第5話

「ねぇ唯と喧嘩でもした?」

「えっ?なんで?」

「前は仲良かったのに最近全然話してるのみないから」

「喧嘩した訳じゃ無いんだけど…」


 "好き"か。私が唯に対する気持ちはなんだったんだろう。


 気づいたら唯のこと目で追って、一緒に帰りたくて待ち伏せして、近くにいるだけでドキドキする。


「ねぇ気付いたらその人のこと目で追ってて、待ち伏せしたり近くにいるだけでドキドキするのって恋?」

「そりゃもう恋でしょ」

「明日香もそう思う?」

「うん。もしかして好きな人でも出来た?」

「違う違う」


 やっぱこの気持ち"恋"なのかな?

でも女子だよ?女子を好きになるなんて…


 そしたら前に唯が私に言った"好き"って何?

あれが恋愛感情としての好きだったら両思い?


「ふーん。まぁいいか。そういえばもう夏休みだよ」

「そっか!もうそんな時期か」


 この学校は行事の順番が独特で6月上旬に期末テスト、体育祭の練習挟んで体育祭、そして終業式。


「夏休みどこか行きたいなぁ」

「部屋のメンバーでキャンプ行くか!」

「明日香らしい!いいんじゃない?」

「バーベキューしたいな」

「焚き火とかもしたい!」


 その日のうちに明日香が部屋のメンバーにキャンプのことを伝えた。みんな大賛成だった。日にちは夏休み2日目の7月18日。


「ねぇここのキャンプ場いかない?毎年家族で行ってたんだけど今年は弟が受験でさ」

「ここのキャンプ場いいね!夢乃ナイス!」

「キャンプ楽しみだな〜」


そう言って唯はベットにダイブする。可愛い。


キャンプまでに唯と和解できるといいな。


終業式当日。唯とはまだ和解できてなかった。


「キャンプまであと2日だ!」

「てか全然準備してないよ」

「あっ!教室に忘れ物した!夢乃一緒に取りに行こ!」


 明日香は唯と和解させるために私と唯を部屋に残して教室のある棟の方に行ってしまった。


「あのさ、音儚。明日暇?」

「あ、うん。暇だよ」

「キャンプに必要なものまだ買ってなくて…」

「音儚も、まだ買ってないや」

「じゃ明日10時に駅前で」

「うん。また明日」


 唯は荷物を持って部屋から出ていった。唯と話したのは久しぶりな気がする。


2人で出かけるのは初めて。なんだか緊張してきた。


翌日、予定よりも早く家を出たのに電車を乗り過ごしてしまった。


「ごめん!遅刻した!」

「大丈夫。何かあった?」

「寝てたら電車乗り過ごしちゃって…」

「可愛い」


そう言って唯は頭をポンポンしてくれた。


「じゃあ行こっか!音儚」


 駅前のショッピングモールは店の種類が豊富で学校の生徒のお気に入りの場所。最初から向かったのはキャンプ用品店。


「サンダル欲しかったんだよね」

「これどう?音儚に似合うよ」

「ありがとう!履いてみる」


私は唯が差し出したサンダルを履いてみた。


「可愛い!これにする!」

「うん!可愛い。即決なのね」

「だって唯が選んでくれたんだもん」


 他にもランプや洗面用具などを買った。

隣の店で洋服も買った。唯はいつもボーイッシュな服装をしていて、選ぶ洋服もそこらの男子よりもオシャレ。顔立ちもイケメンで惚れそう。いや、もう惚れてるのかな。


「ねぇ色違いのルームウェア買わない?」

「確かに!唯ナイスアイデア」


ルームウェアを買うために色々なお店を回った。

結局一番最初に見たお店のルームウェアを買う事にした。


「色々回ってお腹すいたね」

「確かに!もうすぐ1時だ」

「どっかレストラン入ろっか」


私達は近くのレストランに入った。


「何食べる?」

「音儚はミートソースパスタかな」

「じゃあ私もそれにする〜」


 2人ともお腹がすいてあっという間に食べ終わった。


「そろそろ帰ろっか」

「そうだね!明日朝早いし準備しなきゃ」

「じゃまた明日」

「うん。また明日」


 レストランを出て唯と別れた。私は家に帰らず、ある所に寄ってから家に帰った。


 家に着いてからはみんなと連絡を取りながらキャンプの準備をした。


 キャンプと言ってもコテージに泊まるから寝袋やテントは必要ない。貸出してくれる用品も多く洋服や洗面用具を準備するだけで思っていたよりも早く終わった。


明日のキャンプが楽しみだな。

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