第6話 緑の妖精
悪魂倒しに慣れてきたころ、買い物に出かけていた
葵はおどろいた。
「あれ、妖精じゃない?リッキー」
「ん? どこ?」
「ほら、あそこ。初めてリッキー以外の妖精が見えたかも」
「ほんとだ。あれは、緑だからマークだ。行こう」
「あっ、待って」
「お~い! マーク!」
「ん? だれかぼくをよんだかな?」
「お~い!」
「わあ、リッキーじゃないか」
隣町の湊高校の制服をきた男の子と一緒に、緑色した妖精がいた。
どうやら、妖精はマークというらしい。
「こんにちは」
葵は挨拶しながら近づいた。
「わあ、びっくりした。妖精?きみも夢で戦ってるの?」
「あっ、うん。そう。あなたも?」
「そうだよ。女の子が戦うなんて大丈夫なの?」
――はあ!!なんだこの人!!女だって戦えるわ!!
「大丈夫です。戦えてますけど、なにか?」
「い、いや別に」
――なんだ、この言い方!!まじムカつくわ!!
葵はこの男の子の言い方に腹がたち嫌な奴だと思った。
せっかく初めて同じ境遇の人とあってうれしかったからいろいろ話をしたいと思ったのに、はやくその場から離れたい気持ちになっていた。
「じゃあ、あなたも頑張って」
「たいしてがんばらなくても倒せるから……。じゃあ」
――なんだ!!その言い方!!
「マーク、もし助けが必要な時は連絡して」
「リッキー、ありがとう。またね」
葵はリッキーに怒り口調ではなした。
「ねえ、リッキー。なにあの男。ムカつくんだけど。あんな人が人の助けなんてできるわけ?」
「わからないけど、それなりに悪魂ボトル回収できてるみたいだから、大丈夫だと思うけど……」
「そういえば、戦った後のあのボトルって悪魂入ってるよね。それぞれ倒したときの色が入って
るんだよね」
「そうだよ。それぞれの悪魂を回収してるんだ。回収して女神様に奉納してるんだ」
「奉納するとどうなるの?」
「ぼくたち妖精のエネルギーになるんだ。そしてきみたち人間の生活にもかかわることなんだよ。それはこれからゆっくりまた話してあげるよ」
「これからゆっくりって、まあいっか帰ろっか」
「そうだね」
「そういえば、マークだっけ?緑だった。リッキーは赤だけどほかにも色違いの妖精がいるの?」
「うん、いるよ」
「そして、ぼくは赤と黒の悪魂の担当なんだ」
「担当なんてあるんだ」
「うん、一応ね。マークは緑と赤だよ。だから、さっきの男の子がひとりで戦いきれないときは、葵が助けにいけるんだ」
「へえーでも助けなんていらないでしょ。助けを求めるなんて感じじゃなかったよあの人」
「まあ、もしもの時はだよ」
「ふ~ん」
「逆に葵がピンチのときは助けを呼べるんだ」
「へえー」
それから何日かたったある日の夜、葵はいつもの
ように眠りについた。
「葵、起きて。出番だよ」
「リッキー、OK!」
葵はまたすぐに寝た。
するとリッキーが現れ、葵を呼んでいる。
「葵、こっち」
「OK!」
――今日の夢はどんな感じかな~
そこには緑の塊、悪魂が2体あった。
葵は初めてみる光景に驚いていた。
「2体ってどういうこと?」
「あまりにもたくさんのストレス原因があると2体3体になることもあるんだ」
「え、そうなの?でも緑だけどいいの?」
「いいんだ。マークから応援要請があったんだ」
「じゃあ、今あいつが戦ってるってこと?」
「たぶん。葵、助けてあげて」
「わかったよ。いってくる」
葵は緑の悪魂に近づいた。
するとそれに気づいたあの男の子が近寄ってきた。
「なんできみがここにいるんだ」
「なんでって、助けの要請があったからだよ」
「きみの助けなんていらないよ」
「はあ、なにいってんの?ぜんぜんやっつけられてないじゃん」
「はっ、はあ、これからだよ」
「はいはい、いいから手伝うよ。ほら、いくよ」
「あっ、おい!」
葵は緑の悪魂に近づいて宝石に意識を集中して拳銃でうった。
はずした。
悪魂は小さい玉をうってきた。葵はよけながら2.3発うちこんだ。
それをみていた男の子は葵の強さに驚いていた。
というか、夢とはいえ拳銃の使い方の上手さに驚いていた。
男の子も負けずにもう1体の悪魂に近づき、戦い始めた。
男の子は短剣2本が武器らしい。
葵よりだいぶ近づかなくてはならなくて危険だ。
葵は男の子の戦いぶりをみながら感心していた。
葵も早く悪魂をやっつけて男の子の助けをしようとしていた。
葵は1体の悪魂を倒し、もう1体を倒す手助けをしようとした。
「おれがあの悪魂を引きつけるから宝石に命中させてくれる?」
「わかった」
「じゃあ、いくよ。」
男の子はそういうと悪魂に近づきひきつけている。
葵は意識を集中して宝石を狙ってうった。
そしてようやく2体の悪魂を倒すことができた。
葵とその男の子はハイタッチをして勝利を喜んでいたのもつかのま、男の子は我にかえり喜ぶのを
やめた。
「よかったね。やっつけることができて」
「きみがいなくてもひとりで倒せたけどね」
「はいはい、そうですか」
「でも、……ありがとう……」
男の子は小さい声でお礼をいった。
葵は喜んだ。
リッキーとマークはボトルを回収していた。
ボトルの中身は緑色だ。
「そういえば、緑の塊ってストレスは何?」
男の子は答えた。
「自分の容姿にコンプレックスをもっているとか、なにかのトラウマがあるとかそんな感じかな」
「そうなんだー」
「あ、おれ 成宮一樹(なるみや いつき)お前は?」
「わたしは、月島葵」
「助けが必要な時はいってくれ、今日のお礼は必ずするから」
「うん、その時はよろしくね。一樹くん」
「う、うん」
一樹は少し照れくさそうにうなずいた。
「じゃあ、またね」
葵はあっさりと、リッキーと一緒にゆめの
世界から現実の世界へ帰っていった。
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