第5週 カラオケでの告白①

夏が近づいてきているのか、すこし蒸し暑さを感じる日だった。


今日は涼介くんに誘われて、美咲さんも含めた3人で遊びに行く予定だ。


前回と同じように、大学の正門を待ち合わせ場所にしていた。どうやら僕が一番最初に到着したようだ。


「どこに行くんだろう…」


そう、ぼくには当日までどこに行くかは知らされていなかった。少し不安を覚えつつも2人を待った。すると、5分後に2人が同時に待ち合わせ場所に来た。


「おう!いっちー!待たせてごめんな!」


そう涼介くんが言うと、美咲さんも


「ごめんね!ちょっと準備に手間取っちゃって…」


と少し申し訳なさそうに言ったので、ぼくは、「全然大丈夫だよ」と言った。


「よし!いっちー!今日はカラオケに行くぞ!美咲はカラオケめっちゃ得意だから期待してて!」


そう涼介くんが言うと、


「ちょっと!そんなにハードル上げないでよ〜!」


と少し顔を赤らめながら言った。


カラオケなんて、今まで一度も行ったことがなかった。歌を歌うのは高校の時の合唱祭が最後だったと思う。ただ、音楽を聴くのは好きなので、それでうまく乗り切ろうと思った。不安はまたさらにすこし増えた。


カラオケにつき、美咲さんが最近流行りのアイドルの曲を歌った。涼介くんの言う通り、音程は安定していて、高音もとても綺麗に出ており、95点の高得点を出した。


「本当に上手ですね。びっくりしました。」


ぼくがそう言うと、美咲さんは


「ありがとう!褒められると嬉しいからどんどん歌っちゃうよ!」


とかなり上機嫌なようだった。ただ、ぼくがそれより驚いたのは、涼介くんの方だった。

カラオケはあまり得意ではないみたいだった。顔良し、スタイル良し、コミュ強と完璧人間かと思っていたけど、思わぬところが弱点だったようだ。


「涼介、だから前カラオケ行った時歌ってなかったんだ〜。カラオケ上手くないのになんでカラオケ行こうなんて言ったの〜?」


不思議そうに美咲さんが聞くと、


「俺は、いっちーの歌声が聞いてみたかったんだよ!それに、いっちーには俺の歌声聴かれても恥ずかしくないしな!」


といい、ぼくにカラオケマイクが渡した。

はじめてのカラオケで緊張は高まるが、好きなロックバンドの曲を選択し、歌い始めた。








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