第3週 美少女との邂逅

「もうこんな時間か…。行かないと」


本日は火曜日。今日は歴史学の授業がある。

いつもより準備に手間取り、急いで大学に向かった。


授業が終わり、いつも通りそのまま1人で食堂に向かおうとすると、聞いたことのある声が自分に向かって何か言っている気がした。振り向くと、そこには涼介くんがいた。


「いっちー!お疲れ!今日も食堂?

じゃあ一緒に食べようぜ!」


「いいよ」と言いかけた時、涼介くんの横にいる女性に気がついた。髪の毛は綺麗な金髪で、身長は女性にしては高い方で、それでいてアイドルのような顔立ちをした人だった。


「涼介くん、その方は…?」


「あー、俺の友達の美咲だよ。この大学に入ってから知り合ったんだ。」


美咲さんはこちらを見て、にこやかに


「涼介のお友達ですか?はじめまして!安井美咲です!涼介とこれからも仲良くしてあげてね!」と言った。


美咲さんに話しかけられただけで、今日1日幸せを噛み締めて生きていける。ぼっち大学生の僕にとってそれくらい明るく、魅力的で、親しみやすい、そういった印象を持った。美咲さんは用事があると言い、その場を去った。


「いっちー、美咲に見惚れてたくね?」


食堂で、唐揚げ定食を食べながら、僕の方をにやにやしながら見てくる。


「そ、そんなこと、ないよ…」


「別に照れなくていいじゃん!美咲とも仲良くしてやってくれよな!」


そんなことを話しながら、ふと思ったことがあった。


「涼介くんはさ、なんで僕のことを気にかけてくれるの?正直、前回ご飯奢ってもらった時でもう関わりがなくなると思ってたんだけど…」


そのまま思っていたことを口にしてしまった。少しストレートすぎたなと反省していると、涼介くんは言った。


「また、難しいこと考えてさ〜。単純にいっちーとまた話したくなった。それだけじゃだめ?」


「だめじゃないよ。むしろ嬉しいよ。」


「それなら良かった!じゃあ俺授業あるから先行くわ!またな!」


そう言って涼介くんは先に食堂を出て行った。


涼介くんと出会ったあの日から自分の大学生活が少しずつ変わっていることを僕は自覚しつつあった。イケメン陽キャとの出会い、そして金髪美少女との出会い。ぼっち大学生とはもはや言えないほどに日常が変化しつつあった。そう、日常はおあつらえむきなほどに「ラノベ化」しているようだ。















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