていうからきただけだよ。そういえば話ってなんだった?」


「えっ、今?べ、別に……」


美幸はちょっと照れくさそうに別にと答えていた。


「なにか悩み事でもあるの?もしそうならわたしたちも聞くよ」


「いいえ、悩み事なんてありません」


「ほんとに?」


「はい。ほんとにありません」


葵と一樹は顔を見合わせて首をかしげていた。


「どうかしたのか葵?」


「いや、別になんでもないよ」


葵と諒太が顔を見合わせて話をしていた。

このふたりのやり取りをみていた美幸はちょっと不機嫌そうな顔になっていた。


リッキーとマークがふたりで話している。


「マーク、もしかして子の美幸って子……」


「うん、ぼくもそう思った」


「じゃあ、この悩みを解決する鍵はここにあるかもしれないね」


「リッキー、なに話してるの?」


「ん?もしかしてこの子、諒太くんのことが好きなのかもしれないよ。悩みを解決するには諒太くんがいないときに聞いたほうがいいかも」


「えっ?まじか。全然わからなかった」


「だろうね~葵、こういうの鈍そうだもんね」


「なにそれ」


「葵、さっきからだれと話してるんだ?」


「いや、独り言」


葵はとりあえず、この場から離れて美幸ちゃん

がひとりになる機会を待とうと思った。


「一樹くん、わたしたちそろそろ行こう」


「あ、うん、そうだね」


「じゃあ、諒太と美幸ちゃん、またね」


「じゃあな」


「さようなら」


葵と一樹はカフェをでた。

ふたりは外に隠れて待っていた。


「とりあえず、美幸ちゃんがひとりになるチャンスが訪れたらあたしが聞いてくるから、一樹くんは

 ここで待ってて」


「なんでだよ」


「あんたがいて諒太が好きなんて話するわけないでしょ」


「そりゃそうか。わかったよ」


しばらくすると、諒太だけでてきた。

チャンスがきました。

葵はいそいでカフェに入って美幸のところにいった。


「美幸ちゃん!」


「あっ、葵さん」


「どうしたんですか、またカフェにくるなんて」


「美幸ちゃんと少し話がしたくて」


「えっ、わたしと?」


「うん、聞きたいことがあって……」


「聞きたいことってなんですか?」


「実は、美幸ちゃん……、諒太のことが好きでしょ」


「えっ?なんで急にそんなこと……」


「諒太のことで悩み事あるんじゃない?」


「……」


美幸はうつむいてしまったが、しばらくすると顔をあげ話始めました。


「わたし、諒太とは小さいときからずっと一緒にいて最初はお兄ちゃんみたいな存在なのかと思っていたんですけど、それがいつの日からかお兄ちゃんではなく異性の男の人として意識しはじめました」


「そうなんだ~」


「でも、諒太はそんなわたしの気持ちなんて知らないので好きな子ができたとか、振られたとか平気でいってくるんです」


「それはきつい」


「もう、それに耐えられなくなってきて今日本当は告白しようと思ってたんです」


「邪魔しちゃったかな~」


「そんなことないです。なんか今日ならいえる気がしたので誘ってみたんですが、やはり勇気がでなくて言えませんでした」


「そうか~でも諒太、このあいだ振られたっていってなかった?」


「はい、いってました」


「でも告白しようとしてたんだね」


「はい、スッキリしたくて」


「告白するのもそうとう勇気のいることだと思うよ。美幸ちゃんが諒太に異性として見てもらいたいと思ってるのなら、自分の気持ちを伝えたほうがいいとわたしも思う。もしダメだったとしてもふたりの関係は悪くならないと思うから」


「わたし、勇気がでました。今から追いかけて告白してきます」


「がんばって」


美幸はカフェからでていった。

一樹がはいってきた。


「どうしたんだ?美幸、走ってでていったぞ」


「うん、告白しにいった」


「はあ?じゃあ、やっぱり好きだったんだ」


「そうみたい」


「結果はどうあれもう悪魂に悩まされることはないよ」


「そうかな~そんなことだったのかな~」


一樹はまだ納得がいかない様子だった。

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