東4局

 東2、東3と安いかわし手で流れての東4局。ヒーちゃんの親だ。


「さて、親と言うことで……俺の川に入ってきた奴らを食い殺してやりましょうかね」


「あっ、それも見たことある~。確かワニと戦う動画だったかな。よくカバってワニと戦ってるよね」


「そうですね。同じアフリカの川をテリトリーとして生きる物同士、良くライバル視されてたりします」


「それじゃあ、今回は僕らがワニになってヒーちゃんからテリトリーを奪わないとなぁ~」


 そう言って獅ニキは俺の3索を両面チーする。一見おっとりしてるように見えて、急に牙をむくのが獅ニキだ。すると、この両面チーは実に危なく見える。自分が高打点のある手をアガるから他の面々は黙ってろよとでも言わんばかりのアピールとしても充分に取れる打ち筋だ。


 ここは黙ってやり過ごすしかない。俺に続いてΨくんも手が悪すぎたのか、早々に手仕舞いの現物切り。

 勝負は獅ニキとヒーちゃんの二人のぶつけ合いとなる。


 捨て牌が二段目になってからは、互いに無筋の切り合いだ。時折、待ちを変えてそうな手出しも散見するが、もはや何が当たり牌かも分からない。静かに意地と意地をぶつけ合う、そのような打牌が続いていった。


 その時は突然訪れた。ヒーちゃんによる8筒の暗カン。それから引き込んだ一発のリンシャンツモ!


「ふぅ、アガリ牌が無いと思ったらこんなところにありましたか」


「ふぅん同じ待ちだったか……こっちもタンヤオドラ5だったんだけどねぇ。僕も途中でカンをしておけば良かったよ」


「知ってますか、獅ニキ。川はより深いところに潜れた方が勝てるんですよ」

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