第2週 食事

「今度の土曜日の昼ごろ、空いてる?

 レジュメのお礼にご飯奢りたいんだけどさ!」


涼介くんからそうLINEがきたのは、あれから2日後の木曜日だった。あの時、そのままレジュメを渡したままだったので、いつかは返してもらおうとは思っていたが、まさか本当にご飯を奢るとLINEがくるとは思わなかった。

特に用事があるわけがなかったので、そのまま、


「大丈夫だよ」と送った。


土曜日の昼は雲ひとつない晴天だった。


待ち合わせ場所の大学の正門には、もう涼介が来ていた。


「おーす!いっくん!久しぶりだね!

 あ、レジュメ返すね!まじで助かった!

 ありがとう!」


「いっくん…?うん、全然大丈夫だよ。」


「一郎くんでしょ?だからいっくんだよ!

今日は美味しいラーメン連れて行ってあげるから期待してて!」


前回初めて会って、今回が2回目だというのにえらく馴れ馴れしいと思う人もいるかもしれない。ただ、彼の顔を見ていると、別に悪い気はしなかった。これが人徳というやつなのかと思いつつ、彼についてラーメン屋に向かった。


ラーメン屋につき、涼介くんが注文した塩ラーメンを僕も頼んだ。


「いっくんってさ、大学に友達とかいる?」


「いないよ…」


「じゃあ、俺が最初の友達か!」


「え?、友達ってそんなに軽い感じでできるもんだったかな…、しかもまともに話しているのもこれが初めてだし…」


「そんな難しいこと、考えてるのか!

友達なんてノリだよ!」


そんなことを話しているうちに、塩ラーメンが自分達のところに届き、おいしくいただいた。


「また、遊ぼうな!いっくん!」


そう言って彼は帰って行った。


こうして、ぼっち大学生である僕にはじめての友達(?)ができた。まあ気にかけてくれるのは今のうちだろう。そう思っていた。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る