デジャブと生きた少年時代

デジャヴの旅人

第1話 デジャブが見せた踏切の夢

目の前には、私と父と、父の友人とその子供が写って「いた」写真がある。

今は3人だけだ。

ただしそれは、「今現在では当たり前」ではあっても、今ではない「限られた期間」ではそうでは無かった。

・・・


突然だが、私はデジャヴを良く経験する子供だった。

何イッチャッテルの?って言う話から突然ではあるが、きっと霊感が強かったのかもしれない。

・・・と言っているが、実際には「脳が壊れている影響」なのだろう。

現在の私の頭脳は、幼少期にてんかんによって破壊され、視覚と聴覚を司る場所に相当する左脳の後部位置が、壊死しているのを確認できる。

だが実際には、右脳にも同じ機能があり、双方で補っているので、現実的に影響が出ている事を、40年近く前の私では理解できない状況だった。

それに「今まさに毎日壊れていく過程」の当時の私の脳内が見せる世界は、もしかしたら、他の人とは違う世界が見えていたのかもしれない。

そんな私の、40年越しのデジャヴを語ろうと思う。


当時の私は「既視感」いわゆるデジャヴをよく「感じる」事が出来た。

就寝すれば毎日のように「夢で見て」起きれば忘れているのに、特に「踏切」に関しては100%デジャヴを感じていた。

デジャヴの発生率は、その状況にも左右されるが、特に「場所」を差すものは発動率が高く、踏切は常に既視感を感じるが、他のものもそれなりに既視感を感じる場合があった。

「写真」もその一つではあるが、こっちはそこまで高い発生率ではない、ないが、発動すると、気持ち悪い違和感を感じる場合が多かった事を思い出す。

今回語るものも、「写真」が話の趣旨なのだし。


さて、半分答えを先に書くと「私の主観では、写真には4人が写っていた」はずであった。


少し時間を戻して、私には弟がいて、今回の海への旅行には、母と父と私と弟の4人家族に、父の友人の親子2人が合流するはずであった。

だがしかし、弟と母は、一緒には出掛けられなかった。

何故なら「私が弟の頭を齧った」事で、弟の頭が腐って膿だらけになり、病院に担ぎ込まれたせいである。

・・・ここは、笑う所ですよ?

まあ、大事には至らなかったのだが、流石に弟は連れて行けなかったのと、そうなれば母も弟を放置して、一緒にに来るわけも無く、本来なら中止もありえたのだが・・・

何故か、本当に何故か、まるで「母と弟が居ないかの様に」出かける事が決まっていた。

それとも「1年前に撮影したはずの写真に、彼が写っていない事」が原因だったのか・・・

今からでは、私の壊れた脳による幻覚だったのかもしれない。

あ、これは(私の壊れた脳が見せる)ノンフィクションです。

でも、団体や人物はフィクションていう設定でお願いします。

あと、何故に弟の頭を齧ったのかとかは、些細な事なので割愛します。


さて、海への旅行が決まり、その3日前から不思議な・・・というか、私の見る夢に常識など無くて、てんかんの影響で、それこそ考えられない様な内容がドリームパラダイスである。

まあ、それでも傾向があるもので、とくにてんかんで「自分の舌を噛みちぎって、顔が真っ赤に染まっている」時の夢は「自分がXXされる」夢ばかりであるが。

この夢の内容を、細かく書きすぎると、あまりのグロさや残虐性からマズイので割愛するが、一部として「溶鉱炉に落とされ・・・」や「天井が迫ってきて・・・」などである。

想像してはダメな内容になっている。

この夢の内容は、今現在の私も、時たま見る内容だが、最近のお気に入りは「蟲が・・・」いや辞めておこう、脳が壊れるので。

話を戻すと、自身がXXされる夢以外では、デジャヴの元になるものを見る事が多くある。

そう、私の既視感の正体は、夢の体験である。

夢で見た場所を、おおよそ近い場所になってくると、突然思い出すのだが、特に踏切で強く感じて、それ以後の進むべき道を「知っている感覚」に襲われる。

お陰で親からは「嘘つきの子供」と言う認識になっている。

話が脱線しまくているが、つまり旅行3日前に踏切に関わる夢を見たというだけの事。

実際、この踏切は「話の筋には関わっても、重要な事には関りが無い」のだから。


それから数日が過ぎて、漏れなく私の口の周りが真っ赤に染まる儀式を通過した翌日、何事も無いかの様に旅行当日を迎えた。


さて、こんな口の周りを真っ赤に染まらせる子供を、当たり前の様に連れ出してくれる親は、愛情が深いと判断するのか、父の友人との約束が優先だったのかはさておいて、待ちに待ってない旅行である。

だがしかし「私は待っていない」が、「写真の中の子供は待っている」ハズである。

この写真の子供は「何時の段階に居た子供」かは考えない様にしているが、この子供が成長し「21歳で牡蠣に食あたりして死亡して、葬式があった」のを知っている自分からすると、「居て当たり前」のはずである。

・・・が、その時の私の写真には「3人」しか映っていない。

写真楯の後ろにビックリマンのゼウスが張られている記憶もある。

・・・ゼウス関係ない。


朝早くから出かけるという事で、4時に起こされて(てんかん中に起こされるのは基本)そのままお口の周りの治療を施したら、荷物を纏めて車に積み込まれた。

まあ、父も父で「私に噛み千切られそうになっている右手の指」を治療した、真っ赤に染まった包帯グルグルの右手で、車のハンドルを握り、何を優先なのか知らんが、海に車を走らせた。

普通、海になど行く状況ではないハズなのだろうが、私のてんかんは既に「日常」である。

今さら私に何があっても、気にもしていないのかもしれない。

さすが「(ヤ〇ザの)麻雀の代打ちを高校生でやっていた」父である。

肝の据わり方がパ無い。

え?代打ちしてた理由?

祖父が遊び人で、働かなかったから、金を稼ぎたかったらしいよ?知らんけど。

父曰く、「負けなければ、どうという事は無い」そうだし。

妹を大学に入れる為に稼いだらしいというのは聞いたし、父の妹が大学を卒業し、建築士になり、5年でストレートで1級までなったのも知っている。

だがいくら何でもヤ〇ザはデマだと思っている。

かなりバイトしていたのは知っているし努力家だというのもあって、それなりの企業に高卒で入社し、エリートコースに入って、最後は副部長(その前に部長になっていたが)だったらしい。

だから、私に指を齧られて、モゲそうになっている指でも、書類に根性で書いていたらしいが、私からすれば人間じゃねえ。

私が齧っておいてなんだが。


そうして、3時間半程度のドライブであったが、行程の半分を過ぎたあたりで違和感が出てきて、「あっちに曲がるの?」と父に聞くと「またデマか?」と返された。

実際には反対方向に曲がったのだが、どうも迷ったらしく、引き戻そうと考えてそうだったが、きっと私にデマだといった手前、戻れなかったのだろう、コの字に何度か曲がって、結局元の道に戻った。

まあ、私がそう感じるのであって、元の道に戻ったかどうかは分からないのだが。

40年前とか、携帯すら普及し始めである。

GPSなどある訳が無い。

全ては私が嘘つきと言う前提で進んでいく世界である。

父にとっての私の示すものは全部「嘘」だと思っている節というか、事実そうなのだろうな。

だが不思議と、私の成績も嘘だと言えばいいのに、小学生の通知表何て5段階で、全てが1・2・3が綺麗に並んでいたのに、嘘とは言わずに怒ってくるのだ、解せん。


さて、違和感が出た位置から40分迂回して、元の道に合流する場所の手前に踏切があったのだが、ここで私は後になって知ったが、というか、当たり前だったのだが、線路があれば踏切があるのだ。

という事は、元の道に戻る前の道にも線路があり、元の道にも線路があったのだから、どちらにも踏切があるのが当たり前である。

そしてこれも後から分かった事だが「デジャヴで見た踏切は元の道」だったという事を・・・






さて、どうも本来の道ではない道を通って海に付いた事で、何が変わったのかと言うと「分からない」としか言えない。

だって、「夢で見た道を通らなかった」だけである。

到着予想時間より1時間遅れたぐらいなので、今現在は9時を回ったぐらいであろうか?

父の友人との待ち合わせは、今でいう民泊に毛が生えた感じの旅館?である。

父の友人は、30分前に到着していて、何事も無く、父を待っていたらしい。

だがここで既に答えの一つを書くと、この1時間の遅れによって、父の友人とその子供の運命が「確定」したらしいのを「葬式」で体験してしまった。

実は父が逆に曲がらなければ、父の友人の車が何かしらに巻き込まれていた可能性があったらしい。

有ったらしいというのは、流石に当時の情報何て集めるのにも新聞程度が限界である。

それに「推測」でしか無いのも仕方ない話である。

ただ、その時の地方紙には「○○踏切で事故」と書かれていた。

ただし、そこまで大きな事故では無くて、事故未遂だったらしいのだが、その時に救助したのが父の友人だったらしい。

後で感謝状が贈られてきたらしいのだが「何故か」海では一切この事を話してはくれなかった。


だが不思議な事に、父の友人の顔ははっきり覚えているのに、その子供の顔を覚えていないのだ。

だがこの「覚えていない」のは、何故か「海にいる間」と「葬式後」からの限られた時間だけだ。

ああいや、葬式後は、ただの痴呆症にでもなっただけかもしれないが。

海にいる間に、当然その子供と遊んだし、何度も写真を撮ったし、2泊だったので、かなり色んな事をした記憶もあるのに、何故か顔を思い出せないのである。

そして、当時でナウい写真と言えばポラロイドである。

なんと!すぐに写真が出て来る画期的なカメラで・・・ええ、当時はすごかったのですよ。

まあ普通のカメラも持って行ったので、何枚も現像すれば写真は出てくるんですが、私が「その場で見た写真」は、このポラロイドの「4人の写真」でした。

そして私は悪寒がしました。

悪寒と言うか只の寒気ですが、じゃあ今机に飾られている3人の写真は何なのか・・・?

・・・私はこの時深くは考えなかったのだが、考えていれば良かったのかもしれないと、葬式の時に思わされた。


その写真には、嬉しそうな彼が写っていた。


3日目の帰還日に、彼と少し話す時間があって、彼が好きな食べ物は?と聞いたのだが、「牡蠣!」と答えていたのを思い出していた。

旅館の料理にも牡蠣が出ていて、普通に食べていたのを見ている。

にも拘わらず、11年後に牡蠣に当たって死亡する彼が居て、そうではない「彼が写って居ない写真」が机に有る。

因みに暴露すると「父の友人と彼と旅行に行ったことは無い」と言うのが真相の一つ。

また「旅行に行く予定があった」のも一つ。

この時は、こっちは4人で向こうが3人という予定だったらしい。

また行先は「山」であって、海ではない。

・・・では、今机にある写真は?


この疑問を疑問だと思うようになったのは、今現在の私だから。

当時の私は「写真が気持ち悪い」と考えてはいても、ビックリマンのゼウスが勿体なくて、写真楯をひっくり返して使っていた。

・・・だから、写真が「いつの間にか、4人の写真になっていた」事を、後になって知った。

そして、3人の写真は、何処にもなくなっていた。


・・・時が過ぎ、最近になって整理した中から、ビックリマンのゼウスの写真楯が出て来たが、裏側が表になっていて、ひっくり返すとそこには「見慣れた3人の写真」が入っていた。

もうこの時の私には、この写真から違和感も、寒気も感じなくなっていて、ただあるだけの写真を見ていると、涙が止まらなくなった。

だが、違和感が消えても、喪失感が強く出ていて、これが別な意味の違和感となって、過去の新聞などを調べさせたきっかけになった。

で、結局この話はなんなのさ?

という「オチ」は何処?と言う話なんですが、すいません、オチはきっとありません。

解決したくても、過ぎ去っていて、手が届きません。

彼が21歳で牡蠣に当たって、会社の忘年会で死亡したのは今でも変わらない事実ですし。

それと並行して、父が「デジャヴで示した線路」に向かっていたら、彼が生きられたのかも不明ですし。

ただ私の感覚だと、きっと彼は「この海では居なかった」のかもしれないなって思いました。

私の勝手な解釈としては、父が迂回して、別の道から海に行った事で、彼は生き残り、この時の海を生きられたんだと思っています。

ただ、逆を言えば、もしかしたら、父がデジャヴの道を進んでいれば、私たちも巻き込まれていたのかなって思っても居ます。

デジャヴが主題のはずなのに、全く関係ない思い出を語る内容になっていますね。

ただ一つ不思議なのは、やっぱり写真楯だけが謎が残ってしまいました。

ゼウスの写真楯の写真の中身が切り替わったのは何なんだったのか?

自分で入れ替えたのか?あり得そうですね。

私は、私の脳を信用していません。

都合のいい様に解釈する脳ですし。

ただ、この3人の写真楯を父に見せた時は、「ああ、山に行った時の写真だな」と答えたのには驚きでした。

山に行った事は無くて、その予定だけだったはずでした。

なのに、「海に行った時の写真は1つも出てこなかった」のに、山に行った時の写真は沢山出てきました。

おやぁ・・・?

・・・真実は(脳が見せる夢なら無限にあるが)いつも1つ!


デジャブが見せた踏切の夢。

うつつとコナタを梯た、未来の切符。

(壊れた)脳が見せた、不思議でない不思議に思った日常のゼウス。

・・ゼウスって関係なくない?


そして、最後の真相の一つ。

山で撮ったとされる3人の写真はポラロイドですが、その他の写真は普通の写真でした。

何故かその3人の写真だけがポラロイドで、他の普通の写真には「こっちの4人と向こうの3人」が写って居るのが沢山ありました。

こっちの彼は、笑顔を絶やさないかわいい少年でした。

・・・記憶が抜け落ちていて、思い出せませんが。

また、当然ポラロイドは普通の写真楯には入らないので、無理に入れるなら、下の部分を切らないといけません。

・・・が、そんな事をした記憶など無い。

・・・けど、私の脳なら、私に気づかずにやるかもしれません。

犯人は(私の脳)私だった!?・・かもしれません。

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