第361話 大聖堂の個室

「...うっ」


 俺は意識が戻ってくるのを感じた。


 頭がズキズキと痛むのだがそれ以外に問題は無さそうだ。


「くそっ...。頭がいてぇ...」


 俺が目を覚ますとそこは見たことのない部屋だった。


「ここはどこだ?」


 俺が布団から出てうろついていると、見たことがない人物が部屋に入ってきました。


「おはようございます。【弱体術師】様」


 礼儀よくお辞儀をする優しそうな老人の登場に俺は眉をひそめる。


「お前は誰だ?」


「私は【サウライッツ大聖堂】の教皇でござざいます」


(教皇...。と言うことはこいつが大聖堂のトップなのか?)


 確かに他の町の司祭などと比べると服装が立派だとは思える。


「大聖堂のトップが俺になんのようだ?」


 俺の問いに微笑み教皇。


「いえいえ、ただ単に興味が湧いたのですよ。貴方にね」


「俺に? 知ってると思うが俺は嫌われて者の【弱体術師】だぞ? 教皇に好かれる道理はないな」


「ええ、もちろん貴方様の悪名はここまで轟いています。ですがまあ一応貴方様のお姿を見ておかねばと思いましてね」


 そう言いながら俺の姿を見つめる教皇は「はぁ」とため息を吐く。


「やはりそうですか。相当な【呪い】を体に溜め込んでいるようですね」


「見ただけで分かるのか?」


「ええ、もちろんですとも。伊達に教皇をやっていませんからね」


 彼はそう言いながら俺に外に出るよう声を出す。


「今日は日当たりも良いことですしどうですか? 少しお散歩でもされては」


 彼はそう言いながら俺を外へと連れ出すのだった。

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