第2話 歪む世界の片隅で。

世界が歪んでいるのを、年を取ってから気付くという事がある。

意味としては比喩としたいのだが、物理的に歪んでいるのだ。

意味が分からんって?

うんそうね?

だって「私の脳内処理が歪んでいる」んだもの。

私の精神が歪んでいるのもあるんだろうけど、この場合、脳の処理に不具合があって、結果「目に映る世界が歪む」という事である。

もう、どっちの意味としたって、歪んでいるのだが。


歪み方は人それぞれあるのだと思うが、自分の場合は「集中しすぎると」起こる現象で、歳を取って「脳の処理が悪くなってから」顕著に・・・というか、歪んでいる事に気づけたという事でもある。

うむ、文章もいい様に歪んでいる。

さて、世界の歪み方を文章で説明するのは難しいのだが、まず中心を集中してみているとしよう。

人は集中すると、有る一点に意識が集まるので、ここで集中が切れれば、普通は周りが「追いつく」形で、高速に視野が形成される。

では、処理が低下した私の脳ならどうか?

私の場合、集中していた一点から意識が周りに拡散した時、「世界がパノラマ」になっていた事が驚きだった。


意味わからんって?

うん、本当に文章にするのは難しいね。

詳しく書くと、「自分が見ていた一点」を中心にして「上下の世界が水平に切り取られたパノラマ」に複数分割しているんですね。


意味わからんって?

うんだから、文章にするのが難しいんですよ。

私が認識できた分割数は「上下でだいたい5~8個の世界」だったと思う。

そして「世界が1つに終息する」過程も気持ち悪い物だった。

コレも詳しく書くと「分割された個々のパノラマ世界も、上下に拡大していく」様に、世界を広げていくプロセスを経ている。

面白いのは、中心の世界もまた拡大を続けて、上下のパノラマ世界を押し上げたり、押し下げたりしているが、決して縮小はしない。

中心世界は無慈悲に拡大していくと、上下の世界は、私の認識できる範囲を超えて押し出されていき、中心世界から近いパノラマ世界もまた、拡大をしているが、当然位置は上方行又は下方向にズレつつ拡大し、最終的に中心世界がすべてを飲み込むように「私の認識できる範囲」を侵食してしまう。

上下のパノラマ世界がどうなったのかは、もはや私では認識できない。

そして、「中心世界もまた、パノラマ世界だった」という大事なキーワードがある。

何を言っているのかって?


うん、何と書けばいいのかな?

つまり「パノラマ世界は上下に複数あるが、中心になっていた世界もパノラマだった」という事で、多分疑問が出てくるはずなんですよ。

「左右はどうなっていたの?」

うん、左右は何てことなく「切れ目が無かった」んだよね。


それは何を意味するのか?

上下のパノラマ世界は、中心のパノラマ世界に圧迫されて、位置がずれこむけど必ず拡大はしていたけど「左右」は一切「比率は変わらなかった」というのがある。

コレは中心世界もまた変わらなかった。

つまり、私の認識では、世界はパノラマに分割されて、上下に複数世界が見えるけど、左右に関しては、「普通の世界が見えていた」という事である。

この普通と言うのが、いわゆる比喩表現でもあるけど、そうなれば、世界が上下に「押しつぶされていないとおかしい」という事を忘れてはいけないが、「私の認識では、世界は潰れたという認識はない」と言うのがある。


不思議よねー。

世界はパノラマなのに、押しつぶされるのでもなく、引き延ばされるのでもなく、左右に膨張もしないのに、上下に世界が分割されて、中心世界が膨れ上がっていくけど、違和感を一切感じないのだから。

これが若い人の脳なら起こらない現象なのだろう。

私の年齢に達して、さらに視覚野に障害があるからこそ、起こる現象なのかと思う。


確かドイツだかロシアだかに住む高齢女性の場合、「世界が映画のスクリーン」の様に「コマ送り」にみえるというのをTVで見た事がある。

この女性は「視覚野の情報を連続した映像として認識できない」と言う障害があったらしく、常に世界がコマ送りだが、時間の流れはコマ送りではない為、老婆以外のすべての事象が「高速移動」しているように見えているという事である。


私の場合は、そこまでの障害では無い為に、「世界の分割」程度で済んでいるのかもしれない。

そんな私の幼少期は、常に「歪み」との戦いだったのかもしれない。

世界は歪んでいる、私の脳内で。

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