第362話 教皇と散歩
俺が大聖堂の外に出てみるとそこはまさしくこの世の美しさを体現した天国のような花園が設立されていた。
「どうですか? 見事な物でしょう。我が親愛なる信徒たちが毎日天塩にかけて育てた花たちですからね」
「...まあ見事なもんだな」
素人の俺でもそれくらいは分かる。
この花園を維持していると言うのであればなかなか凄いと思う。
花のいい香りに包まれながら大聖堂の全貌を見てみた。
確かに荘厳で無駄に金がかかっていそうな程に立派な大聖堂が建築されている。
(国民の税金をこう言う事に使っているんだろうな...)
そう思うと宗教と言うものに俺は笑いが止まらなくなった。
そう、宗教とは弱いものから搾取する現代社会と変わらない基盤が建築されているのだと俺はずっと考えてきたが、実際に必死に花の手入れをしている聖職者達を見ていると滑稽思えてならない。
(あれも多分修行の一環だだとか言われて安い金で手入れさせられているんだろうな。まるで現代社会の正社員のようだ)
俺は結構日本のマイナスな面ばかりをスマホで検索していたのを思い出す。
少子高齢化が進みもう引くに引けないところまできていても国民も上も何もしない所を思い出した俺はこの国の現状を思い出して更に笑った。
(くくく...。なんだ異世界も現実世界もクソさは変わらないじゃないか...。結局は上のやらかしを弱い立場の奴らが請け負うって言う世界のルールは何一つ変わっていない。なにが勇者召喚だ。要するに別世界の子供を呼び出して戦争に駆り出してるだけだな)
そう思うとこの世界に来た瞬間に少しだけドキドキしていたのが嘘のように消え去る。
『EXスキル【諦めの杖】と【諦めの極地】を取得しました。【諦めの杖】が【
「んっ?」
教皇が俺の方を見てこう呟いた。
「【呪い】の力が上がりましたか?」
「...さあな」
俺ははぐらかしたのだが、どうやら教皇は俺の杖がグロウアップした事に気がついているようだ。
全く、聖職者様は【呪い】と言うワードに凄く敏感なようだな。
堅苦しくてご苦労なこった。
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