第360話 【最高で最好で最煌の杖】④

「準備OK。皆! 行くよ!」


 緑髪の少女が杖を上空に放り投げると、そのまま七色の光が仲間達に向かって降り注ぐ!!!


「回復術師式強化魔法!【7色勇波】!」


 奴ら全員に【回復術師】の加護が加わるのが見えた。


「おおっ!? これっ! すごい! 体の中から力が湧き上がってくる!!!」


 盗賊の小娘がそう叫と俺に接近して短剣を突き立ててくる!


「ぐっ!」


 俺のデバフの効果を上回る程の強力なバフ効果の数々に俺は翻弄されていた。


「なぜだ!? なぜ俺の呪いの力を打ち破れる!?」


 驚く俺の声に緑髪の少女はこう呟いた。


「それはね、私が和希の事を想っているからだよ」


 何故か分からないがその言葉に俺の心がズキンと痛んだ。


(なんだ? 小娘の戯言に俺の心が反応を示しめている?)


 トクントクンと熱い鼓動が俺の冷え切っていた人間への冷めた想いを溶かすように、じんわりと心に染み渡る...。


「ぐぅ...」


 謎の胸の痛みに困惑している所を奴らは次々と襲ってくる!


「【キャットクローV+9】!」


「【影分身+5】からの【デュアルスティンガー+9】!!」


「【神速剣X+9】!」


「【鳳凰刃・空炎斬】!」


「【地獄炎】!」


 奴らの攻撃が一斉に俺に浴びせられた。


「ぐあああああ!!!!」


 呪いの力が弾け飛んで行く瞬間にダメ押しの1発をあの黒髪の娘が請け負う。


「全く...。こんなにあんたの事を想ってくれている子がいるのにさ。早くこの気持ちに気がついてあげなよ...。【ケロっとすぱいらる☆+9】!!!」


 最後の激しい水の魔力によって俺の意識は飛ぶのだった...。

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