第5話 転生

 広い場所の高い天井に移動した。明るい処だったが、少し高い音がひっきりなしに聞こえていた。ボーリング場だ!


「次の案内はお前の希望通りの転生だ、だがちまたの転生とは違う、二種類あり、一種類目は転がることが目的で生き。字のごとく転生だ。つまりボーリングの玉になるのじゃ」


「えっ、永遠にピンに向かって投げられるだけですよ? 何も良いことが無いじゃありませんか?」


「いや、全うすれば次の転生が待っている。それに良い事もある」


「次の転生とは?」


「やはり、転がって生きる。パチンコの玉だ」


「何か、格が下がったような気がするのですが?」


「それを全うすれば最終転生ができる」


「最終転生はなんですか?」


「それは今では教える訳にはいかない」


「そうですか、ではボーリングの玉に転生した時に意識はあるのですか? それに良い事とはなんですか?」


「ボーリングの玉の表面には頭の神経があり、触っているとか持たれているとかの感覚はある」


「ではピンにぶつかる時は痛いじゃありませんか?」


「最初は痛いが、何回も当たっているうちに快感になってくる」


「えー そんなー! で良い事は?」


「ボーリングの玉の穴は三か所あり、その内二か所に神経が通っている。それは中指と人差し指を入れる穴で一か所は口の感覚で、もう一か所は肛門の感覚だ」


「ええー 口と肛門が隣り合わせは汚いじゃありませんか?」


「馬鹿者! 食事も排泄もしてないから汚くない!」


「で良い所は?」


「良く考えてみろ、ボーリングは女の子もやるだろう? その可愛い指が肛門にブチューと入り、口にプニューと入る。昇天しそうだろ? このやろう!」


「それは嬉しいけど、男性の時もあるでしょう?」


「馬鹿だなー 重さを指定するのだ。十~十三ポンドにすれば女性用になる」


「でも、次の転生に行く条件は?」


「それは指を突っ込まれ、頭を触られ昇天しそうになりながら転がりピンにぶつかる。ちょっと癖になりそうだが、それを百回繰り返せば終了じゃ」


「それで是非お願いします!」


「此処で待っておれ、事務局に聞いて来る」と案内人の爺さんは消えた。


暫くして現れて「悪いな、十~十三ポンドは全て決まっておった。十五ポンド以上ならあるがどうだ?」


「男じゃ、嫌です」


「そうだろうな、じゃ、二種類目の転生に行ってみるか、これは生きるためというか? 食べるために転がす、つまり糞ころがしじゃ」


「えええー 昆虫じゃないですか? また糞ですか?」


「これも旨く全うすれば最終転生に行ける。それに特別に伴侶を付けてやる」


「伴侶?」


「雌の糞ころがしじゃ、お前は今まで彼女もいなかったらしいからな、だから今回は特別に夫婦にしてやる」と爺さんは消えた。

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