第6週 カラオケでの告白②

「いっちー、カラオケめっちゃうまいじゃん!」


「いっちーくん、ほんとに上手だよ!」


歌い終えた後の2人の感想は衝撃だった。まさか、自分に歌を歌う才能があるとは思ってもなかったからだ。点数の表示は98点。「プロ顔負けの歌声ですね!」と書かれていた。


「ほんとにいっちーくんってカラオケ来るの初めてなの?」


と美咲さんが唖然とした様子で聞いてきた。


「ほんとに初めてです…。来る機会とか一度もなかったので…」


と答えた。はじめてのカラオケではもちろんのこと、この点数はほんとうにカラオケが得意な、いわゆる「ガチ勢」でもとるのが難しい点数らしい。


「いっちーの意外な才能が発見できたな!」


少し嬉しそうに涼介くんは笑ってくれた。


カラオケ店から帰ろうとした時には、外は薄暗くなっていた。


「俺、家こっちの方向だから!

 じゃあな!また遊ぼうぜ!」


そう言うと、涼介くんは足早に帰っていった。


「いっちーくん、家まで送っていってもらってもいいかな?ちょっと遅くなっちゃったし」


そう美咲さんが尋ねてきた。僕は断る理由もなかったので美咲さんを家まで送ることにした。


「今日は楽しかったね!」


弾けんばかりの笑顔で美咲さんは言った。


「ぼくもとても楽しかったです。」


少し照れながら言った。美咲さんと2人きりで話すのはこれで2度目だけど、まだまだ慣れない。今までこんなに可愛い人と話した経験なんてないから、やはりまだ緊張してしまう。


そんなことを考えながら、美咲さんの方を見ると、すこしそわそわしている。


「どうかしましたか?」


そう僕が言うと、意表をつかれたのか少し声を上げて


「い、いや!な、なんでもないよ!大丈夫!」


と美咲さんは言った。しかし、ぼくには美咲さんが何か言いたそうに見えた。すると、美咲さんはなにか意を決したようにあることを口にした。


「ちょっと、いっちーくんに話があるんだけど…」


そう言う美咲さんからは今まで感じたことないような雰囲気を感じる。何を言われるのかも皆目見当もつかなかった。そして、美咲さんは言った。


「わたし、涼介のことが好きなの!

 だから、いっちーくんに私と涼介が付き合うための手伝いをしてくれないかな?」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る