ぼっち大学生の日常がラノベ化するとこうなる。
雨男
第1章 変わりつつある日常
第1週 出会い
心地よい風が吹き、桜の花が咲きかけた春のはじめ。
私、細木一郎は、大学1年生として新たな生活を始めた。
同じ高校からこの大学に進学した人は誰もいないらしい。心機一転、新たな出会いに胸を膨らましながら大学生活を謳歌しよう!
そう思っていた時期もあった。
現在5月上旬。私、細木一郎は無事にぼっち大学生へと華麗な転身を遂げた。
授業ももちろん1人で受け、食堂でもぼっち飯をしっかり味わっている。
「まずいなあ…」
気がつくと、今食べている飯と自分の状況についての感想と危機感について口走っている。
あまり美味しくないカレーを食べ終えて、顔を上げた時、ひとりの男が立っていた。顔は男の僕から見ても、綺麗だなと思うくらい整っていて、身長も高く、いわゆる塩顔イケメンという感じだった。
「君、歴史学の授業たしかとってたよね?」
「はい、とってますけど…」
「ああ!よかった〜!前回のレジュメ、ちょっと見せてもらえないかな?お礼にご飯奢るからさ!」
「別にいいですけど…」
僕はカバンから今日の朝に受けた歴史学のレジュメを彼に渡した。
「ありがとう!あ、連絡先交換しとかないとお礼できないから、LINE交換しよう!」
彼はポケットからスマホを取り出し、素早くQRコードの画面を向けた。
僕はまあいいかと思い、そのままラインを交換した。
「細木一郎くんか!僕は、長岡涼介!
今日の恩は必ずかえすからね!」
そう言って足早に食堂を去っていった。
これが、彼、長岡涼介との最初の邂逅だった。
もっと言えば、この時の彼との出会いが自分自身の大学生活に大きな変化をもたらすことはまだ僕は知らない。
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