第2章 激変していく日常

第4週 何気ない日常

空は少し灰色に染まり、いつ雨が降ってもおかしくないような空模様だった。


今日は昼からの授業だったので、ご飯は家で済ませた。その後、少し余裕を持って大学に向かった。


正門に入り、授業のある7号館へと向かっている途中、うしろからトントンと肩を叩かれた。


「いっちーくん?だよね?覚えてる?私のこと」


そこにいたのは美咲さんだった。まさか、自分のことを覚えてくれているとは思わなかったので、少し動揺した。


「覚えてますよ、涼介くんの友達の美咲さんですよね?」


「あー、よかったー!これから授業?」


「はい、心理学の授業が今からあって」


「えー!私といっしょじゃん!じゃあ一緒に受けようよ!」


「あ、はい…、大丈夫ですけど…」


ついに、大学で知り合いと一緒に授業を受けるという、(しかも女の子と)ぼっち大学生とはほど遠い体験をしようしている。緊張と心臓の鼓動が聞こえるほどのドキドキを同時に僕は感じた。


しかし、授業中はペアワークやグループワークがあるわけではないので、黙ってお互いに授業を受けただけだった。


授業終わりに美咲さんが


「おつかれ!途中まで一緒に帰ろう?」


と誘ってくれた。その帰りの途中でも、美咲さんは積極的に僕に話しかけてくれた。


「涼介とはどうやって知り合ったの?」


「食堂で突然話しかけられて…歴史学のレジュメを見せてくれって言われたからそれを渡したのが初めてだったかな…」


「なるほど。涼介、コミュ力高いなあ!」


「美咲さんも高いと思いますよ。コミュ力。」


「え!そうかな!ちょっと嬉しいかも!」


なんて他愛もない話を繰り返すうちに、正門まで着いた。


「じゃあ、私、こっちだから!またね!

いっちーくん!」


満面の笑顔で手を振りながら、美咲さんは帰って行った。


緊張しながらも、心地よい時間を過ごせたぼくは夢心地で帰宅した。ちょうど帰宅した時、1件のラインが届いた。涼介くんからだった。


「来週の日曜日、美咲と俺とでどっか遊びに行かね?」









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