第5話後輩の派閥

石神と村田は同期で、プライベートでも仲が良い。

だが、後輩のうちでは石神派と村田派が存在するらしい。

新人の尊敬する先輩のアンケートでは、石神派と村田派に真っ二つに別れたらしい。

石神派は言わばワイワイ楽しみながら利用者と接して仕事をこなすタイプで、村田派はマニュアル通りの対応を芯に隙のない対応。

施設長が村田派の肩を持つので、施設に不信感を抱く後輩は皆、真っ先に石神に相談する。


「村田君、今日はサシで飲まないかい?」

と、石神が言うと、

「いいよ。今日は一軒目からbarの気分だよ」

2人はカウンターで紫煙を燻らしウイスキーをロックで飲んでいた。

「石神君、僕らの後輩の事なんだけど……」

「派閥だろ?」

「あれ、施設長が原因なんだ。最初は好きな先輩のアンケートを取って、真っ二つに新人を分けたんだ」

「石神派は仕事ができないグループ、村田派は仕事が出来るグループって聞いたよ」

「石神君、僕らが施設を辞めたらどうなるんだろ?」

「間違いなく、僕たちの後輩、20人は退職するよ!」

「参ったな。僕は名古屋に出ようと考えてるんだ」

村田はウイスキーをコクりと飲むと、

「僕もうちの建設会社、継ごうと思うんだ」

2人は紫煙の中で考えていた。

A級戦犯は施設長であると、2人の見解は一致した。

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