第5話 嫉妬心

それから3日ほどたった日のこと、また心春からLINE連絡がきた。


『葵、今日時間ある?遊びに行かない?』


という、連絡だった。

葵はとりあえず何も予定がなかったので、心春に行くと返事をした。

心春といつものカフェで会う約束をした。

葵はカフェに向かった。

すると、そこには心春ともうひとり女の子がいた。


「葵!こっち。この子わたしの友達の美樹。隣のクラスだよ。知ってる?」


「見たことはあるよ」


「こんにちは」


美樹は挨拶をした。


「あっ、こんにちは」


葵も挨拶をした。


「今日、一緒にいいかな?」


「いいよ」


「よろしく」


3人で遊ぶことになった。

カフェからでて、歩きながら遊び場所を考えていた。


「どうする?」


「カラオケでも行く?」


「いいね。カラオケに行こう」


「まじ、久しぶりだ」


「あたしも」


どうやら3人とも久しぶりのカラオケのようです。


「あれ? 誠(まこと)じゃない?」


「どこ?」


「あそこ」


誠とは、美樹の弟である。

誠は中学1年生。


「なんか、元気なくない?」


心春が言うと、葵も元気がなく見えたのでいった。


「そうだね」


美樹が話始めた。


「最近、元気ないんだよね」


「家でも、ボーっとしてるんだよ」


リッキーが葵に話しかけてきた。


「葵、あの弟もしかしたら悪魂に取りつかれてるかもしれないよ」


「えっ、なんでそう思うの?」


「なんとなくあの元気のない感じが……勘だけど」

 

心春が葵の独り言に気づいて話してきた。


「葵、最近独り言多くない?」


「えっ?そう?考えたこと口に出ちゃってるのかもしれないね。アハハ……」


葵はごまかした。


「美樹、弟は何か悩みごとがあるかもしれないから聞いてあげた方がいいよ」


葵は美樹にとりあえず、アドバイスした。


「そうだね。帰ったら聞いてみる」


「うん、それがいいと思う」


とりあえず、3人は久しぶりのカラオケに盛り上がった。


葵はその日の夜、さっそく誠の夢の中に入ってみた。


「葵、やっぱり悪魂に取りつかれてるよ」


「ほんとだ」


「結構大きいね。どんな悩みを抱えているんだろう」


「それは、現実の世界の悩みを聞かないとわからないね」


「そうだね。とりあえず、あの悪魂を退治しなくっちゃ」


「じゃあ、行こうか」


「はいよ」


葵はさっそく拳銃を手にとり悪魂の宝石に向かって撃ち込んだ。

1発で宝石に命中した。葵は慣れてきたようだ。

悪魂はすんなりたおすことができた。


「リッキー、悪魂は倒せたけどストレスの原因を聞いてみないとまた取りつかれちゃうね。美樹も今日聞くっていってたから、さそっく明日にでも美樹にきいてみよう」


「そうだね。早めに解決してあげたほうがいいね」


次の日、葵は隣のクラスに行って美樹を呼び出した。


「美樹、昨日弟から悩んでる原因きいた?」


「うん、それがなんかイジメられてるみたい」


「でも、原因がわからないらしくて誠も困ってるみたい」


「そうかあ。じゃあ、あたしも近所の子にそれとなく聞いてみるよ」


「ありがとう。葵」


葵はとりあえず知り合いの中学生に話を聞いてみることにした。


「葵、どこに行くの?」


「多分、この時間コンビニでバイトをしているはず……。あっやっぱりいた」


近所のコンビニに行くと男の子がバイトをしていた。


「慎二(しんじ)!」


慎二とは、葵の同じクラスの綾ちゃんの弟である。

よく一緒に遊んだから仲良しだ。

 

「葵ちゃん!コンビニに買い物?」


「ちがう。慎二に会いにきたんだけど今お客さんいないから話してても大丈夫だよね」


「うん、いいよ」


「あのさ~同じ中学の八神誠(やがみまこと)って知ってる?」


「うん、知ってるよ」


「誠くんのこと聞きたいんだけど……」


「あ~最近誠、同じクラスの男の子たちから無視されてる」


「その話聞きたかったんだよ。なんで無視されてるの?」


「詳しくは知らないけど、誠イケメンだし頭いいし女子に人気があって羨ましいみたい。なんかある男の子が告ったんだけどその女の子が誠のことが好きだと言った見たい。それからその子中心に誠を無視するようになったって聞いたよ」


――男の子でもそんなことするんだーまるで、女の子みたいだな~


葵は思っていた。


「そうなんだ。それじゃあ、誠かわいそうじゃない」


「そうだね」


「わかった。慎二、ありがとう。バイト頑張って」


「リッキー、誠かわいそう。どうしたらいいかな~」


「とにかく、誠にこのことを知らせよう」


「そうだね」


葵とリッキーは誠に会いに美樹の家に向かった。


ピンポーン!!

 

「美樹、理由がわかったよ。弟いる?」


「うん、いる。入って」


美樹は部屋にいる誠をよんだ。


「誠~出てきて」


「なに?」


誠が部屋から出てきた。

葵は無視される理由を誠にはなしはじめた。


「誠くん、きみが無視されている理由はきみがイケメンだから」


「……はあ?」


美樹は思わず声がでてしまった。


「ごめん。なにそれ?」


「あたしもそう思ったよ。でも羨ましがってるのはほんとみたい。ある男の子がある女の子に告白したみたい。でもその女の子が好きなのは誠くんだって。だからその男の子は誠くんを無視しはじめたみたいだよ。どうする?」


「わかった。その告白した子もわかるよ。明日、話してみる」


「うん、それがいいと思うよ。もしなにか手伝うことがあったら言って」


「ありがとう」


誠はとりあえずは理由もわかったから自分で解決しようとしているようだ。


「葵ありがとう」


美樹は葵に感謝をしている。

でも、まだ解決したわけではない。


次の日、誠が葵の家にきた。


「葵さん、昨日はありがとうございました。友達と話をして和解しました。もう無視されることはないと思います」


「よかった~自分で解決して偉かったね」


「いえ、葵さんのおかげです。理由がわからなくてどうしようかと悩んでいたら夢にまで見るようになって、だんだんしんどくなってきてたんです。でも夢の中で助けてくれる人がいて、ちょっと気持ちが晴れてきてたんです。そこに葵さんが理由を教えてくれて、解決できてほんとうによかったです。ありがとう」


誠はお礼をいって帰っていった。


「リッキー、よかったね。これで誠は悪魂に取りつかれなくてすむね」


「うん、よかった。それにしても、誠は夢の中のこと覚えていないようだったね」


「そうだね。この間の諒太ははっきり覚えていたけど誠は覚えていなかったみたいだね。ひとによって違うんだね」


「そうだね」


葵とリッキーは一安心していた。

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